第十一話 別れ、そして旅立ち
今回はとても短いです。
楽しみにしていただいた方すみません。
ちなみにサブタイトルは打ち切りフラグではありませんのでご安心を。
この小説はまだまだ続きます。
俺たちが森から町に帰ったときにはもう当たりは真っ暗であと少し時間が遅くなっていたかと思うと、ぞっとした。
今回の依頼の薬草は通常の3倍の量採ってきたので、本来の依頼量10キルに加えて更に20キルももらえた。
ホーンラビットの毛皮は1体分5キルで売れたので合計50キルだった。肉も売っていればもっと稼ぐことができたんだが今後の食費のために肉はとっておくことにした。
「ふむ、厄介なことになりましたね」
宿で夕食を食べていると何かの紙を見ながらメイドさんは呟いた。
「どうしたのですか?モグモグ」
「口に物を入れて喋るなよ。それで、どうしたんだ?」
食べながら喋るクウに注意しつつ俺もメイドさんに聞いた。
「どうやらわれわれは指名手配されてしまったようですね」
なるほど、指名手配かそれは厄介だな・・・・・・って!
「「指名手配!?」」
俺とクウが同時に叫んだ。
「どんな風に書かれているんだ?」
「はい、手配書によりますとメイド服を着た女性と上質の服を着た少女、そして見たこともない服を着ている少年とありますね」
完全にちょっと前までの俺たちのことだな。
この町に着いたときにはメイドさんもクウも俺もこの手配書に書いてあるとおりの服を着ていたからな。
でもこのままだと目立つということでメイドさんが全員分の服を買ってきており今の俺たちの格好は普通の冒険者と大して変わらない。
「クウの身分を明かすことはしてないみたいだな。でも、なんで指名手配されているんだ?」
「これによりますと反逆罪となっていますね。殺しても罪にならずむしろ殺すのを推奨しているので大方あとで困らぬように消しておこうという思惑でしょう」
「たっ大変じゃないですか!どうするんです?」
クウが焦っているが俺とメイドさんはむしろ呆れていた。
「いや、俺たちが捕まることはまずないだろ。なぁ?メイドさん」
「はい、むしろこの手配書で捕まえる気あるのか?と聞きたくなりますね」
「どういうことですか?」
クウがわからなそうにしているので、メイドさんが見ていた紙をクウにも見せてやった。
しばらく見ていると分かったような顔をしたあとに、俺たちと同じように呆れた顔になった。
「何ですかこれ?書いてあるのは服装だけで後は報酬金以外何も書いていないじゃないですか!これで探せっていわれたって無理ですよ」
そう、この手配書には俺たちの前までの服装と報酬金意外なにも書いていなかったのだ。
「でもこれでなんで厄介なんだ?服装が違うんだから素通りできるんじゃないのか?」
「実はそうでもないのですよ。これには書いていませんが町の警備兵には私たちの特徴が教えられているので、このまま三人でいると捕まってしまう可能性があるのですよ」
なるほど、だから厄介なのか。
「でもこれを手配書に書くべきなんじゃないのか?」
「「ですよねぇ」」
やっぱり俺を召喚した国は馬鹿だな。
実際にこれは厄介だな。三人でいると捕まる可能性があるのなら二手に分かれるのが定石か。
「ここは二手に分かれて観光・・・ではなく逃亡するのがよろしいかと」
メイドさんも二手に分かれる作戦を提案してきた。一言聞き捨てならないことも聞こえたが今回は無視しておこう。
「どんな風に分かれるんだ?」
「私はクウと一緒にいたほうがよいかと。この子は世間知らずですから」
それを言ったら俺もついこの前にこの世界に来たばっかりなんだから世間どころじゃなくて常識も知識でしか知らない。
「ソラ様は一人でも大丈夫だと思います。このこと違ってだまされるようなことにはならないと思いますし、クウが姫だとばれれば攫われてしまうかもしれません。それを防ぐためにやはり私はクウと一緒に行くべきかと」
確かにメイドさんの言うことも一理ある。俺は知識だけならあるので冒険者を続けていれば餓死することはないだろうし、クウが攫われる危険性があるのならそっちを優先する必要がある。
「分かった。じゃあ俺はひとりで行く。メイドさんと食うとはしばらくお別れだな」
「そうですね、寂しくなります」
「落ち着いて着たらまた会いましょう」
一緒にいた時間は多いとはいえないがなんだか寂しいものを感じるな。
「じゃあ今後の旅の無事を祈って乾杯するか」
「賛成です」
「では少々高い酒を頼みましょうか」
メイドさんが追加で頼んだ酒のグラスを持って・・・
「また会おうな、乾杯!」
「「乾杯」」
俺たちは再開の約束の酒を飲んだ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
~翌朝~
俺は宿の前で二人に見送られていた。
旅の道具や食料は初めての依頼でもらった金で買った。
「じゃあな、二人ともまた会えるときを楽しみにしている」
「っえぐ、ソラさんお元気で」
「ソラ様の旅路に幸があらんことを」
クウは泣きながら、メイドさんはいつもの調子のようだけど俺のことを心配してくれている。
「ソラさんはどこに行くんですか?」
クウは俺の目指す場所を聞いてきた。
「いや、特に決めていないな。しばらくは近くの町で冒険者をして、何か面白そうなものを見つけたらそこに移動するといった感じかな。クウたちはどうするんだ?」
「私たちはこの町でランクをあげてから次の町に行こうと思います」
俺はこの世界を自分ひとりの力で生き、そしていろんなものを見ようと思う。
そして、この世界のことをもっと知りたいんだ。
「そろそろ行くな」
「「はい」」
俺は二人に見送られながら宿を後にした。
俺が次に向かう場所は山のふもとにある小さな町だ。
そこでランクを上げようと思う。
読了ありがとうございます。
今回はかなり無理やりに三人を引き離しました。
三人一緒にいるとこの後のストーリーでやりたいことがやれないので強行手段をとらせていただきました。
タグにあるとおりこの小説はハーレムなのでこれからどんどんヒロインを出していこうと思います。
読者様の希望のヒロイン属性があれば感想に書いてください。
例)ツンデレ 女騎士
ドジッ娘 エルフ 見たいな感じです。
普通の感想・評価もお待ちしています