表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

64/175

第6話:◆「地下遺跡の扉が告げるもの ~乾き村の再調査~ 」

今日もよろしくお願いします!


今回は、ボケ&ツッコミ要素若干薄めな真面目回のお話(^_-)-☆


ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!

 《盗賊ギルド黒い手》の執務室のドアが静かに閉まったとき、笑い声はすっと消えた。

 ギルドマスター――ロイ・ドグマの長い前髪の奥で、灰色の瞳がわずかに冷たく光っている。


  《盗賊ギルド黒い手》の執務室のドアが静かに閉まった瞬間、場の空気は一変した。

 ギルドマスター――ロイ・ドグマの長い前髪の奥で、灰色の瞳が冷たく光を宿す。


 「……さて。ここからは、笑い話じゃねぇ。」


 ついさっきまで室内にあった穏やかな笑い声は跡形もなく消えた。

 ロイはゆっくりと周囲を見渡し、机の上に革鞄をどん、と置いた。


 「お前らも報告で聞いたことがあるだろう。……乾き村の件だ。」


 ピリ、と目に見えない棘が全員の背筋を刺した。


 あのとき、惨劇を止めたのは《盗賊ギルド黒い手》のメンバーじゃない。

 俺とリーア、肩に乗るシロモフ。

 そして護衛騎士隊長のストラウスと、双剣のディセル、それに……あのときは敵として刃を向けてきたマリィだった。


 ギルドの仲間たちは、ただ後から俺たちの報告書で知っただけ。

 だからこそ、皆の顔にはどこか当事者には届かない、しかし確かに憤る気配があった。


 俺はリーアの横顔を盗み見た。

 静かな面差しの奥に、誰も触れられない痛みがあるのを、俺は知っている。


 ――乾き村。

 人為的に作り出された幻の村。

 疫病対策と称して、実際には人体実験の場だった。

 そして村人も、操られたマリィも、すべてがヴァルツェル派の実験材料だった。


 俺たちは命を削りながら、その幻を砕き、村人の魂を天界へ送り返した。

 終わったはずだった。――あの時までは。


 「……依頼内容を。」


 ヴィーラの声が低く響く。

 その目は報告書だけでは分からなかった惨状を想像しているのか、わずかに潤んでいた。


 ロイは無造作に巻物を開いて、机の中央へ広げる。


 「先月の大雨で、例の“乾き村”の跡地……つまり、あの幻が生まれた場所に、地形の崩落が起きた。」


 羊皮紙に描かれた粗い地下構造の図面。

 中心には、いくつもの封印紋が描かれている。


 ロイは指でその中央を叩く。


 「おかしいのは、そこだ。……あの村には古井戸しかなかったはずだろう? だが、地割れで井戸の底が崩れて、奥に石造りの階段が露出した。」


 「……古井戸の底に遺跡の入り口……。」


 小さく呟いたのは、肩の上のシロモフだ。

 声が震えている。


 「この封印紋……。」


 リーアが一歩前に進むと、そっと手を伸ばした。

 白い指先が羊皮紙に触れる寸前、図面の封印線が淡く光を帯びた。


 部屋の空気が一段張り詰める。


 「……王家の……分割印……それだけじゃない……。

 これは……始原封印式……!」


 リーアの声がわずかに震えた。


 ヴァルツェル卿――

 帝国元老院に座す怪物。

 表向きは人権を謳い、裏では数多の人間を薬漬けにして廃棄する。

 あのとき俺たちが暴いたのは、奴の実験のほんの一端だ。


 「つまり……あの乾き村は……。」


 ディセルが低く言葉を継いだ。


 「……あの村そのものが幻影だったはずだ。だが、幻影の奥に本物の封印遺跡が隠されていた……と?」


 ジムが眉をひそめた。


 「なんつー化け物の悪趣味だ……。」


 マリィが一歩前に出る。

 長剣の柄を握りしめ、その瞳に迷いはなかった。


 「あのとき……私は村長に操られて、自分の剣を振るえなかった……!

