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第22話「◆古井戸の囁きと村人たちの影」

今日もよろしくお願いします!


今回はいつものストーリー(^_-)-☆


ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!

カラビナ村の外れにある古井戸は、昼間だというのにどこか陰鬱だった。


 木々に囲まれた空気は湿り気を帯び、鳥の鳴き声すら近づかない。


 「……ここが問題の井戸、か。」


 グリスは井戸の縁に手を置き、石組みを軽く叩いた。


 ごつごつとした感触と、ひやりとした冷気が指先に伝わってくる。


「グリスさん、危険であればすぐに離れてくださいね?」


 リーアが後ろから声をかけてくる。







 いつもの涼しげな声音も、わずかに張りつめているのが分かる。


 「心配性だな、お前。」


 「当然でございます。貴方が無茶をなさるからですもの。」


 「モフ、全くだモフ。」


 肩の上でシロモフが即座に同意する。


 「……お前は誰の味方だ。」






──


 グリスは懐から魔導書を取り出し、静かに井戸の上へ翳した。


 「クロニクル・オープン。“過去を断片で視る”。」


 魔導書が淡い光を放つと、空気がわずかに振動したように感じられた。


 護衛のストラウスとディセル、マリィは小さく息を呑む。


 村人も、遠巻きに「何だ何だ」と囁きあっている。







 ふわりとカードが井戸の口へ吸い込まれる。


 次の瞬間、グリスの脳裏に流れ込んできたのは、

 子供の足音と、誰かの泣き声。




 “お願いだから……帰ってきて……”


 聞き取れたのは、その断片だけだった。







「子供の声?……糸口は掴めたかしら?」


 リーアがそっと問いかける。


 「……祈りと願いが、残ってるだけだ。」


 グリスは小さく首を振る。


 「これだけじゃ、何も掴めないし、断ち切れねぇ。」


 「モフ。手がかり不足モフ。」





──


 村の中央へ戻ると、村長のビスケット村長が腕を組んで待っていた。


 「……おや、ご苦労様じゃったの。何か進展はあったかの?」


 「……コマツナ村長、相変わらずツッコミ待ちの名前だよな……。」


 「グリス様、やめてくださいませ。」


 リーナがそれとなく嗜め、シロモフが肩を叩きながら注意する。


「井戸の方は、祈りの残滓だけです。」


 グリスはそっけなく報告した。






 「村長、他に何か知らないのか?」


 「ふむ……。子供が井戸にお供えをしてたとか……

 いや、誰だったかのう。お、おい、お前ら!」


 村長は後ろにいた村人を呼んだ。


 呼ばれたのは、村人のキャベッツ、ジャンガイモン、トゥマトだった。


「……やさい村かここは。」


 グリスが思わず呟くと、シロモフがまた肩を叩いた。


 「モフッ、笑うの我慢モフ!」


「キャベッツさん、例の井戸の噂、詳しく教えてくれ。」


 グリスが尋ねると、キャベッツと呼ばれた青年は帽子を脱ぎながら答えた。








 「昔な、井戸のそばで誰かがよく人形を供えてたんだわ。

 んで、夜中に誰かの声がするとか、村の子供が怖がって近寄らんくなって……。」


「人形……。」


 グリスの頭に、先ほど視た映像の断片が蘇る。


 「それは何年前だ?」


 「十年以上前だべなぁ……。」


 ジャンガイモンが割って入る。


 「けどなぁ、最近また声がするんだと。

 しかも祈りじゃなくて、何か呪いみてぇだって。」


「祈りが呪いに?」







 リーアが首をかしげる。


 「どういう事でございますの?」


「……わからねぇ。」


 グリスは井戸の方角を振り返った。


 (何かが変わったのか、それとも元から……。)


 モヤモヤとした予感が胸を刺す。





──


 村の聞き込みは、半日以上続いた。


 話を聞いていると、

 「井戸のそばで小さな白い影を見た」とか

 「誰もいないのに子供の声がする」とか

 まるで怪談集のようだ。


「村長さん……結局、誰も真相を知らないのですね。」


 リーアが苦笑交じりに問いかけると、コマツナ村長は首をかしげた。


 「わしが若ぇ頃はこんなことはなかったんじゃがのう……。」


 「……もう、この村の名前を“シンセンヤサイいいモフ。」


 シロモフがぽそりと呟き、グリスも思わず吹き出した。


「はぁ……。とにかく、夜までにもう一度調査してみるよ。」








 グリスは空を仰ぐ。


 西の空に、鈍い色の雲が流れてきていた。


 「何か起きるな、こりゃ。」


 「……私が傍にいるので大丈夫ですよ。何があっても、私が貴方をお守りしますからね。」


 リーアが少し近づいて、そっと袖を引く。


 その微笑みに、護衛たちは目をそらしつつも口元を緩めていた。







──


 日が暮れる頃。


 村の外れ、再び井戸の前に立ったグリスは、

 魔導書を開きペン先をあてがってみたが反応はなし。ペンを指先で弄びながら呟いた。


 「……今度は深く潜るしかねぇか。」


 「モフ度、気をつけろモフ。」


 「……わかってる。」


 古井戸の中から、またあの子供の泣き声が、

 遠い遠い底から呼んでいるように聞こえた。



第23話「◆井戸に潜む残響と夜の証」へつづく



どうも、お世話様でございます!


焼豚の神でございます。


謎解きも面白いものですな~( ^)o(^ )♬


書いてみると(^_-)-☆




◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆


グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」


 → 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。


 → 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。




モフ度


 - 0~19%:平常


 - 20~29%:末端ふわ化


 - 30~49%:耳/尻尾ふわ化


 - 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)


 - 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声NGなど)


 - 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”



良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!


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