第一話 後戻り不能地点
以前にじファンで投稿していたsoraです。
本作は二作目になるので温かい目で見守ってください。
『『『まてやごらー!』』』
「ちくしょー!」
俺の名前は鳴神空。普通の高校公立高校に通う2年生だ。俺の後ろには子供が見たら泣き喚きそうな凶悪な顔をした黒服の人たち。なぜ俺がこんな目に遭わなくてはいけないのだろうか?
そもそもこんな目に遭ったのも全部…
「あの、幼馴染の所為だー!」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
俺は今日の朝は普通に登校して、教室に入り、ダチとしゃべりながら授業の準備をしようとしていた。しかし、朝のHRが始まる前に…
…バタバタバタ、ッガラ
「空はいるか?」
教室に入ってきたのは俺のライフを0にする最悪な幼馴染こと、天童拓真だ。拓真は金髪碧眼で顔も整っている俗に言うイケメンというやつだ。さらに、成績優秀・運動神経抜群といった超人だ。普通ならイケメンの登場に女子は黄色い声援が上がり、男子は嫉妬の視線を浴びせるだろうが…男子からの視線は俺に向いていて、さらに俺に対しての同情が伝わってきた。
その理由は…
「女の子が複数の外人に連れて行かれたところを見たんだ。このまま放っておくことはできない。一緒に来てくれ」
そう、こいつは幼馴染だからといっていつも自分の偽善に俺をつき合わせる迷惑なやつなんだ。しかも…
「ほら、早く行くぞ!」
俺に拒否権はなくいつも無理やり引きずっていく。
「話せ!俺は行く気なんか無い」
と、俺が拒否すれば。
「女の子が攫われたんだぞ!それを放っておくのかよ」
と、返してくる
こいつは自分が誰にも迷惑をかけていると思わず、自分がいつも正しいと思っている痛い主人公体質の偽善者なのだ。
これの所為で、俺は何回も死ぬようなことになったり、怪我は擦り傷から骨折まで体のいたるところにある。クラスの男子はそれを知っているから俺に同情の視線を向けてきている。しかしクラスの女子は、「カッコイイー」「ステキー」「鳴神、早く行きなさいよ」などといってくる。
じゃあ、お前らがついていけよ。と思ったが口に出す前に偽善者|(幼馴染)に無理やりつれていかされた。
教室を出る直前に見えたクラスの男子一同の合唱がひどく印象的だった。
<犯人のアジト付近>
結局来てしまった犯人のアジト?で少しでも死なないようにしようと作戦を考えていると。
「よし、行くぞ!」
拓真がそう言いながら、真正面から突っ込もうとしていた。
「ちょっと待て、コラ!」
俺は切れ気味で拓真の肩をつかんだ。
「なんだよ?!」
拓真が不機嫌オーラ丸出しで俺に聞いてきた。
いや、何で君が切れてるの?
