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第16話:◆「胎動の顕現と影の供犠 ~血脈、欠片、咆哮~」

おはようございます!皆さん、今日は私のところはゲリラ注意出てます!

ゴリラじゃないですよ?ゲリラ豪雨ですよ!


皆さん、急などしゃぶり雨にご注意ください!

あと、夏バテに負けず、今日も乗り越えていきましょう!


さて、そんな微妙な天気をも吹き飛ばすほどの笑いとシリアスが入り混じった絶妙なストーリーはいかが?


本格的な行動内探索が始まり、陰謀と策謀が交錯していきます!


ではでは、ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!

呻き声が、坑道の奥底から響いた。


それは風でも、声でも、魔でもなかった。ただただ、生理的嫌悪を誘う“何か”だった。湿った土と血の匂いが混ざり合い、瘴気はもはや空気と呼べないほどの濃度で坑道を埋め尽くしていた。


誰かの吐息。誰かの嘲笑。誰かの断末魔の祈り。


それらが“混ざり”、一つの“形”を成そうとしている。


「……来るぞ。」


グリスが、低く告げる。


手には魔術書。インクに青白い光を帯びさせながら、彼は坑道の地面に複雑な“連結符”を描いていく。文字は、古代語と現代語が混在した不可解な呪式。それは、この場で唯一、瘴気を押し返す力を持っていた。


「供犠は……人の血と名。それらを喰らい、また血に戻る……」


グリスの呟きが、風のように後方の仲間たちへ流れる。


ナナシは剣を抜き、静かに呼吸を整える。ハイロは眼帯の奥で何かを察知しつつ、かすかに口角を上げた。あの笑みは嘲笑か、それとも……?


「おい、来るなら来いよ――化け物共。」


フィリオの声が沈黙を切り裂く。彼の矢が今にも放たれんと光を帯び、リーアは剣の柄に力を込めた。


坑道の奥から、泥と血が混ざり合ったような塊が蠢きはじめる。


それは形を持たぬ声で叫び、名を持たずして名を喰らおうとする異形の存在――供犠の核たる“胎動”。


「これが……ヴァルツェルが隠したかったものか……」


セフィーナの小さな祈りは、どの神にも届かない。神でさえ、この坑道では“供犠の環”に囚われた傀儡でしかない。


破戒僧カイ・ジュウザンがグリスの肩に手を置いた。


「グリス。……やれるんだな?」


「やるしかねぇ。」


答えたグリスは、魔術書を地面に伏せ、インクの残滓ごと頁を貫くようにペンを刺した。土に刻まれた封印紋が反応し、軋むように光を放つ。


瘴気が咆哮した。


《……供犠の欠片を……還せ……還せ……鍵を……血を……》


呻き声が坑道全体を覆うように響き渡る。


「供犠の核は村……あの村の血脈だ。」


グリスの手が加速する。ペン先が描くのは“封印”ではない。“書き換え”だ。


すでに存在する封印を一度破壊し、新たな“環”を創ることで供犠の核を別の“回路”へと接続し直す。血、土、名を、別の因果に流し替える――それは、神の術に近い所業だった。


(ミスれば、全員が飲まれる……だが、やるしかねぇ!)


頁が軋み、空気が逆巻く。


その時――


《……還せ……鍵を……》


“声”が聞こえた。


ただの呻きではない。意志を持った“声”が。


「……鍵?」


グリスの動きが止まる。


(鍵だと?鍵とは何のことだ?)


彼の脳裏に、これまでの戦い、文献、ヴァルツェルの遺した術式、全ての情報が一気に駆け巡った。


(鍵は、封印を開くものだ。だが、あの声が求めている“鍵”は、まるで自分を封じた何かを破ろうとしている……いや、違う。あれは……“誘導”だ!)


