第19話:◆「選択の刻、黒刃に問われし者たち ~沈黙の門番、七位の観測者、交差する覚悟~」
おこんにちは!本日2回目の投稿です!
坑道の空気が、まるで巨大な獣が息を吐くように脈打っていた。
赤黒い瘴気が壁の亀裂から滲み出し、地面に刻まれた封印紋が不気味な呼吸を始める。
「……封印が、揺れてる……!」
セフィーナが膝をつき、法衣の裾を握りしめる。額に浮かんだ汗は、熱ではなく、瘴気の圧に押し潰されそうになる恐怖の証だった。
「おいおい、今のは地震じゃねぇな……封印そのものが暴れてる」
ストラウスが大剣を肩に担ぎながら低く唸る。
「……まさか、解け始めてるのか?」
フィリオが弓を番え、隣のヴォルカはバトルアックスを握りしめる。
「嫌な感じだね……骨まで冷える」
「やばいぞ、やばいぞ……」
ゴルドが盾を背負いながらキョロキョロと落ち着かない。
セリカがすかさず肘で小突いた。
「アンタ、さっきから『やばい』しか言ってない!」
その時――坑道の奥から爆風が吹き出した。
爆ぜる光と影が絡み合い、その中から三つの人影が姿を現す。
「お久しぶりですねぇ……」
その声に、グリスは思わず目を剥いた。
「……は?」
現れたのは――渇き村の村長、バルク・ムキムキ、そしてハイテンションオババ。
まるで当たり前のように、坑道の闇の中に立っていた。
「おまっ……! お前ら! なんでここに!? あの時、天界送りにしたはずだろうが!」
グリスが叫ぶ。
「え、天界? あんたアレ冗談じゃなかったの!?」
セリカが即座にツッコむ。
村長は顎髭を撫でながら、
「いやぁ、あの光は気持ちよかった。天界かと思ったら……なぜか坑道の中だったんじゃ」
と、とぼけたように言った。
その瞬間、ストラウスの眉がぴくりと動く。
「……ああ、忘れようにも忘れられねぇ顔だな」
バルク・ムキムキは両腕を広げ、筋肉を盛大にフレックス。
「ストラウス殿にディセル殿、マリィ殿、そしてリーア殿まで! また会えるとは、筋肉の縁は侮れん!」
ディセルは額に手を当て、「……嫌な予感しかしねぇ」とつぶやいた。
マリィは熱を帯びた目で言った。
「……前回は、私も敵の術中にはまった苦い思い出があります。今回は同じ轍は踏みません!ただ、何故でしょう、彼らが現れると敵意よりも味方に同情してしまうのは...。前回も、かなり場を引っかき回されたからでしょうか。」
リーアは深く息を吐き、
「あなたたち……どうしてこんなところに? 渇き村で涙のお別れをした意味は何だったの??別れた時、もう二度と会わないと思ってたのに」
ハイテンションオババは腰に手を当てて高笑い。
「だってぇ〜、あんたら面白いんだもん! 危ない匂いがしたら、ついていくのがアタシの生きがいよ!」
リーアは額を押さえる。
「……本気で場違いすぎるわよ」
「おいグリス、お前の交友関係、ほんとカオスだな……」
ディセルが呆れ、マリィが無言で頷く。
セリカが全員に向かって手を叩く。
「今はマジでそういう話してる場合じゃないから!!」
——
◆封印の異変
瘴気がさらに濃くなり、地の底から低い呻き声が響く。
《……還セ……供犠……目覚メロ……》
供犠剣が浮かび上がり、血色の光を帯び始めた。
レオニスが祈祷の言葉を唱えるも、光は祈りをものともせず膨張していく。
「供犠剣が……呼吸してる?」
プルリが不安げに呟く。
ミミが前に出て彼女を庇い、
「近づくな、何かおかしい」
ルルカの瞳が細まり、
「……封印は壊れる。でも、何かが“待って”いる感じがする」
その時、坑道の奥から再び影が揺らめいた。
現れたのは――黒い瘴気を纏ったクラヴィアに似た人影。だが、その背後に、もう一つの“影”が寄り添っている。
「二人……?」
ナナシが剣を構える。
「……影法師の儀か」
グリスの表情が険しくなる。
「本体と影、二つに分かれてやがる」
影のドッヘルが嗤う。
「ようやく気づきましたか。すべては血脈の調律……あなたたちは、その犠牲」
「犠牲になってたまるかよ!」
ライナーが前に出るが、セリカに首根っこを掴まれる。
「アンタは下がって! 足手まといになる前に!」
——
◆混沌の場と総ツッコミ
ドッヘルと影が供犠剣に手を伸ばした瞬間、グリスが叫ぶ。
「ちょっと待ったあああ!! 今、状況がカオスすぎて頭が追いつかねぇ!!」
シロモフ「モフ! グリス、脳がショートしてるモフ!」
グリス「お前は少しは危機感持てぇ!!」
リーア「……この状況で漫才する神経が理解できないわ」
カイ「いや、こういう奴がいないとマジで全員頭おかしくなるぞ」
ヴォルカ「……でも、正直ちょっと助かってる」
フィリオ「姉ちゃん……同感だ」
ゴルド「あれ? 俺、何しに来たんだっけ?」
セリカ「盾だ! アンタは盾役だ!!」
ハイテンションオババ「アタシは場を盛り上げに来たのよォ!」
マリィ「もう十分盛り上がってます……」
——
◆供犠剣の覚醒とヴァルツェルの影
供犠剣が裂帛の叫びを上げる。
《――鍵はすでに、開いた。》
その声に、グリスの顔色が変わる。
「……この声……俺……知ってる?」
「まさか……グリス、アンタが鍵?」
リーアが息を呑む。
影のドッヘルが嗤った。
「そう、最初からそうだったのですよ」
「いやいやいや! 初耳なんですけど!?」
シロモフ「モフ! 最悪の形で重要情報が開示されてるモフ!」
セリカ「だから現実逃避するな!」
セフィーナが静かに言う。
「なら、一緒に思い出しましょう。あなたが誰で、なぜここにいるのかを」
供犠剣が青い光を放ち始める。
その奥、影のさらに奥で――ヴァルツェルの影が目を細めていた。
(まだ足りない……だが“彼”の覚醒は確実だ)
【第20話】へつづく!
タイトル:「影喰らう刃、記憶の欠片」
サブタイトル:なし!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
今日は土曜日、つまり筆者のエネルギーも充填満タンということ!
今日は連続投稿するよ!
3回目の投稿は、お昼少し過ぎた17時30分に投稿予定!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】を是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




