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第10話:◆「荒野に響く絶叫と、渇き村の朝」 サブ見出し:衝撃の着地と新たな歓迎

おはようございます!本日1回目!


今回は、ついに乾き村に到着して他の冒険者クランの面々と邂逅を果たす回のお話です(^_-)-☆


ご飯はゆっくり食べて、落ち着いてから読み進めるのがよろしいかと!!

事前注意はしたからね??(/・ω・)/


ではでは、ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!

 ――轟音と絶叫を撒き散らしたクロニクルスプリント改は、

 ついにその魔力を吐き切った。


 村の門の前、赤土の荒地を抉りながら、馬車はつんのめるように急減速する。


 「お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお……!!」


 ライナーの長すぎる叫び声が、途中で声帯の限界を迎え、裏返った。


 後方では、ストラウスが大剣を抱え、荷台の枠に片腕を突っ張って必死に踏ん張っている。


 「減速しろっ……減速しろって言ってんだろがあああああ!!」


 ディセルは歯を食いしばり、双剣の柄を掴んだまま荷台に膝を突いていた。


 「……これ以上は、神に祈るしかない……!」


 マリィはぎゅっと目を閉じ、長剣を抱いて必死に念仏のように唱える。


 「止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ……!」


 セリカは小声でため息を吐き、諦めたようにポツリと漏らした。


 「まぁ……死ななきゃいいか。」


 ゴルドはというと、巨大な体を荷台の中央で丸めていたが……突然、


 「……あれ? 俺……何してたっけ……?」


 と、思い出せない顔をして首をかしげていた。


 シロモフはグリスの肩で、もはや耳を塞ぐことも諦めたようだ。


 「モフモフモフモフ……モフは空を飛んだモフ……夢じゃないモフ……。」








 そして――


 馬車の先頭で、腰を浮かせたままのリーアお嬢様が、グリスに身を預けるようにしてケラケラ笑った。


 「グリス! 最高だったわ! もう一回やりましょう?」


 「……考えておく。そもそもやるとしたら帰りだろ……。」


 グリスは肩を震わせながら、軋む車輪の音に耳を澄ます。


 やがて――


 ドオオン!! と、最後の跳ねを残して馬車は土煙を巻き上げながら荒野に止まった。


 空気が止まる。

 砂煙がゆっくりと流れて消える。

 残ったのは、荷台のあちこちに張り付く護衛たちの呻き声だけだった。


 グリスは大きく息を吐き、崩れるように荷台の縁に腰を下ろす。


 「……生きてるな。奇跡だ。」


 シロモフが放心したまま、ぽそりと呟く。


 「モフ……おにぎり……一つ残ってるモフ……モフは生きるモフ……。」




 ライナーがズザザッと尻でずり落ち、両手を上げてグリスを見上げた。


 「グリスさん! 最高っす!! 俺、一生パシります!!」


 「……だからやめろって言ってんだろ。」





 馬車から降りた面々は、それぞれに目を細めて、

 あの依頼――いや、事件と呼ぶべき惨劇以来の渇き村の跡を見つめた。


 地平には、かつての村の影もない。

 人影も、怨念も、もう何も残っていない。


 唯一、地形の崩落を囲うように、

 即席の仮門と粗末な駐屯所が、朝焼けの中にぽつんと建っていた。


 ストラウスが大剣の柄を握り、唇の端をわずかに動かす。


 「……何も……無くなっちまったな。」


 マリィは目を伏せて、かすかに震える声でつぶやく。


 「誰も……いない……。あの時……私たちは……。」


 セリカが、マリィの背を軽く叩いた。


 「泣くなよ。もう……終わったことさ。誓ったろうあの時?」


 ディセルは荷台に腰かけ直し、手元の双剣を眺める。


 「何度磨いても……血の跡だけは心に残る……か。」


 ゴルドは土埃に鼻をくすぐられ、くしゅんとくしゃみをした。


 「……俺、なんか腹減ったな……。」


 リーアは淡く微笑んで、廃墟の向こうをじっと見つめる。


 「でも、ここで終わりじゃないわ。ね、グリス?」


 グリスは、ため息を吐き、肩のシロモフが小さく鳴く。


 「モフ……終わりじゃないモフ……始まるモフ……。」


 「――そうだな。」


 その声は荒野に溶けていった。


 と、その時だった。

 仮門の前から、数人の影がこちらへ歩み寄ってくる。


 先頭を歩くのは、白銀の髪を揺らす女剣士。

 胸元の《白霧の鷹》の紋章が、朝日に淡く光っている。


 「……おーい! あなたたいが《黒い手》でしょうか! 想像以上に騒がしい登場ですね!」


 グリスが視線を上げる。


