第32話 ◆「迫る詰みと割り込む手」◆
おはようございます!
皆さん、夏バテしてませんか?
暑さに負けず、今日も乗り越えていきましょう!
さて、そんな微妙な天気をも吹き飛ばすほどの笑いとシリアスが入り混じった絶妙なストーリーはいかがでしょうか?
ではでは、ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!
グリスが書き込んだ未来の炎壁を、ヴァルツェルの駒が一斉に踏み抜く。
炎が裂け、駒が黒い槍となって殺到した。
「ぐっ……!」
グリスは剣で軌跡をなぞり、何本かの槍を逸らした。だが残りは防ぎきれない。
リーアが叫んだ。
「グリス、危ない!」
一瞬の油断で、脇腹を黒刃がかすめた。
熱ではなく、氷のような痛みが走る。
まるで未来そのものを“削られる”かのようだった。
ヴァルツェルの声が重く響く。
「足掻いたな。だが、もう詰みだ」
◆精神を削る占術
グリスの視界に再び金色の脂が広がる。
……が、すぐに揺らぎ、分岐がぼやけた。
短期予知の精度が著しく落ちている。
「……くそ、未来が……視えねえ……!」
めまいが強まり、意識が遠のく。
ヴァルツェルが手を上げる。
「終わりにしよう。お前の“未来”は、ここで凍結する」
その刹那――。
「……そこまでだ」
凍り付いた空間を割るように、重い低音が響いた。
地面を踏み砕き、巨躯が前へ躍り出る。
「ナナシさん!?」
リーアが声を上げた。
「私たちもいるよ!」
プルリ、ミミ、ルルカがそれぞれ武器を構えてナナシの援護をしていた。
黒い槍が突き刺さる前に、《無銘の牙》ナナシの大剣が横薙ぎに振るわれる。
轟音。駒の列がまとめて吹き飛んだ。
ヴァルツェルの視線が鋭くなる。
「……なるほど。盤上に“剛腕”を混ぜ込んだか。フハ!これは愉快。まさか貴様、こちらの輪廻に巻き込まれた口か?」
ナナシは大剣を肩に担ぎ、唸る。
「さあな、そいつは知らないね。ただ、俺らの前にいる敵には容赦はしないってだけだ。駒だの盤上だの、知ったことか。俺は――仲間を斬らせねえ。それに、あいつがやられたら俺らもちょいと困るんでね。」
黒と黒がぶつかる。
ヴァルツェルの氷霜が空気を凍らせ、大剣が火花を散らす。
数手、鋭い応酬が交わされる。だが決着はつかない。
◆退き際
やがてヴァルツェルは、静かに手を下ろした。
「ちッ時間切れだ。……今日はここまでにしよう」
駒たちが一斉に後退し、黒い靄となって霧散していく。
「詰みを逃れた駒も、結局は盤上にある。逃げ場はない。いずれ必ず、凍り付く」
言い残し、彼の姿もまた氷霧に溶けるように消えた。
静寂が戻る。
グリスは膝をつき、荒く息を吐いた。
「……は、危なかった……」
リーアが駆け寄り、彼を抱き留める。
「もう……無茶しすぎよ!」
涙混じりの声に、グリスは気まずく笑う。
「……悪い。でも、こうでもしないと未来は変わらねえ」
その隣で、ナナシは大剣を地面に突き立てた。
「未来を変えるか……。だが、それで相手にやられてちゃ話にならないな。今回は相手の方が一枚上手だったのさ。この戦いは実質相手が逃げたようなもんだが、相手の力量をはかり切れなかったお前の敗因でもあるなグリスさん。だから、今日の敗北を糧に励めよ。」
グリスは顔を上げる。
疲弊しきった身体に、まだ小さな炎が燃えていた。
「……ああ。もう、慢心はしないよ。助かった。逃げ場がないなら、なおさらだ」
「俺は、俺たちの未来を書き換える」
夜風に、まだ消えぬ蒼炎が揺らめいた。
第33話へつづく!
「揺れる未来と、寄り添う温もり」
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】を是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




