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あだ名の半分は大抵悪口

「ほーら、じっとしてー」

「くすぐったい!!」

「そんな事言うヤツは、こうだ!!」

「きゃーっ!!」


 イースが持ってきてくれた大きなタオルでレティシアを包んだまま、あたしはくすぐり攻撃を開始する。笑い声を上げて体をよじるレティシアだが……、フンッ、甘いな。このあたしからそう簡単に逃げられると思うなよ!!


「……随分と打ち解けたようですね」

「ん? 何が?」

「レティシア姫とですよ」

「あぁ、すっかり仲良く…………、って、は? 姫?」

「ご存じなかったんですか? そちらのお方はレティシア姫。レビエント殿下の妹姫です」


 あー……。どうしてその可能性に思い当たらなかった、あたし。王城内にいるのだからその線が一番強かったじゃないか。して、どうしよう。散々水をかけたりくすぐった後なんだけど。これはあれか?「無礼者!!」とか言われちゃうわけ?

 恐る恐るタオルをどかしてみれば、レティシアは顔を真っ赤にして……笑っていた。ものごっつ楽しそうな笑顔で。やべっ、可愛いな。


「もう! くすぐったいのはダメ!!」

「す……、すいません」

「?? アカリ?」


 顔色を悪くした事に気づいたんだろう。レティシアは急に態度が硬くなったあたしに向かって首を傾げる。


「いくら子守を任されたとは言え、あまり無茶は止めてくださいね。レティシア様が風邪でも引いたらどうするんです」


 はぁ、と隣で溜息をつくイース。一瞬反省しそうになるが、……いや、待て待て。こいつ今なんつった?


「子守?」

「レイモンド様からレティシア様の子守の仕事を与えられたのでしょう?」

「何それ、知らない」

「え? しかし……」

「もしかして、レティシアが部屋を覗いてたのってそれが理由?」


 するとレティシアはこくん、と頷いた。

 本来なら今日は休んでいいと言われていたから、子守の話もレイモンドさんが明日聞かせてくれる筈だったのかもしれない。けれど好奇心に負けて自分の子守についてくれるという相手を一目見ようと、レティシアは侍女達の目を盗んであたしの下を訪れたらしい。

 結果的に、これでも仕事をしたことになるのだろうか。子守って言うか、一緒に遊んだだけなんだけど。これが本当に衣食住を得る為の仕事なら、思ったより辛くはないのかも。


「そういや説教めが……、いやイースは何しに来たの?」


 やべっ。つい心のあだ名を漏らす所だった。


「……アカリ。あなた今何って言おうとしました?」


 やっぱ誤魔化されなかったか。チッ。

 

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