第22話「◆古井戸の囁きと村人たちの影」
今日もよろしくお願いします!
今回はいつものストーリー(^_-)-☆
ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!
カラビナ村の外れにある古井戸は、昼間だというのにどこか陰鬱だった。
木々に囲まれた空気は湿り気を帯び、鳥の鳴き声すら近づかない。
「……ここが問題の井戸、か。」
グリスは井戸の縁に手を置き、石組みを軽く叩いた。
ごつごつとした感触と、ひやりとした冷気が指先に伝わってくる。
「グリスさん、危険であればすぐに離れてくださいね?」
リーアが後ろから声をかけてくる。
いつもの涼しげな声音も、わずかに張りつめているのが分かる。
「心配性だな、お前。」
「当然でございます。貴方が無茶をなさるからですもの。」
「モフ、全くだモフ。」
肩の上でシロモフが即座に同意する。
「……お前は誰の味方だ。」
──
◇
グリスは懐から魔導書を取り出し、静かに井戸の上へ翳した。
「クロニクル・オープン。“過去を断片で視る”。」
魔導書が淡い光を放つと、空気がわずかに振動したように感じられた。
護衛のストラウスとディセル、マリィは小さく息を呑む。
村人も、遠巻きに「何だ何だ」と囁きあっている。
ふわりとカードが井戸の口へ吸い込まれる。
次の瞬間、グリスの脳裏に流れ込んできたのは、
子供の足音と、誰かの泣き声。
“お願いだから……帰ってきて……”
聞き取れたのは、その断片だけだった。
「子供の声?……糸口は掴めたかしら?」
リーアがそっと問いかける。
「……祈りと願いが、残ってるだけだ。」
グリスは小さく首を振る。
「これだけじゃ、何も掴めないし、断ち切れねぇ。」
「モフ。手がかり不足モフ。」
──
◇
村の中央へ戻ると、村長のビスケット村長が腕を組んで待っていた。
「……おや、ご苦労様じゃったの。何か進展はあったかの?」
「……コマツナ村長、相変わらずツッコミ待ちの名前だよな……。」
「グリス様、やめてくださいませ。」
リーナがそれとなく嗜め、シロモフが肩を叩きながら注意する。
「井戸の方は、祈りの残滓だけです。」
グリスはそっけなく報告した。
「村長、他に何か知らないのか?」
「ふむ……。子供が井戸にお供えをしてたとか……
いや、誰だったかのう。お、おい、お前ら!」
村長は後ろにいた村人を呼んだ。
呼ばれたのは、村人のキャベッツ、ジャンガイモン、トゥマトだった。
「……やさい村かここは。」
グリスが思わず呟くと、シロモフがまた肩を叩いた。
「モフッ、笑うの我慢モフ!」
「キャベッツさん、例の井戸の噂、詳しく教えてくれ。」
グリスが尋ねると、キャベッツと呼ばれた青年は帽子を脱ぎながら答えた。
「昔な、井戸のそばで誰かがよく人形を供えてたんだわ。
んで、夜中に誰かの声がするとか、村の子供が怖がって近寄らんくなって……。」
「人形……。」
グリスの頭に、先ほど視た映像の断片が蘇る。
「それは何年前だ?」
「十年以上前だべなぁ……。」
ジャンガイモンが割って入る。
「けどなぁ、最近また声がするんだと。
しかも祈りじゃなくて、何か呪いみてぇだって。」
「祈りが呪いに?」
リーアが首をかしげる。
「どういう事でございますの?」
「……わからねぇ。」
グリスは井戸の方角を振り返った。
(何かが変わったのか、それとも元から……。)
モヤモヤとした予感が胸を刺す。
──
◇
村の聞き込みは、半日以上続いた。
話を聞いていると、
「井戸のそばで小さな白い影を見た」とか
「誰もいないのに子供の声がする」とか
まるで怪談集のようだ。
「村長さん……結局、誰も真相を知らないのですね。」
リーアが苦笑交じりに問いかけると、コマツナ村長は首をかしげた。
「わしが若ぇ頃はこんなことはなかったんじゃがのう……。」
「……もう、この村の名前を“シンセンヤサイいいモフ。」
シロモフがぽそりと呟き、グリスも思わず吹き出した。
「はぁ……。とにかく、夜までにもう一度調査してみるよ。」
グリスは空を仰ぐ。
西の空に、鈍い色の雲が流れてきていた。
「何か起きるな、こりゃ。」
「……私が傍にいるので大丈夫ですよ。何があっても、私が貴方をお守りしますからね。」
リーアが少し近づいて、そっと袖を引く。
その微笑みに、護衛たちは目をそらしつつも口元を緩めていた。
──
◇
日が暮れる頃。
村の外れ、再び井戸の前に立ったグリスは、
魔導書を開きペン先をあてがってみたが反応はなし。ペンを指先で弄びながら呟いた。
「……今度は深く潜るしかねぇか。」
「モフ度、気をつけろモフ。」
「……わかってる。」
古井戸の中から、またあの子供の泣き声が、
遠い遠い底から呼んでいるように聞こえた。
第23話「◆井戸に潜む残響と夜の証」へつづく
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
謎解きも面白いものですな~( ^)o(^ )♬
書いてみると(^_-)-☆
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声NGなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
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