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第14話:◆「裂け目の向こう、胎動の真実 ~揺れる封印、囁く亡霊~」

おはようございます!皆さん、今日は私のところは雨が降っていますが、外はジメッとした気持ち悪い蒸し暑さですよ!こういうときこそ、熱中症注意です!水分と塩分はいつもより、多いかな?ぐらいが丁度良いかもしれませぬ!!!


そして、そんな夏の暑さを吹き飛ばすほどの笑いとシリアスが入り混じった絶妙なストーリーはいかが?


本格的な行動内探索が始まり、陰謀と策謀が交錯していきます!少しばかり涼しくなるやもしれませぬよ~!(^^♪


さあ、さあ、今日も夏バテに負けず、乗り越えていきましょう!



ではでは、ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!

瘴気は奥へ奥へと続き、地下坑道の息吹は土と血と魔素の腐臭にまみれていた。

灯りを掲げる者、矢を番える者、刃に祈りを宿す者――

異端の者たちは、膝を止めない。

だが、その一歩は、どこかで微かに足を取られているかのようだった。


グリスは右手に収めた魔術書の頁をぱらぱらと捲り、左手の指先でペン先を立てる。

頁の縁をなぞるたび、青白いインクが光を放ち、荒い土壁に一瞬の幻影を映した。


「……封印は、確かに“あの時”起動したはずだ。」


吐き出された独り言が、坑道の冷たい土壁に吸い込まれていく。

肩の上のシロモフが、首を傾げて鼻を鳴らした。


「モフ? グリス、何か変モフ?」


「……ああ。」


坑道の奥へ吹き出す瘴気が、途中でぶつ切りに切られたように途切れている。

それはただの隙間風ではなく、何かが風の流れを押し返している証。

地下に眠る“何か”が――まだ“息をしている”。


リーアが先を進みながら、肩越しに振り返る。

その声は、あえて表面の笑みを纏ったままだ。


「何か気づいた?」


「封印の奥で“何か”が残ってる……封じ切れてねぇ。」


声を潜めながら、グリスの脳裏には、わずかな疑念が脈打っていた。

あれほどの咆哮が、あれほどの血煙が――

簡単に口を閉じるはずがない。


ナナシが眉をひそめ、ハイロと目を合わせた。

坑道の壁に貼りついた瘴気が、かすかに笑ったように揺れた。


「……じゃあ、あの封印は……。」


「完全じゃねぇ。むしろ……“誰か”が、封じ切るつもりがなかった可能性すらある。」


この“誰か”という言葉に、リーアが薄く目を伏せる。

脳裏に浮かぶのは、この村の供犠の歴史を闇に葬ろうとした《あの男》――

名を呼べば、今も坑道に影を落とす《ヴァルツェル》。


しかし、グリスの言葉は、さらにその先を示唆していた。


――封じると見せて、封じなかった者がいる。

――意図的に“封印が破れる余白”を残した者がいる。


その《誰か》は、封印のすぐ外にいたのか、あるいは内部に忍ばせているのか。


坑道の天井を這う無数の亀裂に、グリスの瞳が吸い寄せられた。


《……封じられぬ血……捧げよ……》


泥の層を通して、微かに滲む呻き声。

耳を澄ますと、声の主は一人ではないようにも聞こえる。


《捧げよ……還せ……血は胎へ……声は咆哮へ……》


グリスは魔術書の頁を閉じようとしたが、頁は勝手にめくれ続けた。

青白い光が暗い坑道を撫でるたび、頁に描かれた供犠の円環が浮かび上がる。


「供犠……? これは……村が“村の形”を捨てる前の……。」


シロモフが肩の上で小さく身を縮めた。

毛並みがふるふると震え、鼻先がグリスの首筋に触れた。


「モフ……村の“真ん中”……まだ、何かが眠ってるモフ……。」


供犠の円環――

それはかつてヴァルツェルが私物化した“血の儀式”の始点。

だが、それだけではない。

この円環に刻まれたある紋――


グリスの目が、そこに掠れたように書き足された“名”にかすかに留まる。


だが、その文字は滲んだインクに溶け、誰も正確に読めない。

しかし、いつか――

この伏せられた一文字が、“刺客の正体”を開く鍵になる。


足元で、何かが石の下を走った。

不自然に削られたような坑道の縁。

小石の向こうに、爪の痕のような跡が一瞬見えた。


誰も声には出さなかったが、ナナシは目を細め、ほんの一瞬だけ誰かの名を呟こうとして――

舌の奥で言葉を飲み込んだ。


「……封印の核が……まだ腐ってる……。」


聖女セフィーナが白銀の法衣を握りしめ、指先の血の気を失わせている。

