01節
はじめまして、お見知りおきを。それではどうぞ
チャンチュン。
鳥の鳴き声が微かに聞こえる部屋で黒髪の少女は目を覚ました。
「おはようございます。姫様。」
「おはよう…レイノウ。」
姫様と呼ばれた少女。名をエリカ・クラーディという。まだ覚醒してない脳で、ベットの横に立つ老人に挨拶を返す。その老人の名はレイノウというらしい。レイノウが身にまとう執事服から、この二方は主従関係だと見て取れる。
「朝食の準備が出来ております。お着替えを終えたら、お越し下さい。」
レイノウが言い終えたと同時、部屋の扉を叩く音が聞こえた。
「入って。」
エリカの言葉を聞き、扉が開く。
「失礼します。お着替えの手伝いに参りました。」
扉を開けたのはメイド服を着た女性。
「あ、ありがとう。ソフィー」
女性、ソフィーと入れ替えでレイノウは部屋から去っていく。
「其れでは姫様。またお食事の時に。」
「それでは姫様、お支度を。」
「うん」
ソフィーは毎日エリカの身支度をしているが、そんな複雑なドレスでもなければ、ただの制服だ。一人でも着れるが、一種のマナーみたいな物だろう。
制服を着終わったエリカは最後の仕上げ、と言った様子で指を一振り。
瞬間、その身体が光に包まれる。
光が収まり、エリカの姿を捉えられる様になった頃、エリカが立っていた場所に居たのはーー
中性的な容姿をした、少年だった。
「では姫様、お座り下さい。髪を結いますので。」
目の前に現れた少年にソフィーはまるで動じない。肩につかない程度の茶髪に櫛を通し、慣れた手つきで結い上げる。さも“姫様”であるかの様に。
それもその筈、この茶髪の少年は、魔法で変装したエリカ本人なのだから。
「終いです。今日もお美しい。」
「ははっ、ありがとう。」
いつもの言葉、いつもと同じ様にエリカを連れて、食卓前まで歩いて行く。
ギィと食卓の扉が開き、家族の顔が見えた。
「今日は遅かったね。学校、遅刻しちゃうよ?」
黄緑のドレスを身に纏った、黒髪の女性が笑いながら言う。
「本当だよ、お姉ちゃん。早く食べて行かなくちゃ。」
彼女はエリカが敬愛する実の姉、ノシャールである。エリカなノシャールに向ける笑顔は、側から見たら普通の姉妹だと錯覚するような。そんな笑顔だった。
*
食卓の扉を閉める音が辺りに響く。
「…それでは姫様、学校のお時間です。」
「そうだね、ソフィー。…今からは姫様じゃ無いからな。」
先程と打って変わって男性的な印象を受ける口調に変わったエリカの手を取り、ソフィーは下界へ送ける。
「揺れますよ!」
___________瞬間、二人は路地裏に立っていた
「ありがとうソフィー。」
「はい、行ってらっしゃいませ。」
エリカ、今この時からは真神紫衣となった彼女は手を軽く振りながら学校へ向かって行った。
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