第八話 脱出
第8話投稿します。
章を追加しました。
「「この国を捨ててあなたと一緒に世界を旅をするために脱走計画です!」」
「は?」
俺は二人が何を言っているか分からなかった。
「では準備も大方終わりましたし、脱出ルートを見直しましょうか」
「そうですね。ソラさまにも脱出ルートを説明しなければいけませんし」
俺の混乱をよそに二人でどんどん話を進めている。
「ちょっと待ってくれ!」
俺が叫ぶと二人は不思議な顔をしてこちらに振り向いた。
「どうかしましたか?ソラさま」
「体調でも悪いんですか?ソラさん」
「違う!何でいきなり脱走することになっているのか聞かせてくれ」
俺が聞くと二人は声を合わせて・・・
「「この城にいるよりもあなたと一緒に世界を見てみたいからです」」
と、言った。
ていうか、仲良いなぁおい。
「それでも脱走するだけなら馬鹿しかいないんだから簡単だろうけど、脱走した後はどうする、俺やメイドさんはともかく姫さんは社交会やパーティなんかで他の国の人間にも顔が知られているんだろ?知っているやつに見つかったら一発でアウトじゃないのか?」
俺が脱走の手段よりも気になっていたのはむしろそっちの脱走した後のことだ。
姫さんはこの国を引っ張っていたからそのことは他の国にも届いているだろう。馬鹿が連れ戻そうとしたら平民でも簡単に見つけられるほど有名じゃないのか?
「そのことなら心配ありませんよ?」
「はい、その心配はございません」
「何でだ?」
俺がいったことに対策があるのではなく、本当に大丈夫だという表情で答えてくるから、俺は不思議になって問いかけた。
「私には王位継承権がないのです」
「何でだ?上に兄弟がいても王位継承権はあるもんだろ?」
「いいえ、姫様には王位継承権はありません。姫様の上には姉が一人いますが、その姉も馬鹿に負けないほど馬鹿でして、馬鹿と貴族たちは賢い姫様よりも馬鹿なほうが政治がしやすいということで姫様が生まれたことを隠して姫様は書類上存在しないことになっているのです」
「なるほどな」
確かに生まれても王族として存在しないことになっているのなら社交会はもちろんパーティにも行ったことがないのだろう。
しかし、馬鹿たちが姫さんの有能さを利用しようとしたら犯罪者扱いで俺たちを捕まえようとするのではないだろうか?
「その心配もございません。馬鹿や貴族たちは姫様のおかげで国が滅びずにいるというのにそのことに気がつかずにむしろ邪魔だと思っているので、姫様が脱走したら喜ぶと思いますよ」
「そうだったのか・・・後、ナチュラルに心読むのはやめてくれ」
「善処します」
ああ、これはまた心が読まれるな。
「姫さんは脱走しても生きていけるのか?一応城で暮らしていて町や他国がどんなものか知らないんじゃないのか?」
「大丈夫です。小さいころからメイドと一緒に押し伸びで町や他国に言ったりしていますから野宿も戦闘も物価も大丈夫なのです」
アレ、この中で一番サバイバルできないの俺じゃね?
大丈夫ですこれから覚えていけばいいのですから。
ついに俺の心の中にまで入ってきた!?
「メイドさん?」
「何でしょうか?(ニヤッ」
ゾクッ
「い、いや何でもない」
気にしないほうがいいのかもしれん。
「それで姫さん、脱出ルートはどんな感じなんだ?」
俺が話を逸らすとメイドさんから「ッチ」という舌打ちの音が聞こえたが聞かなかったことにして脱出ルートについて質問した。
「そうですね、今回使うのは庭の隅っこにあるメイドが壊した穴を使いたいと思います」
「って、メイドさんが壊したのかよ!誰か気がつかないのか?」
「はい、貴族たちは花より金ですから」
「み、身も蓋もない」
本当にこの国を捨てて脱走するのは正解かも知れんな。
この国、絶対姫さんがいなくなったとたん金の使いすぎで滅ぶ。
「物資も馬車もお金も国庫より頂戴していますのでしばらくは大丈夫ですね」
「ちなみにどれくらい?」
「姫様がいればギリギリ国が傾かないくらいですかね、予算表は私がつけていますので書類上の隠蔽もばっちりです」
そういってメイドさんはいい笑顔でサムズアップした。
「では夕食を食べて時間になるまで部屋でユックリしていましょうか」
「そうだな」
俺は夕食を食べるために食堂に向かおうとすると・・・
「あ、夕食が終わったら時間までメイドと一緒に私の部屋で待機ですからね。いちいちバラバラになっていたら時間がかかりますし」
「俺は良いけど姫さんはいいのかよ。一応俺は男だぞ」
年頃の娘なのに。
「大丈夫です。ソラさん今日で私は姫じゃなくなるので名前呼びでお願いします。メイドも本名を使うか偽名を考えて置いてください」
お!メイドさんの本名って結構気になっていたんだよな。
