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第15話:◆「供犠胎動、影の咆哮 ~封じられぬ供犠、嗤う誰か~」

おはようございます!皆さん、今日も暑くなりそうですよ!

夏バテに負けず、今日も乗り越えていきましょう!


さて、そんな夏の暑さを吹き飛ばすほどの笑いとシリアスが入り混じった絶妙なストーリーはいかが?


本格的な行動内探索が始まり、陰謀と策謀が交錯していきます!


ではでは、ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!

坑道は、土と血の吐息を潜ませている。

奥へ奥へ――瘴気はいつの間にか、もう風とは呼べない濃度に変わっていた。

湿った土壁を這う瘴気の膜は、ところどころにうっすらと紋様を刻んでいる。


「……こりゃ、刻印じゃなくて……脈か。」


ハイロが壁を軽く叩き、指先で瘴気の流れを撫でた。

壁の下に潜む何かが、叩いた衝撃に応えるようにくぐもった呻きを吐く。


「瘴気そのものが生き物みたいだな。」


ナナシが剣の柄に手を置き、わずかに肩を揺らす。

笑っているのか、気配を殺しているのか――

暗がりでは判別がつかない。


グリスは魔術書を開き、ペンを走らせながら奥の空気を確かめていた。

青白い光が、坑道をくすんだ鏡のように映し返す。


(封印の紋が“血”で補強されてる……?)


普通の封印は魔力だけで閉じる。

だが、ヴァルツェルのやり口は、血脈そのものを呪具に変えていた。

村人たちの血と骨と――“名”。

それらを土に混ぜ、村そのものを封印の器に作り替えた。


だが、核を探れば探るほど――

グリスの内側で、疑念が膨れ上がっていく。


(誰だ……? 誰が“核”を外に繋いだ……?)


供犠の痕跡は、この坑道の壁の奥だけじゃない。

一行の後方――

足跡すら刻まれていない岩場に、わずかに踏み潰された土塊が一つ。


仲間の誰も気づかない。

踏んだのは誰だ?

遅れてきた者?

いや、最初から《誰か》が紛れていた――?


グリスの瞳が、ふとセフィーナの白銀の法衣を捉えた。

彼女は祈るように胸元を押さえ、震えを堪えている。


(セフィーナ……いや、違ぇな。あの震えは何も知らねぇ者のものだ。)


視線を横にずらす。

リゼットが弓を握る指に、小さく符が巻かれている。

守りの符か、それとも封じの符か――

細工は緻密だが、刻印の端に見覚えのある模様が混じっていた。


(……あの祭礼の衣に、同じ紋があったな……?)


だが、追及は今はできない。

咆哮が近い――

誰かの血を呼び寄せる気配が、坑道の奥に充ちている。


「グリス。」


背後から低い声。

破戒僧カイ・ジュウザンが、鉄の数珠を肩にかけ直し、前を睨んだ。


「封印がこのまま剝き出しじゃ、瘴気が村を喰らい返すぜ。」


「ああ……分かってる。けど……。」


グリスは魔術書を閉じ、ペン先を地面に突き立てる。

ページの隙間から、またひとりでに頁が捲れる。


刻まれた供犠の輪郭が、青白い光の下で鮮明になる。

だが、その隅――

ほんの針のような文字が、わずかに浮かんだ。


(……“○○○”……?)


一文字――名か、暗号か。

しかし読み切る前に、頁は風に巻かれて閉じた。


シロモフが肩の上で震え、声を潜める。


「モフ……グリス……聞こえるモフ……?」


「……ああ。」


坑道の最奥――

崩落した岩の先、土壁に穿たれた空洞の奥から、湿った咆哮が届いた。


呻き声と嗤う声が、絡み合っている。


《……供犠を……還せ……還せ……》


グリスの心臓が、ひときわ強く脈打つ。


「来るぞ……。」


リーアが細剣を抜き、斜めに構えた。

ナナシが隣で剣を抜き放つ。


ハイロは眼帯を指先で撫でた。

一瞬、何かを視たような微かな笑みが浮かんだが、誰も気づかない。


(……お前か……?)


グリスの脳裏を、名前のない疑念が駆け巡る。

だが、まだ言葉にはならない。


坑道の奥で、咆哮が笑った。

影が、咆哮と共に這い出す。


土の胎動が脈を打ち、供犠の残骸が形を取り始める。


《……封じられぬ血……供犠を喰らえ……》


坑道の壁に潜んでいた紋様が、一斉に浮かび上がった。

瘴気が人の形を象る。

それはかつて人であり、供犠であり――

今はただの“鍵”に過ぎない。


背後――

どこかで、足音とは違う小さな“音”がした。


“誰か”が、小さく笑ったのだ。


《……踊れ、黒い手……踊れ……鍵を開けろ……》


影の刺客は、気配すら残さず、列の中に潜んでいる。


だが誰が?

何を?

“咆哮”はすでに目覚めの一端を開いた。


グリスのペン先が魔紋を刻む。

魔術書の頁が、封印の罅を穿つ。


シロモフが声を絞り出す。


「モフッ……グリス……みんな……」


グリスの視線が、仲間たち一人一人を順に追った。

誰が、笑った?


瘴気が再びうねりを上げ、供犠の胎動が呻き声を上げた。


――封じられぬ真実が、今、土の底で産声をあげる。



【第16話】へつづく!

タイトル:「胎動の顕現と影の供犠」

サブ見出し:血脈、欠片、咆哮



どうも、お世話様でございます!


焼豚の神でございます。


最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ


物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!

今後も加速度的に物語が進行していきます!


それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ


◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆


グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」


 → 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。


 → 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。




モフ度


 - 0~19%:平常


 - 20~29%:末端ふわ化


 - 30~49%:耳/尻尾ふわ化


 - 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)


 - 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)


 - 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”



良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!



また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】を是非、この機会に知って頂けますと幸いです!


それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪


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