第28話「◆咆哮の核を追え──剣姫と記録の狩人」
今日もよろしくお願いします!今日は4回目!
最高投稿記録突破じゃ!
筆がいい感じにノルんじゃ~~(/・ω・)/
今回はいつものストーリー(^_-)-☆
ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!
夜の村は、どこか遠い獣の息づかいのように、霧の奥で蠢いていた。
軋む小屋の扉を叩く風の音が、遠くから不気味な呼吸のように響いてくる。
グリスの胸の奥では、《クロニクル・ベアラー》が常とは比べものにならない速度で演算を刻んでいた。
肩に乗るシロモフの毛並みが、光の反射でかすかに蒼白に見える。
(バルクとオババ……あの二人さえ止めれば……。)
地面に刻まれた無数の“記録の糸”が、まるで地下の血管のように夜気を縫っている。
廃屋の礎石、古井戸の底の苔むした石積み、そして村をぐるりと取り囲む巨大な刻印。
すべてが一つの巨大な召喚陣の一部として、鼓動するように繋がっていた。
リーアが並走している。
夜風に舞う銀糸のような髪を翻しながら、剣の鍔をそっと撫でた。
「……グリス様。方向は?」
彼女の声は静かだが、その奥に灯る殺気は鋭い刃と同じだった。
「古井戸の向こうだ……村の外れに隠れてやがる。」
グリスの声に、リーアの唇がかすかに笑みに歪む。
「ふふ……では一気に追い詰めましょう。」
グリスは小さく頷くと、肩の白狐に声をかけた。
「シロモフ。護衛に伝えろ──『すぐ追って来い』ってな。」
「モフ! 了解モフ!」
小さな体がふわりと肩から飛び降り、闇の中をぽふぽふと駆けていく。
残されたのは、グリスとリーア、二つの影だけ。
夜気の奥で、微かに漂う血と鉄の匂いが、二人の足を速めていった。
月明かりが、陰の奥にひび割れた納屋を照らす。
村の外れ。そこには、かすかに新しい足跡と、土を突いた杖の痕が残っていた。
「……バルクとオババ、間違いない。」
グリスが指を翳すと、《記録の糸》が足跡をなぞるように青白く輝く。
(逃がさない……絶対にだ。)
リーアが静かに息を吐く。
「……グリス様。あまり無理はなさらないでくださいね?」
その声は優しげだが、瞳には冷たい刃の光が潜んでいた。
グリスは鼻で笑い、指先に再びクロニクルの光を集める。
「お前こそ……死ぬなよ。」
二人は、月を背にして闇を裂くように駆けた。
草を蹴る音さえ夜霧に飲まれ、納屋の奥に潜む何かを引きずり出す。
「オババァァァッ……どこに隠れやがったッ!」
グリスの叫びに応えるように、納屋の陰からくぐもった笑い声が響いた。
「……ホッホ……ここじゃよ……。」
杖の先で霧を払う影──《オババ・ハイテンション》。
最初に見た時の異様な活力は影を潜め、その目はどこか空虚に濁っていた。
「お迎えご苦労さま、子豚ちゃん……。」
「誰が子豚だ……ッ!」
怒鳴りつけるグリスの横で、リーアがすっと剣を抜いた。
淡く微笑む顔には、どこか愉快そうな光が灯っている。
「お婆さま。……これ以上、余計な真似はおやめください。」
オババの背後。
月の光に浮かび上がるように、納屋の裏手から影が立ち上がった。
筋骨隆々の巨体。
裸の上半身に、荒縄のような筋肉が月明かりに浮かび上がる。
《バルク・ムキムキ》。
「……ムキムキ、やるぞ。」
オババが杖を突きながら歪んだ声を上げた。
「バルク、オババを守れ。」
リーアが剣を掲げ、月明かりを刃に宿す。
「グリス様……あの二人を倒さねば、村の術式は崩れません。」
「わかってる……!」
バルクの巨拳が、地面を叩き割った。
乾いた土が弾け飛び、夜霧を赤土の粉が舞う。
オババの杖が、奇妙な光を纏って空を切り裂く。
杖の先から吐き出されるのは、どす黒い影の触手のような呪力だった。
グリスは、一歩踏み込んだ。
【クロニクル・ベアラー】
――《断片固定式》、全演算起動。
脳裏に刻まれるのは、バルクの踏み込みの速度、腕の筋線維の収縮、オババの杖が描く曲線。
一瞬先の未来を捉え、その記録を固定する。
「リーア、右から回り込め!」
「承知!」
神速の剣姫と呼ばれる所以──。
月明かりの中で、リーアの剣が霧を裂いた。
空気が剣筋に沿って裂け、青白い光が一閃。
「はぁッ……!」
刃がバルクの巨腕をかすめる。
だが筋肉の鎧は浅く抉れただけで、返す拳がリーアを叩き潰さんと迫る。
だが、グリスの《記録の糸》が空気を縫った。
(動きは読んだ──!)
クロニクルの糸が、バルクの拳の軌道を僅かにズラす。
すれ違いざま、グリスの手がオババの杖を弾き飛ばした。
「ホッホ……小賢しい小僧め……!」
オババの瞳が不気味に光り、杖の根元から新たな呪力の糸が溢れた。
「グリス様、下がって!」
リーアがすかさず割り込む。
剣先から舞う光の弧が、オババの杖の呪力を払い落とした。
しかし背後からバルクの雄叫びが響く。
「グォォォォッ!!」
巨体が月を遮る。
振り下ろされる拳。
グリスは咄嗟に後ろへ跳んだ。
地面が抉れ、砂塵が爆ぜた。
「ぐっ……!」
バルクの隙を、リーアが刈り取る。
剣先が足を断つように走り、筋肉の鎧に亀裂を刻む。
「……終わりにしましょう。」
リーアの声は冷たく澄んでいる。
グリスは、荒い息を吐きながら再び手を翳した。
【クロニクル・ベアラー】
――《断片固定式》、重複展開。
脳裏に刻んだ断片が、夜気を震わせる。
「シロモフ! 護衛はまだか!」
「モフモフモフッ! もうすぐ来るモフ!」
遠く、霧の奥で金属のぶつかる音がした。
次の瞬間、護衛の影が駆け込んできた。
双剣のディセル、大剣のストラウス、そして正気を取り戻したマリィ。
「グリス様ッ!!」
「遅ぇよ……!」
ディセルがバルクの脇を斬り裂き、ストラウスが大剣の峰でオババの杖を弾き飛ばす。
マリィがリーアの背を守るように構えた。
「詮索は……余計ですぞ……。」
霧の奥から、村長コマツナ・シゲ~ルの声が木霊した。
まるで村全体が同じ声で呻いているかのようだ。
「……余計も何も、全部終わらせてやる……!」
グリスの手が夜霧を裂く。
《クロニクル・ベアラー》の光が、全ての“断片”を一つに繋げた。
剣姫の刃が閃き、狩人の記録が闇を制する。
霧が悲鳴を上げるように渦を巻き、古井戸の底から呻くような咆哮が漏れた。
(ここで……止める……!)
月が裂け、夜が震える。
村の核の咆哮が、ついに牙を剥いた──!
◆ 次回、《術式発動》の行方は──
第29話「◆虚構の村と、井戸が吐く嘘」へつづく
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
少し不穏な回でもありましたね~( ^)o(^ )♬
これから物語がどうなっていくのかお楽しみに!
今日はさすがに打ち止めじゃ!
今日はもう寝て明日に備えるべし!!
それでは、また明日('◇')ゞ
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声NGなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
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