第11話:◆「赤土の底、三つ巴の影 ~崩落の口、地下に潜むもの~」
おこんにちは~!本日2回目!
珍しくも、真面目回です!
陰謀渦巻く地下探索回がいよいよ始まります!
ではでは、ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!
荒れ果てた赤土の村跡に、まだ朝の陽光が残っている。
《黒い手》《白霧の鷹》《無銘の牙》――三つの影が、渇いた風の中で睨みを交わしていた。
馬車の残骸から少し離れた仮門の脇に、粗末な野営テーブルが置かれている。
それぞれの代表が腰を下ろし、武具を鳴らしながら、その空気を張り詰めさせた。
グリスは片膝を組み、肩のシロモフを撫でると、対面の女剣士をまっすぐ見据えた。
《白霧の鷹》の女剣士――名はエルネア・ラゼルフィア。
白銀の髪を肩に流し、瞳には冷えた蒼色の光が宿るが、その奥にはどこか憂いも漂う。
エルネアは鷹の紋章が刻まれた留め具に指を添え、小さく会釈した。
「グリス殿、ここまでの御足労、誠に感謝いたします。
……皆さまも、荒地の長旅でさぞ疲れたことでしょう。」
ディセルがテーブルの端を指先で叩き、皮肉げに肩をすくめた。
「へぇ……王都の選りすぐりが、お出迎えとはな。」
ストラウスが大剣を肩に担ぎ、鼻で笑った。
「“選りすぐり”と言っても即席の寄せ集めだろ? 使い潰す気じゃないだろうな。」
エルネアは小さく息をついて笑った。
しかしその目は、深い湖面のように穏やかだった。
「……いいえ。私たちは、貴方方と同じく命を張る立場です。
ただ、王都の大貴族様から直々に任を受けた以上、どうしてもお伝えしなくてはなりません。
この任務では、崩落地の調査と危険因子の排除が最優先となります。
もちろん、無用に誰かを犠牲にするつもりはございません。」
彼女の背後に並ぶ《白霧の鷹》の面々が、一人、また一人と小さく動いた。
一人は片目に黒革の眼帯をした槍兵――ハイロ・クラフト。
無精髭を指で撫でつつ、短く吐き捨てる。
「……とは言え、前線に立つのは俺たちだ。
仕切りたきゃ、指示は早くしてくれ。」
隣の弓手――赤毛の少年、フィリオ・バルサスが首を傾げて口を挟む。
「エル姉、奥って……やっぱ瘴気、そんなにヤバいの?
俺、毒矢だけじゃ足りねぇ気がして……。」
背の高い斧兵――黒肌の女、ヴォルカ・ルーガは無言で腕を組み、低い声で呟いた。
「……腐った死霊か、地下の蛇か……どちらでも良いわ。
斧で叩き潰すだけ。」
そして、一歩後ろに控える小柄な神官服の男――レオニス・フェイランが不安げに口を開く。
「……あの、エルネア様……例の報告……今お伝えすべきかと……。」
エルネアが静かに頷き、グリスへと視線を戻す。
「グリス殿……実は、もう一つお伝えしなければならぬことがございます。
王都よりの命とは別に、教会の異端審問部隊が、急遽この任務に参加するとのことです。」
グリスの眉がぴくりと動いた。
「……異端審問? 教会がこの村跡に何の用だ。」
エルネアは、ふっと苦笑を零した。
「詳細は、私にも一任されてはおりません。
ですが、“瘴気の封印”と“旧祭祀場”に関わる何かが、
教会の教義に触れる可能性が高いのだと……。」
すると、レオニスが小声で補足する。
「確か……聖女殿下と、その従者、それに異端破戒僧の派遣が決まっているとか……。」
ストラウスが吹き出した。
「聖女様に坊主? 荒野で教会劇でも始めるのか。」
シロモフが小さく尻尾を振って呟く。
「モフ……聖女……モフモフ……。」
その場に漂う空気を変えるように、《無銘の牙》のナナシが低く唸る。
「余計な足音が増えるな……。
だが、封印の奥を開けるなら……教会の護符は都合がいい。」
ナナシの背後でプルリが、そっとグリスの腕を引いた。
「グリスさん……地下、あまりに瘴気が濃かったら……私、魔力で道を整えます。」
ミミが耳をぴくぴく動かして地面を覗き込む。
「……奥、なんかいるよぉ……動いてる……!」
ルルカは剣をゆらりと撫で、視線を《白霧の鷹》の背後へ滑らせる。
「……そちらの後ろに紛れている人形たち。
ヴァルツェルの犬でしょう?」
グリスがゆっくりと立ち上がり、大鉈を肩に担いだ。
「……まぁいい。誰が味方で誰が裏切るかは、潜れば嫌でも分かる。」
ストラウスが剣を抜き、ディセルが双剣を手で撫でる。
ライナーは荷袋を抱えて元気よく叫んだ。
「グリスさん! 俺、爆薬いっぱい持ってきましたよ! 今回は洞窟ごと吹っ飛ばしますか!」
シロモフが胸を張る。
「モフ……食料……爆薬と一緒に入れるモフ……。」
エルネアは小さく息をつき、背後の部下たちを振り返る。
「……ハイロ、前衛に備えて。
フィリオ、毒矢の準備を。
ヴォルカ、貴女の斧は心強い。
レオニス、封印扉の前で祈祷をお願い。」
ハイロが口元を吊り上げた。
「ったく……仕事増やしやがって。」
フィリオが無邪気に笑う。
「おっけー! エル姉が言うなら、任せといて!」
ヴォルカが片手で斧を掲げ、低く応えた。
「潰すだけ。……それだけだ。」
レオニスは小さく胸に十字を切り、瞼を伏せた。
「神よ……導きを……。」
その時――仮門の奥から、軽やかな馬蹄の音が響いた。
風に乗って、白い法衣の裾が揺れる。
リーアが冷たく笑った。
「……来たみたいね。“教会の聖女様”が。」
砂煙の奥から現れたのは、聖なる装束を纏った一人の女性――
銀色の髪、凛とした瞳を持つ《聖女セフィーナ・ヴァルクレイン》。
その後ろには、黒衣の従者メイドが弓を抱え、
さらに坊主頭の大男が鉄の数珠を肩に掛けて歩いてくる。
新たな影が、崩落地の口へと足を踏み入れようとしていた――。
【第12話】へつづく!
タイトル:「聖女と破戒僧とメイドと??、渇きの口へ!」
サブ見出し:誓いの光、蠢く闇
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
今日はあと、もう一本投稿します!
投稿は21時10分予定です!
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
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