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子供達は大きくなっていきます。
ネコは年取っていきます。
ネコは以前ほど人間が嫌いではなくなりました。
むしろ、ずっとここに居てもいいくらいです。
オトコノコは中学生になりました。
ネコは、本当の名前ではなく、親しみと慈しみをこめて『ばあさん』と呼ばれるようになりました。
オトコノコの、大きくなった手のひらに撫でられながら、ばあさんはコロコロと満足そうな音を鳴らしました。
めっきり年を取ってしまったネコは、眠っていることが多くなりました。
誰かが自分を呼んだ時は、コロコロと喉だけで返事をします。
ダンナサンもオクサンも、そして子供達も、そんなネコを優しく、大事そうに撫でてくれました。
ネコには、もうどこへ行く気もありません。
居心地のよい、この場所にいつまでも居たいと、ただそれだけを思うのでした。