第24話「◆揺れる村影と偽りの声」
今日もよろしくお願いします!
今回はいつものストーリー(^_-)-☆
ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!
古井戸で“子供の囁き”を拾った夜が明けた。
朝の村は、どこか昨日と同じはずなのに、どこか違って見えた。
早朝の霧がまだ道端に白く漂っている。
家々の煙突から、わずかに煙が上がる。
人々は笑顔で「おはようございます」と声をかけてくる。
けれどその笑顔が、どこか貼り付けた面のように見えた。
「……なあシロモフ。」
グリスは、小さな声でモフの耳元に問いかける。
「昨日の子供の声、まだ残響が消えねぇ。」
「モフ……この村、全部匂いが変わってるモフ。」
「……だろうな。」
朝食をとるために寄った村の食堂には、
昨日と同じ給仕の女がいた……はずだった。
しかし、女の笑い方はどこかぎこちなく、
声が少しだけ違った。
「こちら、昨日と同じ……お料理でよろしいですか?」
「……ああ。昨日は大変だった。」
「昨日は……? ふふ……なんのことですか?」
グリスの眉がかすかに動いた。
(……声が、違う。)
(昨日はもっと甲高かった……。)
シロモフが袖の中で小さくつぶやく。
「声が違うモフ。」
「だよな……。」
──
◇
食堂を出て、広場を歩く。
昨日笑顔で話しかけてきた子供。
だが、今朝は目が合うとすっと視線をそらした。
井戸の前にいた爺さん。
今朝は家の前に座っているが、どこかで見た背中と微妙に違う。
(……足の形が違う。)
グリスは周囲をさりげなく観察する。
「……村が丸ごと“入れ替わった”か。」
「モフモフ……。」
「井戸の真実を探られる前に……入れ替えて来やがったか。」
──
◇
村の入り口で待っていたリーアが、小さく首を傾げた。
「……どうなさいました?」
グリスが低く答える。
「リーア。この村……人間が総入れ替えされてる。」
「……総入れ替え……だと!?」
リーアの護衛、ストラウスが思わず声を漏らす。
「まさか、村人を一晩で……?」
「いや、元々“入れ替わる”仕組みがあるんだ。」
グリスは小さく舌打ちした。
「昨日の残響……
『戻さなきゃ』って声。
あれは、井戸が“鍵”なんだ。」
「……入れ替えの。」
──
◇
そのとき。
背後から村の長老と呼ばれる“村長コマツナ・シゲ~ル”が、
穏やかな笑みを浮かべて近づいてきた。
「おやおや……占い師殿。
お調べごとは済まれましたかな?」
その言い回しに、グリスは目を細めた。
(昨日は“調べ”なんて言葉、使わなかったはずだが……。)
「……村長さん。昨日と口調が違わないか?」
グリスがにじり寄ると、シロモフが袖を引く。
「グリス、突っ込むと消されるモフ!」
「黙っとけシロモフ!」
「お前がモフだモフ!!」
村長コマツナは相変わらず穏やかな笑みを崩さず、
グリスの肩をぽん、と叩いた。
「占い師殿……村の平和のため。
どうか余計な詮索はなさらぬように。」
「……“村の平和”?」
村長の背後に立つ村人たちが、同時に笑った。
まるで操り人形のように、声がそろう。
『村の平和のために。』
ぞくりと背筋が冷える感覚。
リーアがすっと前に出て、グリスの腕を取った。
「……ここでは深入りなさらぬ方がよろしいでしょう。」
「わかってる。」
──
◇
その夜、宿に戻ったグリスとリーアは、
机を挟んで向かい合った。
小さなランプの灯りが、揺れている。
「……一体、この村は。」
リーアが声を落とす。
グリスは机に魔導書を置き、
残りのクロニクルの残響を手で探る。
「まだ全部は繋がんねぇ……。」
「……無理をなさらぬように。」
リーアの指が、そっとグリスの手の甲に触れた。
「大丈夫だ。モフ度は……17%だ。」
「……少し下がっておりますわね。」
「……だからギュッとか言うな。」
「ふふ……まだ言ってませんわ。」
唇の端をつり上げて、リーアは小悪魔の笑みを見せた。
──
◇
部屋の窓を、夜風がわずかに揺らした。
外の村は、まるで何もなかったかのように静まり返っている。
だが、その静寂の奥には──
別の“顔”を持つ者たちの息遣いが潜んでいる。
(……必ず暴いてやる。)
グリスはカードを握り締めた。
【第25話】「◆深まる調査、ひとり目の影」へつづく
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
少し不穏な回でもありましたね~( ^)o(^ )♬
これから物語がどうなっていくのかお楽しみに!
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声NGなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
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