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独白21 待つ

宇宙にいる何者かへこのメッセージを送る。


我が名は魔王ヨクラトール。神によって生み出され、惑星テアトロンの支配者である。




勇者ミーナのファクルタス攻略もいよいよ大詰めといったところであろうか。

レイク城への進行が進んでおるようだ。

相変わらず、カモコウモリで捕捉できるときとできぬときがあるようだが、その法則について詳しいことはわかっておらぬ。

どうやら、修行中の様子を隠しておるような気はしておるのだが…

仮説の域は出ておらぬな。


そしてもう1つ。

デストーンがカリスに接触したという情報も入っておる。

おそらく、レイク城でミーナと対面させるつもりなのであろう。

カリスとミーナが戦えばどうなるのか見当もつかぬが…

ステラがいる以上、カリス一人で相手が務まる訳もない。

デストーン、カリス、リリリスの3人で戦う算段なのであろうが…さて、どうなるかな。



今現在は状況が動くのを待っておる。

勇者ミーナ方面は、デストーンとミーナの激突を。

デミデスタ方面は、何者かがコラプティオの統治を申し出るのを。


待つというのは大変なものだ。

物事というのは、自らが何かをする方が楽なものである。

人に指示して待つのを楽だと思う者もいるようだが、そのような者は得てして指示後の待ちを経験しておらぬことが多い。


何が起きているか、具体的にわからぬ不安。

いつ事が起きるか、時間的にわからぬ不安。

指示した相手が、本当に指示通りに動くかわからぬ不安。

予想外のことが起きたとき、自らの手で修正ができぬ不安。

それらに付随して、今、指示を修正した方がいいのか、わからぬ不安。


とにかく待つというのは忍耐が必要である。

不確実に耐え、相手を信じるしかない。

とはいえ、適度に疑うことで不測の事態にも備える。


結局、我は何もわかっておらぬのだ。

それを、待つということは教えてくれる。


今では信頼できる部下も増え、待つことによる不安は少なくなった。

しかし、それでも、完全に安心するということはない。

知らぬこと、わからぬこと、それらは本当に負の感情を呼び起こす。

しかし、その感情との付き合い方を見つけることで、本当に物事を動かすことができるようになるのだ。

それができないなら、せいぜい動かせるのは自分だけである。



ふふ、何であろうな。

今まではボトルメールの魔法を使っておらなんだから、ただ待つだけだったのだが…

我は、このようなことを発信して、どういうつもりなのであろうな。

不安…恐怖…どんなに力をつけようとも、どんなに信頼できる部下を持とうとも…

それが消えることは…ないのだな…


あのミラリスですら、我を殺すのに失敗した。

その事実が、今でも我の心を圧し潰しそうになる。

今度こそ失敗しないという決意は、やる気にもなり、プレッシャーにもなる。

ミーナなら…デスメロディなら…今度こそやってくれるのではないか。

期待を持てば持つほど、失敗したときの傷も深くなる恐怖。

それなら、期待などしない方が楽なのではないか?


いや、期待をするから、背中を押すから、発揮される力というものもあるのだ。

自分が完璧な訳ではない。

他人が自分の可能性を超えて実力を発揮することで、大きな変革というのは起きるものだ。

我が魔王軍を直接指揮していたときよりも、今の方がよい結果が出ることも多い。

ガストールやデミデスタはもちろん、直近で言えばカメラコウモリをカモフラージュさせたミッスイなど、自らの判断で大きなことを成してくれることがある。



わからぬことは未知への不安。

わからぬことは未来への期待。

どちらも運んでくる、不思議な感覚なのだ。

今はただ、待つのみ。



勇者ミーナよ、期待しておるぞ。

ミラリスを超えてみせよ。



ふむ、今日はこんなものかな。


誰とも知れぬ者よ、また機会があれば聞くがよい。

それではな、何者かよ。

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