「――ちげぇ! あれ、味方を装って俺を騙そうとしてやがる!」


グリスは即座に攻撃魔術の発動を止める。


「みんな、攻撃を中止しろ! あの声に乗るな、罠だ!」


ナナシが剣を振るう直前で動きを止め、フィリオが矢を空に向けて解いた。


「……罠、だと……?」


「“鍵”を開けさせようとしてる。あいつは“内側”からじゃなく、俺たちを利用して封印を解かせようとしてるんだ!」


(ならば、封印はまだ破られていない。いや、破れることすら望まれてない。望んでいるのは、“暴走”だ……)


その時だった。


背後で、「一歩だけ」、異なる足音が鳴った。


“逆方向”に踏み込んだ音。それは、隊列の中に混ざっていた“何か”が、ついに痕跡を残した瞬間だった。


(……誰だ?)


グリスは振り返らない。だが、肩に乗っていたシロモフが震える声を出す。


「……モ……モフッ……」


ナナシが咄嗟に背後を振り向いたが、姿は見えない。


気配が、薄く、だが確かに、列のどこかに“いる”。


「影の刺客か……!」


ナナシの刃が閃き、虚空を裂くが、その手応えはなかった。だが、そこに“存在していた”痕跡だけは残された。


――そして。


土が割れるような音が響いた。


咆哮が膨れ上がり、坑道の天井を震わせる。


その中心から、“何か”が突き出た。


黒く、禍々しい――剣。


捩れた金属、血と泥に塗れた柄。かつてヴァルツェルが供犠の核を封じるために用いた、儀式具。


「……黒い供犠剣……?」


リーアの声が震える。


「これが……鍵か?」


ハイロの視線が鋭く剣に突き刺さる。


「鍵ってのは、剣じゃねぇ。剣を“使う者”が鍵になるんだ……」


グリスが魔術書を広げ、術式を書き換える手を止めずに言った。


「この剣が核に接続されれば、供犠が発動する……誰かが、これを“意図的に”使えば、封印は破れる……!」


だが、誰がその剣に手を伸ばすのか――


そのとき。


列の中で“誰か”が、口元をわずかに歪めた。


誰にも気づかれないように、ほんの一瞬だけ。


その唇の端には、笑みが浮かんでいた。


咆哮が爆発した。


影が吠え、泥が唸り、剣が共鳴し始める。


「やばい……!」


グリスが叫ぶ。


「一度、外に出るぞ! 一旦、環を切る!!」


「全員退け!」


ハイロの指示に、全員が一斉に後退を始める。


瘴気を払いながら、封印が崩れぬよう、グリスは環を維持し続けた。


そして、坑道の外――光の届くところへ、全員が一時的に退避した。


一瞬の静寂。


息を吐き、汗を拭いながら、誰もが“戦いの終わり”を感じかけた――そのとき。


「……あれ?」


リーアがぽつりと漏らした。


「供犠剣……あんなにすぐ反応して……あれで終わるなんて、変じゃない?」


その言葉に、グリスの頭の中で、全ての違和感が“線”として繋がった。


(鍵、供犠剣、逆の足音……影……)


「――まだだ……!」


グリスが叫んだ。


「終わってねぇ! むしろ、ここからが始まりだッ!!」


その瞬間、地中が震える。


剣が、坑道の中で“誰か”の手によって――抜かれた。


それを誰が見たのか、まだ誰も知らない。


だが、確かにその時。


ヴァルツェルが封じた村の真実が、目を覚まし始めた。


遠く、坑道の影の中。


黒いローブに身を包んだ者たちが、その光景を眺めていた。


「……動いたな。」


「まだ確信はない。“彼”が鍵かは、見極めが必要だ。」


「供犠剣が反応した以上、次は“血の書庫”だ。」


「グリス。……いや、()()()()()()()()だったか。面白いやつだ。どこまで辿り着けるか。」


誰が誰に語りかけているのかすら曖昧なまま、闇の中で“何者か”が嗤った。



【第17話】へつづく!

タイトル:「影踏みの迷図と、胎動の続き!」

サブ見出し:密約、侵蝕、残響の血


どうも、お世話様でございます!


焼豚の神でございます。


最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ


物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!

今後も加速度的に物語が進行していきます!


それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ


◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆


グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」


 → 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。


 → 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。




モフ度


 - 0~19%:平常


 - 20~29%:末端ふわ化


 - 30~49%:耳/尻尾ふわ化


 - 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)


 - 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)


 - 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”



良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!



また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】を是非、この機会に知って頂けますと幸いです!


それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪


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