「そうですね、では冥土と名乗ることにします」
「それじゃ意味がないんじゃないのか?」
「大丈夫でしょう。私の名前が冥土と言ったらそれが私の名前なんですから。本名は忘れましたし」
意味が分からん。
本名を忘れたという設定は続いているんだな。てっきり俺をからかっているだけだと思ったのに。
さぁ?それはどうでしょう。
俺はもうつっこまんぞ。
「姫さん、姫さん」
「何ですか?名前呼びでお願いしますといったじゃないですか」
「姫さんの名前知らないんだけど?」
「へ?」
この世界に着てから姫さんの名前は一回も出てきていないからな、知らない名前を呼んでくれといわれても困る。
「言ってませんでした?・・・・・・っあ///」
名前を言っていないことに気付いたらしい
「///わ、私の名前はクウといいます。ファミリーネームは使わないのでクウとおよびください」
「分かった、これからよろしくな、クウ」
「ハイ♪」
「では、遅すぎた自己紹介もすんだことですし食堂に向かいましょうか」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
夕食が終わって姫・・・いや、クウの部屋でくつろいでいるうちにあっという間に深夜になり脱出の時間まであと少しという時間になっていた。
「では、最終確認をします」
「「ああ/はい」」
そこで俺たちは最後の脱出ルートの確認をしていた。
「まず流れから言うと、勇者たちが帰ってくる前に国境を越えることが前提です。なので時間との勝負となります」
そう、馬鹿たちが帰ってくる前に国境を越えないといくら心配はないと言ったって万が一がある。
クウはこの近くの地図を見せながら説明をしている。この地図によるとこの国の国境は意外と近くにあり馬車を使えばだいたい二時間程度で国境を越えられるらしい。
だから、城から出てしまえばこっちのもんだ。
「すでにメイドが騎士たちの食事に仕込んだ遅延性の睡眠薬が効いて城中の騎士たちが眠っているでしょう」
「薬を盛っていたのか」
「ハイ、私特製の無味無臭の特製睡眠薬を」
「何で特製を二回言ったんだ?」
「大事なことだったので」
「そうか」
「無駄話をしている場合ではありませんよ」
そうだったな、ふざけている場合じゃないんだよな。
そうですよしっかりしてください。
もともとはメイドさんのせいだろうが。
しかし乗ってきたのはあなたです。
っう!
「城から抜け出す道は夕方説明したとおりメイドが壊した壁から脱出します。すでに馬車と物資はその壁の外においてあるので、脱出さえすれば馬車で一気に国境を越えられます」
「了解です」
「分かった」
最終確認が終わると時刻はちょうど作戦決行時間の5分前だった。
「時間ですので行きましょうか」
「ああ、さっさと国外逃亡してしまおう」
「そうですね逝きましょうか」
「メイドさん・・・なんか発音ちがくね?」
「気にしないでください」
ついに俺たちの自由を書けた脱出劇が始まった。
・・・・・・・・・・・のだが。
「ここが脱出口です」
「簡単すぎだろ?!」
そう、ここに来るのにかかった時間は約5分。元の世界のカップ麺の待ち時間と同じくらいだ。
薬が効いていなかったり、食事自体をしていなかった騎士がいるのではないかと思っていたが、見事に全員寝ていた。
上が上なら下も下なのか。
「この国の騎士はほとんどが貴族の人間ですから無駄にプライドが高いだけで実力なんてそこらへんの冒険者にも劣ります」
よくこんなんで他国に攻められなかったな。
「この町は周りが山に囲まれている割には特産物や資源、希少なものがないので他国には見向きもされないのです。最近は魔王の騒ぎもありますし」
「悲惨だな」
「悲惨ですね」
「さぁ、行きましょう自由を謳歌しに」
そうクウが行った言葉で俺は我に返った。
そうだ、俺はこの世界では何をするのか考えていなかったがこの世界中を見て回りいろんな物を見たり触れたりするのもいい人生なのかもしれないな。
「では、行きましょうかソラ様」
「行きましょう!ソラさん」
「ああ!メイドさん、クウ」
俺たちは馬車に乗って世界を見る旅に出発した。
「ご愛読ありがとうございました。soraの次回作にご期t「いや!終わらねぇよ!」冗談ですよ」
「ちなみに、隣の国に入って最初に行く町は魚介類がたくさん取れる港町ですよ」
「マジで!食べ歩きしたいな」
「っあ!私も食べ歩きしてみたいです」
今回でようやく召喚編終了です。
次回からは冒険者編をやっていきます。
ギャグ路線まっしぐらですwwwご期待ください。
感想・評価お待ちしています。
ソラのヒロイン候補の属性を感想に書いてくだされば何とか答えれるようにがんばります。