第四話 朝(初日)
「起きて、お願い、目を覚まして。お願いよ層華・・・。目を、覚まして・・・。ぁ、いや、やめて。やだ、だめそんなだめ。連れて行かないで、層華、層華ぁー。うわぁーーーー」
層華のもとに光り輝く人?がやってきた。それを見ながら泣き叫ぶ鏡花の手首を、ニンマリ笑った女性が捕まえた。
さて、どうするか。どっかでポップコーン売ってないかな。
〜〜〜〜〜
時は、少々遡る
(すやすや)
(すやすや)
(すやすや)
「・・・ねえ、今殴ったよね?ボゲンとかゴバッとか言ったよね?気のせい?」
「・・・」
ガンゴンゲンガンボガゴギバキャ
「・・・鏡花?」
「起きろぉー、オキロォー」
コンッ、コンッ、コンッ『あれぇ、まだ起きてないんですかー?』
「・・・」ボキボキボキボキ
「大丈夫な音なの、それ」
ブシッボゲッゴキゴキゴキ
「さっきから目背けといてるけどさ、見て大丈夫そうな状況?」
「オキテオキテオキテオキテ」
ゴンッ、ゴンッ、ゴンッ『ネェ、ナニカ、イッテクダサイヨ』
「お願い・・・目を覚まして・・・もう・・・これ以上は・・・」
その時だった。
ファーーーーーーという効果音と共に、窓を消し飛ばした光り輝く人物が
「活断層華さん、あなたを迎えに参りましt」ゴンッッッゴンッッッゴボゲンッッッッ
「アァアァァァサァァァアァデェェエエェスゥゥゥゥヨォォオオオオ」
〜〜〜〜〜
そして、今に至る。
周りを見渡してみたところ、自分が荷造りした段ボールを見つけた。悲しいかな、役立ちそうなもの、つまり映画鑑賞の友は特に入れていなかった。
「いやだぁあぁぁあ」
「オヤ?ソウカサン、マダ起キテイナインデスカ」
「・・・ぁ、不起焉終さん、ですか・・・」
「イケマセンネェ、朝ハチャント起キナイト。ネェ、天使サン。アナタモソウ思ウデショウ?」
「!、ぃ、そうですねはいその通りです不起焉終さん」
「ジャア、言イ聞カセナイトイケマセンヨネ」
「はいそれしかないと思います」
「ソレデハ、二人トモ行キマショウ」
「やだやだやだやめてぇぇぇぇえええ」
「・・・・・・・・・朝ですか?」
天使(?)が入って来た影響で、ドアと反対側に位置する窓は消失している。また、折しも輝かしい朝日が顔を出し、先程吹き飛ばされた頑丈そうな鉄のドアにその光を降り注がせて。つまり、引きづられつつある二人を強烈な逆光のもとに置く事となったのである。そんな良く見えない場所から、突如間の抜けた声が飛び出してくる。
「ぁ、層華!よかった起きた。不起さんほら層華も起きましたからどうかお許しください何卒どうかご容赦の程を」
「・・・朝食ですか?」
「ヘェエ?」
「えっとほらあの私たち編入対応があってその編入生起こすのに時間かかって層華はやっとさっき起こし始めたばっかりだったんですだから実質起こすのにかかってる時間はいつも通りいやそれ以下なのでどうかどうか今回ばかりは」
「ぁ、鏡花さん伝説目指したんですか」
「・・・マア、編入生モイル初日デスシネ。・・・明日からハ許しませんカらねぇ」
「っはい!!」
「ふフふふふ」
スタ、スタ、スタ、スタ
そして、もはや閉まることのないドアから彼女が出て行った。
「あぁぁぁ、久しぶりに死ぬかと思った」
「ご飯行きましょう」
「層華さん、あなたいい加減にしましょうか。さっきまでの状況わかってますか?」
「伝説なれなくて残念でしたねー」
「ああああもうやだ永遠に起こしといてやろうか」
息を潜めているミイラを横目に聞いていたところ、ちょいちょいと天使(?)がつついてきた。
「あの、編入生の荒天破那さんですよね」
「そうだけど?」
「私、イレブンス・ヘブン楽園店勤務の天使、No.3と申します」
「へーどうも」
「イレブンス・ヘブンではポップコーンも取り扱っておりますので、ぜひお越しください」
「なるほど?」
「それにしても、本当に楽園では私たちの仕事が奪われるんですよね。今回こそ活断層華さんをお迎えできると思いましたのに」
気がつくと、天使の手にはいつの間にかファイルが存在している。ちょっと覗き込むと、そこには
『活断層華:O月X日、夢の世界に囚われてお召し』
などと書いてあった。
「あ、イケダチソウカって・・・」
「まあ、仕事は失敗ですので私は失礼いたします。いずれまたお会いしましょう」
そして一際強く輝くと。次に見たときにはその姿は消え、窓も元通りカーテンも閉まった状態となっていた。
「・・・もう疲れた。・・・あ、破那。自分の荷物ちゃんとありそうだった?着替えたら今度こそ朝食行こっか」
カーテンを開こうと手をかけたところで、鏡花たちの話し合いもひと段落したようである。
「ん、オッケー」
「破那さんおはようございます」
「・・・私は莉子を連れてくから」
「ウンウン」
改めて窓を開けて外を眺めると、雲ひとつない快晴である。ここは二階のようで、下には芝生が広がっていた。かなり奥には林が見えるが、それ以外特に目に入るものはない。
「ああ、気持ちいい」
朝の空気を胸いっぱいに吸い込むと、同時に期待で胸が膨らむ。
そして意気揚々と振り返ったところ、輝くドアに目を焼かれることとなったのであった。
つまり活断層華の状態は結局不明、ということですね。