「馬鹿野郎!何で真正面から突撃しようとしているんだよ?普通ここは窓から敵の数と配置、人質の場所を把握してから突っ込むもんだろうが」
「そんなの待っていられるか!」
「おい!」
あいつはまっすぐアジトに駆けていった。
そこで俺がとった行動は…
「帰るか」
この場所から逃げることだった。
あいつがどうなろうが知ったこっちゃないし。
しかし、そうは問屋が卸さないらしい。俺の横を結構なスピードで追い抜いていく拓真とその腕の中で顔を真っ赤にしてお姫様抱っこをされている女の子。
ああ、あの子もあいつのハーレムの一員となるのか。
「空、後頼んだ」
「…はい?」
そう言うと脱兎のごとくかけていく拓真と少女。後ろからはドドドドドと誰かがこちらに走ってくるような音。
いやな予感がしながらも、恐る恐る振り返ってみると。
『『『まてや、ゴラー!』』』
凶悪な顔をした人たち。それを見た瞬間、俺も走り出した。
「ちくしょー!」
そして冒頭に戻る
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「ハァハァハァ、くそ!息が切れてきた」
あれから約10分間は全力で走りっぱなしのため段々息が切れてきたのだ。しかも…
『死ねー』
バンバンバン
「あぶねー!」
相手が銃を撃ってきているので、銃弾をよけるために神経を研ぎ澄ませているから余計に体力を使う。なぜ俺が銃弾を避けれるかというと、拓真の暴走でついに海を渡った時、あるマフィアのアジトに今回のように突っ込んでいって相手が銃を乱射してきたのだ。そのときも俺は巻き込まれていてよけなくては本当に死ぬところだった。
しかし、全部の弾をよけることができず、全治一ヶ月の大怪我を負った。ちなみにあいつは怪我をしていない、俺に全部の敵を擦り付けたからだ。
その後、友人から同情の言葉とよく生きていたなと労いの言葉を言われた。
「くそ!本気でやばくなってきた」
俺は悪態をつきながら道を曲がると、そこは行き止まりだった。
「嘘だろー!」
『フフフ、ついに追い詰めたぞクソガキ』
『おとなしく殺されろ』
相手はイタリア語で|(日本語で表記していますが実際はイタリア語で喋っています)物騒なことを言ってきた。
俺は大体の国の言葉は(巻き込まれた所為で)理解できるし喋れるが、正直わからないほうがよかったと思っている。
『まぁ、待て』(イタリア語)
『ほぅ、イタリア語を喋れるのか』
『だからって、命乞いは受け付けないがな』
『やっぱり?』
俺は説得を試みたが、やっぱりだめだったらしい。
(ハァ、結局こうなるのか。)
そう心の中で思いながら俺はポケットに手を突っ込む。
『ッフ、諦めたか』
『じゃあ、死ね』
俺が諦めたと思ったのか、相手はナイフを片手に突っ込んできた。
「おっと」
俺はナイフを避けて、
「これでもくらえ!」
ポケットの中でつかんでいた缶状のものを相手の足元に投げつける。投げつけた缶から赤い煙がでて相手が混乱しているうちに包囲から抜け出す、このときの俺はガスマスクをつけていた。
『目がいてぇ。何だこれは?』
『アニキ!こいつは催涙ガスだ』
『なに!?』
そう、俺が投げつけたのは催涙弾。しかも俺特製のハバネロと可燃性ガスを組み合わせた強力な改造品。なので、
『そのガスは可燃性だよ』
『『『っな!?』』』
忠告してから俺は安物のジッポライターに火をつけて、ガスの中に放り込んだ。
「Arrivederci」(またな)
捨て台詞をはいたすぐ後にガスに引火して爆発を起こした。
「これで生きているのは難しいだろう。っま、生きていても確実の障害が残るから復習なんて真似はできないだろう。恨むなら俺じゃなくて俺を引きずってきた拓真を恨むんだな」
俺は帰るために。その場を後にした。
余談だが、拓真が助けた少女は戦ってもいない拓真にお礼を言って俺にはお礼すら言わないどころか、俺を邪魔者扱いしてきやがった。まぁ、今まで巻き込まれて戦ってきた中でもお礼を言われたことなんて一度も無かったが、むかつくものはむかつく。
さらに拓真は自分が戦ったことは一度も無い。すべて俺に押し付けていきやがる。だからあいつは偽善者なんだ。
学校に戻ると生徒指導の先生は俺の不遇を知っているので何もいわれなかったが、担任は俺にだけ怒ってきた。(その担任は女で拓真にほれている新任教師だった)理不尽だと思った。
クラスの男子からは、俺を慰める言葉や、担任に抗議してくれるやつがいて目頭が熱くなった。
これからも拓真をどうにかして避けられないか考える日々が続いていくんだと思いながら、勉学に打ち込んでいると。
[見つけた]
っと、不思議な声が聞こえて周りを見ていると薄く透けている人間のような格好をした何かが拓真を見ていた。もう一度よく見てみると跡形も無く消えていたのでこのときの俺は気のせいだろうを思い忘れることにした。
これが俺の日常の後戻り不能地点だったこととは知らずに。
感想・評価お待ちしています。
週一更新目指します。