第12話:◆「聖女と破戒僧とメイドと??渇きの口へ! ~誓いの光、蠢く闇~ 」
おこんばんは~!本日3回目!
珍しくも、真面目回です!
陰謀渦巻く地下探索回がいよいよ始まります!
ではでは、ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!
赤土の荒れ果てた村跡に、朝の光はとうに薄れ始めていた。
冷たい瘴気の息吹が、地下坑道の口から吹き上がり、
三つ巴の影――《黒い手》《白霧の鷹》《無銘の牙》の周囲を撫でていく。
新たに響く馬蹄の音が、崩落口の奥へと向かって近づいてくる。
砂煙の向こうから姿を現したのは、白銀の法衣に身を包んだ聖女だった。
透き通る銀髪に、朝露を纏ったような淡い瞳。
十九歳の若さに宿る凛とした気高さと、成熟した女の艶やかさが同居する。
豊かな胸元とくびれた腰、引き締まった肢体の曲線は法衣越しにも隠しきれず、
漂う瘴気を光のように弾き返している。
《聖女》――セフィーナ・ヴァルクレイン。
背後には、漆黒のメイド服に身を包んだ弓使いの従者――リゼット・アルマロード。
そして、鉄の数珠を肩に掛けた坊主頭の巨躯の男――破戒僧カイ・ジュウザン。
グリスは左胸のポケットにしまっている魔術書を静かに撫で、右胸ポケットにしまっている剣の柄に指を添えたまま、わずかに目を細める。
「……教会の異端審問部隊ってのは、美女を先頭に立てる趣味でもあるのかねぇ?どう思うシロモフさんよ?」
シロモフが肩で「モフ」と鼻を鳴らした。
「まあ、あれモフよ。歩く広告ってことモフ。美女美男であればあるほど、市民にとって最高の免罪符になるモフ。だからじゃないモフかねぇ、グリスさんや?」
「なるほど、合点がいきましたよ!シロモフさん!」
「モッフモッフ!!」
「いや、お前ら緊張感なさすぎるだろ!」
リーアお嬢様護衛騎士隊隊長のストラウスが強烈なツッコミを二人にぶつけた。
「クスクス♬さすがね、グリスさんもシロモフさんも。おかげで、みんなの緊張が程よく溶けたみたいよ。」
リーア・バレンスタインお嬢様が静かに賛辞を二人に送った。
そして、件の聖女部隊が合流を果たした。
セフィーナはゆるく馬の手綱を収めると、真っ直ぐにグリスに視線を合わせた。
その声には、大人の女性としての艶と気迫が滲む。
「初めまして、異端者《黒い手》の皆さま。
わたくしはヴァルクレイン家当代の聖女――セフィーナ・ヴァルクレインです。
……主の光を以て、ここに集いし者たちと共に、闇を断ち切りに参りました。みなで、この難局を乗り越えていきましょう!」
風に揺れる法衣が、その豊かな肢体をわずかに形作り、
隣のリーアが唇を艶やかに弓なりにした。
エルネアが椅子から立ち上がり、丁寧に礼を取った。
「お待ちしておりました、セフィーナ殿。
《白霧の鷹》の一隊、剣士長エルネア・ラゼルフィアと申します。
……王都よりの命を受け、この崩落地の安全をお守りいたします。」
エルネアの声音は澄んでいて、芯の強さが滲む。
セフィーナは瞳を細め、胸元にかかる銀の装飾をそっと押さえ、柔らかく微笑んだ。
「まぁ、ご丁寧な対応感謝致します。あなたが、かのエルネア殿ですね。お噂はかねがね聞いております。貴殿たちの、そのご尽力、感謝いたします。我々もまた、瘴気を拡げぬために全力を尽くしましょう。」
ストラウスが目を細めて笑い、剣を片手で担ぎ上げた。
「ずいぶんと礼儀正しい聖女様ですな。
……で、その後ろの坊主とメイドは何でしょうか?」
セフィーナは豊かな胸元を包む法衣の裾を整え、ちらりと背後を振り返った。
リゼットは無言で一歩進むと、黒いマントを翻し、弓を握り直す。
「リゼット・アルマロード。
聖女様の盾であり矢でございます……どこへでも穿ちます。」
その声は冷たく、砂を踏む音さえ切り裂く。
続いて坊主頭の大男――カイ・ジュウザンが、大地を踏み鳴らすように前に出る。