 だからこそ、今度こそ……今度こそ……私自身の意思で償います。」


 力強い声だった。

 あのときは守られるだけの立場だった騎士が、今は誓いを剣に変えている。


 そのとき、少し後ろに控えていた若手の二人が勢いよく前に出てきた。


 一人は切れ長の目の青年――ライナー・バルク。

 背に長い槍を負って立つ姿は、妙に絵になる。


 もう一人は褐色の肌に銀の短剣を二本、腰に提げた女――セリカ・アズラン。


 「グリス先輩!」


 ライナーが突然頭を下げた。


 「この間は……その、模擬戦の時に……生意気な口を叩いて、申し訳ありませんでしたッ!」


 隣のセリカも慌てて頭を下げる。


 「す、すみませんでした先輩ッ! 生意気言ったくせに、剣を止められなくて……! お詫びに、何でも言ってください! 弁当でも荷物持ちでも掃除でも! 今日からグリス班にパシられる覚悟できてますッ!」


 俺は思わず目を瞬かせた。


 「お前ら……何だその体育会系……俺は部長でもキャプテンでもねぇんだが……。」


 「いえ! パシられ係ですッ!」


 「係名つけんな!」


 シロモフが肩の上でぷるぷる震えた。


 「パシリはダメだモフ……! 騎士のプライド……!」


 ストラウスが苦笑しながら二人の後頭部を同時にどついた。


 「お前ら、頭を下げる方向性がずれてる。護衛騎士はお嬢様の盾だ。それ以上でも以下でもない。」


 「はっ! すみません隊長!」


 ロイがその様子を鼻で笑った。


 「面白ぇな。お前らが先に潰れなきゃいいがな。」


 ヴィーラが笑いをこらえながら言葉を継ぐ。


 「でも、冗談じゃ済まないわ。……この封印遺跡が本物なら、ヴァルツェル卿に繋がる確証を掴める可能性がある。」


 ジムも大きく頷いた。


 「奴を裁く準備を整えるまでは、絶対に尻尾を逃がさないってことか。」


 リーアが封印紋に手を置いたまま、ゆっくり顔を上げる。


 「……幻影の奥に真実が隠されていたなら……必ず、その扉を超えます。

 乾き村の人たちと、約束しましたから。」


 小さく頷くマリィ、ディセル、ストラウス。

 俺は肩のシロモフを撫でながら小さく息を吐いた。


 「……行くしかないな。」


 ロイが机を指で叩き、まとめるように低く言った。


 「古井戸の下、調べ尽くすぞ。三日後に現地入りだ。それまでに装備と策を練れ。……無策で行けば冤罪どころか首が飛ぶ。相手は帝国元老院の怪物だ。」


 《盗賊ギルド黒い手》の仲間たちは順番に視線を交わし、静かに頷いた。


 ライナーがひそかに俺に耳打ちしてくる。


 「……あの、先輩。差し入れとか要ります? 現地で飲み物とか……。」


 「お前はどこまでパシリたいんだ……!」


 小さな笑いが執務室に戻った。

 しかしその奥で、皆の瞳に灯った決意だけは、誰一人として笑っていなかった。


 ――乾き村の幻が終わるとき、真実の封印が牙を剥く。


 羊皮紙の封印紋がリーアの指先でわずかに光り、淡い冷気が室内に漂った。


 「……必ず、封じます。」


 その声は呪いを断つ刃のように、確かに未来を切り開いていた。





【第7話】へつづく!

タイトル:「選抜総選挙、開幕!」

サブ見出し:渇き村へ向かう仲間を選べ



どうも、お世話様でございます!


焼豚の神でございます。


最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ



今日は、筆のノリがいいので、あと数本まとめて投稿しようと思います!

頑張れ、俺の脂ノリよ~~~~(/・ω・)/


とりあえず、2本目は12時10分に投稿予定!

お昼はゆっくり食べるべし!

夕飯前に読書がええかもしれんのでこの時間帯に投稿予定ですん!


◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆


グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」


 → 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。


 → 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。




モフ度


 - 0~19%:平常


 - 20~29%:末端ふわ化


 - 30~49%:耳/尻尾ふわ化


 - 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)


 - 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)


 - 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”



良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