第6話:◆「地下遺跡の扉が告げるもの ~乾き村の再調査~ 」
今日もよろしくお願いします!
今回は、ボケ&ツッコミ要素若干薄めな真面目回のお話(^_-)-☆
ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!
《盗賊ギルド黒い手》の執務室のドアが静かに閉まったとき、笑い声はすっと消えた。
ギルドマスター――ロイ・ドグマの長い前髪の奥で、灰色の瞳がわずかに冷たく光っている。
《盗賊ギルド黒い手》の執務室のドアが静かに閉まった瞬間、場の空気は一変した。
ギルドマスター――ロイ・ドグマの長い前髪の奥で、灰色の瞳が冷たく光を宿す。
「……さて。ここからは、笑い話じゃねぇ。」
ついさっきまで室内にあった穏やかな笑い声は跡形もなく消えた。
ロイはゆっくりと周囲を見渡し、机の上に革鞄をどん、と置いた。
「お前らも報告で聞いたことがあるだろう。……乾き村の件だ。」
ピリ、と目に見えない棘が全員の背筋を刺した。
あのとき、惨劇を止めたのは《盗賊ギルド黒い手》のメンバーじゃない。
俺とリーア、肩に乗るシロモフ。
そして護衛騎士隊長のストラウスと、双剣のディセル、それに……あのときは敵として刃を向けてきたマリィだった。
ギルドの仲間たちは、ただ後から俺たちの報告書で知っただけ。
だからこそ、皆の顔にはどこか当事者には届かない、しかし確かに憤る気配があった。
俺はリーアの横顔を盗み見た。
静かな面差しの奥に、誰も触れられない痛みがあるのを、俺は知っている。
――乾き村。
人為的に作り出された幻の村。
疫病対策と称して、実際には人体実験の場だった。
そして村人も、操られたマリィも、すべてがヴァルツェル派の実験材料だった。
俺たちは命を削りながら、その幻を砕き、村人の魂を天界へ送り返した。
終わったはずだった。――あの時までは。
「……依頼内容を。」
ヴィーラの声が低く響く。
その目は報告書だけでは分からなかった惨状を想像しているのか、わずかに潤んでいた。
ロイは無造作に巻物を開いて、机の中央へ広げる。
「先月の大雨で、例の“乾き村”の跡地……つまり、あの幻が生まれた場所に、地形の崩落が起きた。」
羊皮紙に描かれた粗い地下構造の図面。
中心には、いくつもの封印紋が描かれている。
ロイは指でその中央を叩く。
「おかしいのは、そこだ。……あの村には古井戸しかなかったはずだろう? だが、地割れで井戸の底が崩れて、奥に石造りの階段が露出した。」
「……古井戸の底に遺跡の入り口……。」
小さく呟いたのは、肩の上のシロモフだ。
声が震えている。
「この封印紋……。」
リーアが一歩前に進むと、そっと手を伸ばした。
白い指先が羊皮紙に触れる寸前、図面の封印線が淡く光を帯びた。
部屋の空気が一段張り詰める。
「……王家の……分割印……それだけじゃない……。
これは……始原封印式……!」
リーアの声がわずかに震えた。
ヴァルツェル卿――
帝国元老院に座す怪物。
表向きは人権を謳い、裏では数多の人間を薬漬けにして廃棄する。
あのとき俺たちが暴いたのは、奴の実験のほんの一端だ。
「つまり……あの乾き村は……。」
ディセルが低く言葉を継いだ。
「……あの村そのものが幻影だったはずだ。だが、幻影の奥に本物の封印遺跡が隠されていた……と?」
ジムが眉をひそめた。
「なんつー化け物の悪趣味だ……。」
マリィが一歩前に出る。
長剣の柄を握りしめ、その瞳に迷いはなかった。
「あのとき……私は村長に操られて、自分の剣を振るえなかった……!
だからこそ、今度こそ……今度こそ……私自身の意思で償います。」
力強い声だった。
あのときは守られるだけの立場だった騎士が、今は誓いを剣に変えている。
そのとき、少し後ろに控えていた若手の二人が勢いよく前に出てきた。
一人は切れ長の目の青年――ライナー・バルク。
背に長い槍を負って立つ姿は、妙に絵になる。
もう一人は褐色の肌に銀の短剣を二本、腰に提げた女――セリカ・アズラン。
「グリス先輩!」
ライナーが突然頭を下げた。
「この間は……その、模擬戦の時に……生意気な口を叩いて、申し訳ありませんでしたッ!」
隣のセリカも慌てて頭を下げる。
「す、すみませんでした先輩ッ! 生意気言ったくせに、剣を止められなくて……! お詫びに、何でも言ってください! 弁当でも荷物持ちでも掃除でも! 今日からグリス班にパシられる覚悟できてますッ!」
俺は思わず目を瞬かせた。
「お前ら……何だその体育会系……俺は部長でもキャプテンでもねぇんだが……。」
「いえ! パシられ係ですッ!」
「係名つけんな!」
シロモフが肩の上でぷるぷる震えた。
「パシリはダメだモフ……! 騎士のプライド……!」
ストラウスが苦笑しながら二人の後頭部を同時にどついた。
「お前ら、頭を下げる方向性がずれてる。護衛騎士はお嬢様の盾だ。それ以上でも以下でもない。」
「はっ! すみません隊長!」
ロイがその様子を鼻で笑った。
「面白ぇな。お前らが先に潰れなきゃいいがな。」
ヴィーラが笑いをこらえながら言葉を継ぐ。
「でも、冗談じゃ済まないわ。……この封印遺跡が本物なら、ヴァルツェル卿に繋がる確証を掴める可能性がある。」
ジムも大きく頷いた。
「奴を裁く準備を整えるまでは、絶対に尻尾を逃がさないってことか。」
リーアが封印紋に手を置いたまま、ゆっくり顔を上げる。
「……幻影の奥に真実が隠されていたなら……必ず、その扉を超えます。
乾き村の人たちと、約束しましたから。」
小さく頷くマリィ、ディセル、ストラウス。
俺は肩のシロモフを撫でながら小さく息を吐いた。
「……行くしかないな。」
ロイが机を指で叩き、まとめるように低く言った。
「古井戸の下、調べ尽くすぞ。三日後に現地入りだ。それまでに装備と策を練れ。……無策で行けば冤罪どころか首が飛ぶ。相手は帝国元老院の怪物だ。」
《盗賊ギルド黒い手》の仲間たちは順番に視線を交わし、静かに頷いた。
ライナーがひそかに俺に耳打ちしてくる。
「……あの、先輩。差し入れとか要ります? 現地で飲み物とか……。」
「お前はどこまでパシリたいんだ……!」
小さな笑いが執務室に戻った。
しかしその奥で、皆の瞳に灯った決意だけは、誰一人として笑っていなかった。
――乾き村の幻が終わるとき、真実の封印が牙を剥く。
羊皮紙の封印紋がリーアの指先でわずかに光り、淡い冷気が室内に漂った。
「……必ず、封じます。」
その声は呪いを断つ刃のように、確かに未来を切り開いていた。
【第7話】へつづく!
タイトル:「選抜総選挙、開幕!」
サブ見出し:渇き村へ向かう仲間を選べ
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
今日は、筆のノリがいいので、あと数本まとめて投稿しようと思います!
頑張れ、俺の脂ノリよ~~~~(/・ω・)/
とりあえず、2本目は12時10分に投稿予定!
お昼はゆっくり食べるべし!
夕飯前に読書がええかもしれんのでこの時間帯に投稿予定ですん!
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
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