「わしはカイ・ジュウザン。破戒の徒にして拳僧。
祈りは薄いが、拳は分厚い――この身で闇を砕く。」
地響きのような声と共に、鉄の数珠がじゃらりと鳴った。
ナナシが腕を組み、低く口元を歪める。
「教会の坊主が破戒とは、皮肉なもんだな。
……何を壊すつもりだ?」
カイは拳を握り、額にあてて笑った。
「瘴気も、怨霊も、欺瞞も……生きて帰れぬもの全てだ。」
プルリが目を丸くして、小さく拍手した。
「わぁ……頼もしい……。」
ミミがナナシの袖を引き、囁いた。
「……あの坊さん……絶対お酒強い系……。」
リーアが腰を揺らすように髪をかき上げ、艶やかに笑う。
「役者が揃ったわね……。これで、“開けてはならぬ扉”に手をかけられるということですね。ようやく、彼らとの約束を果たせそうです。」
グリスが剣を坑道の入口へ向け、深く息を吐く。
「言葉はもう要らないみたいだね。
――では、潜るとしましょう。ここからは自己責任です。自分の身は自分で守って頂くようお願いします。」
エルネアが背後を振り返り、《白霧の鷹》の仲間たちに目配せする。
ハイロが眼帯を押さえ、にやりと笑った。
「さて、地獄巡りだ。槍の穂先、鈍らせんなよ。」
フィリオが矢筒を覗き込み、軽く口笛を吹く。
「瘴気まみれの魔物……毒矢通じる相手で頼むよー。」
ヴォルカが斧を握り直し、低く呟く。
「肉の切れ味を試すには、獣がいい。」
レオニスが胸元の聖印に触れ、祈りを口にした。
「……地の底に光を。闇に囚われし魂を導き給え……。」
「ああ、もちろんだ。(自分の身は自分で守ってねぇ。まるで、坑道内で起きた不慮事故はスルーするような口ぶりだねぇ。ちと、チェックだな。あの剣士も。)」
グリスは内心、冒険者クラン《盗賊ギルド黒い手》のギルドマスター:ロイ・ドグマに言われたように、誰がヴァルツェルの息がかかってる者なのかを静かにチェックしていた。
坑道へと足を踏み入れるその時、
セフィーナが胸元の銀の装飾に指を置き、ゆるやかに振り返った。
「……此度の主導者は《白霧の鷹》エルネア様たちですね、真ん中が私たち聖女部隊で、後方がグリス殿とナナシ殿のチーム配置ですか。いい判断ですね。何があろうと、わたくしは退きません。必ず、この村の悲劇を終わらせます。」
深く息を吐くたび、豊かな胸が静かに上下し、瘴気すらかき乱す。
グリスは刃を闇に向け、わずかに笑った。
「……好きにしろ。
生きて帰れりゃ、神様だろうが何だろうが、文句は言わん。」
シロモフが肩の上で「モフ」と呟いた。
「モフ……シロモフは非常食じゃないモフ……。」
ライナーが爆薬の袋を背負い、声を上げた。
「よっしゃ! 最初に吹っ飛ばす壁はどれですか、グリスさん!」
坑道の奥から呻き声が微かに響き、瘴気は腐臭を混ぜて這い寄ってくる。
リーアが髪をかき上げ、笑みを深めた。
「――幕が上がるわ。この村の、最後の幕が。」
ナナシが短く頷き、声を落とした。
「さてさて、鬼が出るか蛇が出るか。まあ、何にせよ嚙みちぎるまでだな。俺らの牙の力見せてやるよ。誰も、死なせねぇからよ、いくぞ、プルリ、ミミ、ルルカ!」
「「「はい!ご主人様!!」」」
こうして、異端の者たちは崩落の口へ――
赤土の底に眠る封印と瘴気の渦へと、一歩目を刻んだ。
【第13話】へつづく!
タイトル:「封印の咆哮と血の供犠」
サブ見出し:闇の胎動、白銀の矢(前編)
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
今日はもう打ち止めです!
また明日よろしくお願いします!(/・ω・)/
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
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