視界が揺れる。

この坑道の奥で、何が待つのか。

何を封じ込めたのか。

いや――

何を封じ込めた《つもり》で、《何を封じ込めなかった》のか。


グリスは魔術書を閉じ、ペン先を土に突き立てた。

青白い光が線を刻むと、坑道の壁に沿って封印紋の罅が浮かび上がった。


「まだだ。ここからが本番だ。――全員、戻るぞ。」


リーアが声を張る。


「戻るって……?」


「出口じゃねぇ。封印の核を探る。“咆哮”はまだ奥にいる。」


坑道の壁の奥で、腐った息吹が蠢いた。

その影の先に、崩落しかけた石の隙間――

わずかな闇に潜む気配。


そこには誰かがいた。

名もなき者か、名を奪われた者か。

あるいは、名を伏せて潜む“刺客”か。


《……計画通りだ……》


吐息のような声が、誰の耳にも届かない低さで笑った。

誰も気づかない。

だが、誰も気づかぬままではいられない。


坑道の奥、崩落した石の隙間に一筋の布が垂れている。

それはかつて、村の祝祭で纏われた祭礼衣の断片――

今は誰が手にしているのか。


《……ヴァルツェル様の意志を継ぐ者よ……黒い手は封じの鍵……このまま踊れ……》


声が土に沁みる。

影は、封印の罅を指先でなぞる。

笑みを浮かべているのか、泣いているのか――誰も知らない。


坑道を進む者たちは、なおも奥へと足を運ぶ。

だが、その背中に向けられる目は一つではない。

坑道の奥、村の胎動の奥、そして人知れぬ“誰か”の胸の奥――

すべての血脈が、封じたはずの咆哮に繋がっている。


グリスの額を、冷たい汗が伝った。

ペン先が新たな魔紋を刻むたびに、頁の奥に封じたはずの血が疼く。


《咆哮》が、再び土壁の奥から滲んだ。

誰かの名を呼ぶように、あるいは誰かを笑うように。


坑道の灯りが、一瞬だけ揺らいだ。

その一瞬を、誰も忘れない。


何が起きたのか、誰が仕掛けたのか――

すべての答えは、遠くない先で必ず咆哮する。



【第15話】へつづく!

タイトル:「供犠胎動、影の咆哮」

サブ見出し:封じられぬ供犠、嗤う誰か




どうも、お世話様でございます!


焼豚の神でございます。


最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ


いやはや、ようやく他の冒険者クランメンバーとの邂逅を果たしましたね!

そして勘が鋭い人はもう気が付いているかもしれませんが、今回グリスたちと邂逅を果たし、一緒に行動を共にしている冒険者クランの1つ【無銘の牙】は、筆者の別作品に登場する主人公たちです!


彼らがなぜ、この依頼に参加しているのか?

追々、謎が判明していきますのでお楽しみに!


それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ


◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆


グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」


 → 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。


 → 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。




モフ度


 - 0~19%:平常


 - 20~29%:末端ふわ化


 - 30~49%:耳/尻尾ふわ化


 - 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)


 - 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)


 - 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”



良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!



また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】を是非、この機会に知って頂けますと幸いです!


それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪


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