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第13話・続:◆「封印の咆哮と血の供犠 ~闇の胎動、白銀の矢(後編)~」

おはようございます!皆さん、今日も暑くなりそうですよ!

夏バテに負けず、今日も乗り越えていきましょう!


さて、そんな夏の暑さを吹き飛ばすほどの笑いとシリアスが入り混じった絶妙なストーリーはいかが?


本格的な行動内探索が始まり、陰謀と策謀が交錯していきます!


ではでは、ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!

 

 坑道の奥を支配していた瘴気の渦が、閃光と共に断ち切られた。

白銀の矢が血核を貫き、最後の呻きが地の底へ吸い込まれていく。

――音が、静寂に飲まれた。


割れた封印紋は、赤黒い光を最後に淡く瞬き、砕けた欠片が土へと還っていった。


「……終わった、のか?」

ハイロが肩で息をし、槍を床に突いて呻いた。


セフィーナが胸に手を当て、祈るように目を閉じる。

「……主の加護に感謝を……。」


ルルカがくるりと体を捻ってプルリにウィンクする。

「さーて、帰ったら熱いスープだな。」


ナナシが血の付いた短剣を靴で拭い、天井を睨んだ。

「油断すんなよ……一応、後始末はしておく。」


グリスは小さく息を吐き、ペンを握る手を膝に落とした。

額から一筋、冷たい汗が落ちる。


「……あっさり、すぎる……。」


肩の上でシロモフがふわふわと丸まり、尻尾でグリスの首元を叩いた。

「モフモフ! 終わったモフ! 早く地上に戻って、毛玉スイーツ買うモフ!」


「……ああ。」


リーアがそっと近寄り、グリスの頬を撫でた。

「無理しないで……今回は、みんなのおかげで無事だったわ。」


だがグリスは、その言葉に頷きながらも――

胸の奥に引っ掛かる、粘つくような違和感を舌で転がしていた。


(……瘴気の量……血核の反応……裂け目の規模……おかしい。)


坑道を照らす松明の光は、封印の刻印が割れたにも関わらず、未だ奥の土壁に微かに赤黒い脈動を映していた。


「……ヴァルツェル……。」


グリスの視線が、崩れかけた坑道の壁の奥を貫いた。


セフィーナがくるりと振り返る。

「さあ……戻りましょう、皆さん。」


ハイロが豪快に笑う。

「酒だ酒! 今日ばかりは飲み明かしていいだろう!」


プルリが人差し指を唇に当てて、くすりと笑った。

「熱いお風呂もー。」


ルルカが肩を竦めた。

「やれやれ、せめて服は脱いでから入れよ。」


皆の足音が坑道の出口に向かい始める。

一歩、二歩……空気が外気の冷気に変わり始めたその瞬間――


グリスの頭の中で、違和感が一気に繋がった。


(……待て、待て。血核があれほどの瘴気を生んでいて……裂け目の奥には瘴気の源が……あんなに浅い層で終わるわけがない。ヴァルツェルが封じた理由……封印の口の“奥”だ……!)


誰かが「出口の光だ!」と声を上げたとき、グリスの背を冷汗が伝った。


(繋がった……繋がった……! ヴァルツェルは瘴気を封じたんじゃない。瘴気の奥――“村の記録”を闇に埋めたんだ……! あの血核は鍵に過ぎない……!)


目の前にちらりと浮かんだ。

断片――朽ち果てた村の石碑、風化した刻印、血で塗り潰された紋章、そして……焼け爛れた書簡。


――ヴァルツェルが葬り去りたかった“真実”の残響。


(……まだだ。まだ終わってない。)


シロモフが出口に向かおうとするグリスの耳を引っ張った。


「モフッ!? 早く出るモフッ! お腹空いたモフッ!」


「……シロモフ。」


「モフッ?」


グリスは、瞳の奥を光らせたまま小さく笑った。


「悪いな……スイーツは後だ。」


振り返りざまに、坑道の奥へとペンを走らせる。

七色の光が魔術書を覆い、青白い光が再び揺らめいた。


リーアが目を見開いた。


「……グリス……?」


全員の視線が一斉に戻った。


「まだだ。まだ……終わってない!!」

グリスの声が坑道を裂いた。


フィリオが弓を肩に乗せ、眉をひそめる。


「おいおい、終わったんじゃ……。」


「違う! これは“入口”だ。あの血核は封印じゃない。“鍵”だ。」


ハイロが息を飲んだ。


「鍵……だと?」


グリスは膝をつき、崩れた壁の奥をじっと睨む。


「この先に……ヴァルツェルが消したかった真実がある。」


ナナシが目を細め、背後を振り向く。


「つまり……封印どころか、今、口が開きかけてるってことか。」


「そうだ。」


坑道の天井に、微かにひび割れた刻印が再び脈打った。

遠くで、ひそひそと囁くような声が混じる。


グリスの頭の中で、また新たな文字列が走る。


(……村の血脈……供犠の記録……すべては、俺の本に繋がる。)


シロモフが不安げに尻尾を丸めた。


「モフ……何が始まるモフ……。」


グリスが低く笑った。


「これからだよ――物語は、ここから始まる。」


坑道の外、微かに風が揺れる。


遠く離れた岩陰、その闇に、仄かに人影が潜んでいた。

フードを深く被った影が、薄く笑い声を漏らす。


「……気づいたか、クロニクル・ベアラー……。」


声は誰にも届かない。

影は複数、坑道の入口と裂け目を囲むように散っていた。


「さて――どう動く?」


坑道の中、七色の光に照らされるグリスの瞳に、村の過去がひと筋、亡霊のように滲んで揺らめいていた。


(真実を――書き換えさせはしない。)


――封印の咆哮は、まだ終わっていなかった。

物語は、いま再び胎動する。



【第14話】へつづく!

タイトル:「裂け目の向こう、胎動の真実」

サブ見出し:揺れる封印、囁く亡霊




どうも、お世話様でございます!


焼豚の神でございます。


最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ


いやはや、ようやく他の冒険者クランメンバーとの邂逅を果たしましたね!

そして勘が鋭い人はもう気が付いているかもしれませんが、今回グリスたちと邂逅を果たし、一緒に行動を共にしている冒険者クランの1つ【無銘の牙】は、筆者の別作品に登場する主人公たちです!


彼らがなぜ、この依頼に参加しているのか?

追々、謎が判明していきますのでお楽しみに!


それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ


◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆


グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」


 → 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。


 → 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。




モフ度


 - 0~19%:平常


 - 20~29%:末端ふわ化


 - 30~49%:耳/尻尾ふわ化


 - 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)


 - 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)


 - 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”



良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!



また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】を是非、この機会に知って頂けますと幸いです!


それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪


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