 「初顔だな。王都の《白霧の鷹》か?」


 女剣士は口角を上げて近寄り、軽く鷹の紋章を叩いた。


 「そうです。王都のクランから実力順に選ばれた即席部隊ですが。……ま、王都の大貴族様の“特別な命令”で、渇き村調査だけは組むことになっただけですけどね。」



 背後の数人が、互いに目を交わす。

 その中の二、三名が、わずかに影を落とす冷たい視線をしていた――

 グリスの目に、ほんの一瞬だけだが、それは焼きついた。



 「……そうか。」


 短く返すグリスの肩で、シロモフが耳をぴくりと動かす。


 「モフ……怪しいモフ……裏があるモフ……。」



 女剣士は笑みを絶やさず、視線を外した。


 「で――もう一つ、顔合わせてもらう奴らがいる。」






 その背後の影。

 仮門の陰から歩み出たのは、巨大な影――筋骨隆々の大男だ。

 人間のはずの顔に、どこか獣の面影を滲ませる。


 《無銘の牙》――ナナシだった。


 ナナシは視線を一度、グリスの奥深くに突き刺す。


 「……よう。無名の牙のクランリーダのナナシだ。よろしくな、グリスさん。それよりも、面白い着地だな。」


 「……初めましてですね、あなたたちとも。」


 ナナシは鼻で笑っただけで答えず、肩に乗せた斧をゆっくりと置いた。


 その後ろに、スライムの名残を感じさせる青髪の美少女プルリ。

 獣耳を揺らすミミ、そして尻尾をゆらすルルカ。

 《黒い手》の面々に、わずかに会釈だけをして、無言で周囲を見回す。





 グリスは、ナナシの横顔をじっと見つめた。

 何かが胸の奥をざらつかせる――

 同族意識か、もっと別の、何か。


 「……妙に……気になるな。」


 小声で漏らした言葉を、シロモフがくいっと振り向いて拾った。


 「モフ……グリス……似てるモフ……。」


 ストラウスが顎を撫で、ディセルが双剣を肩に掛ける。


 「いい目してやがる。」


 「さて……新顔ばかりだ。面白くなりそうだな。」


 リーアはぱちんと手を打って言った。


 「さぁ! 遊びはおしまい! ここからが本当の始まりよ!」


 朝の光が、三つの影――《黒い手》《白霧の鷹》《無銘の牙》を照らしていく。


 そして、誰も知らぬ策謀と因縁が、いま動き出そうとしていた。



【第11話】へつづく!

タイトル:「赤土の底、三つ巴の影」

サブ見出し:崩落の口、地下に潜むもの




どうも、お世話様でございます!


焼豚の神でございます。


最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ


いやはや、ようやく他の冒険者クランメンバーとの邂逅を果たしましたね!

そして勘が鋭い人はもう気が付いているかもしれませんが、今回グリスたちと邂逅を果たした

冒険者クランの1つ【無銘の牙】は、筆者の別作品に登場する主人公たちです!


彼らがなぜ、この依頼に参加しているのか?

追々、謎が判明していきますのでお楽しみに!



また、今日は、筆のノリがいいので、あと数本まとめて投稿しようと思います!

頑張れ、俺の脂ノリよ~~~~(/・ω・)/


とりあえず、2本目は17時10分に投稿予定!


◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆


グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」


 → 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。


 → 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。




モフ度


 - 0~19%:平常


 - 20~29%:末端ふわ化


 - 30~49%:耳/尻尾ふわ化


 - 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)


 - 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)


 - 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”



良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!



また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】を是非、この機会に知って頂けますと幸いです!


それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪


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