第21話「◆騎士の誓いとクロニクルの気配」
今日もよろしくお願いします!
今回はいつものストーリー(^_-)-☆
ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!
カラビナ村の朝は、澄んだ空気と、鳥のさえずりで始まる。
昨夜の戦闘で、護衛三人は派手に土を舐めさせられた。
だが村人たちは、そのことを知る由もなく、のどかに朝市を開いている。
グリスは、村の中央にある“森の広場”に腰掛けて、湯気の立つ木のカップを片手に持っていた。
「はぁ……しんど。」
肩の上でシロモフがごそごそと毛を逆立てる。
「モフ?モフ度18%がしんどいって、贅沢モフね。」
「お前なぁ……。」
グリスが小声で毒づくと、背後から控えめな足音が近づいてきた。
──
◇
「おはようございます、グリス殿。」
声の主は、昨夜剣を振り下ろした張本人――護衛隊長ストラウスだ。
彼は深く頭を下げ、鎧の肩がきしむ音がした。
「……昨日は失礼いたしました。
あれは、我々の矜持でもありましたが……無礼は無礼、弁解の余地もございません。」
グリスはカップを置き、肩のシロモフと視線を交わす。
「……謝るくらいなら最初から突っかかるな。」
「以後、同じことは決してございません。
この命にかけて、姫様と貴殿をお守りいたします。」
ストラウスの後ろでは、マリィもディセルも頭を下げている。
二人とも顔を真っ赤にしていた。昨夜の屈辱が相当堪えたらしい。
「立てよ、見苦しい。」
グリスがそっけなく言うと、三人はハッとして頭を上げた。
「……グリス様の剣――いえ、牙を見ました。
村を護るこの任も、我ら、命をかけて果たします。」
「……ん。」
素っ気なく頷くグリスに、ディセルが思わず吹き出しそうになるのをマリィが肘で突いた。
──
◇
「何か進展は?」
場を仕切るようにグリスが問う。
ストラウスが背筋を伸ばす。
「夜明け前に村長と話をいたしました。
この村で続く“奇妙な現象”……どうやら、井戸から声がするとか。」
「井戸……?」
シロモフが耳をぴくりと動かす。
「モフ……オカルト系モフか……。」
「嫌だな……。」
グリスが額を押さえる。
「占い師の出番じゃなくないか……?」
「そう仰ると思い、既に姫様にも相談いたしました。」
そのタイミングで、遠くから柔らかな声が届いた。
──
◇
「……グリスさん。
少しだけ、よろしいですか?」
村道の向こうから、リーアがゆっくり歩いてくる。
風で揺れる青い外套。護衛が両脇に控えているが、昨夜の一件で目線がやけに礼儀正しい。
「姫様。」
ストラウスがすっと頭を下げると、リーアは小さく頷き、グリスの前に立った。
「……騎士たちのことで、ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした。」
リーアが深々と頭を下げる。
それを見た護衛たちが息を飲む。
「いや、別に……。」
グリスが言いかけると、リーアはそっと顔を上げて、小さく微笑んだ。
「……本当に、ありがとうございます。」
その声がやけに近い。
リーアは人払いするようにストラウスに手を振ると、二人きりになった瞬間にすっと距離を詰めてきた。
──
◇
「グリスさん。」
リーアの声は相変わらず丁寧だが、指先がグリスの袖をつまんだ。
「……昨日のご様子。無理をなさったのではないかと。」
「無理してねぇ。」
「本当に?」
リーアはわずかに顎を上げ、グリスの額にそっと指を当てた。
「……熱は、ないようですね。」
「当たり前でしょう……。」
グリスが身を引こうとすると、リーアはさらに距離を詰め、胸元に指を滑らせる。
「ですが、念には念を……。」
「おい、やめろ……!」
肩のシロモフが声を潜めて笑う。
「姫様、小悪魔モフ。」
「……だまれ。」
耳まで赤くなったグリスを見て、リーアは小さく笑った。
──
◇
「……井戸の声の件ですが。」
急に真面目な声に戻ったリーアが、すっと距離を取る。
「この村では、数日前から“古井戸”から子供の声が聞こえると噂されております。
既に祈祷師も呼んだのですが、原因が分からず……。」
「……やるしかねぇか。」
グリスは立ち上がり、ストラウスたちを呼び戻す。
「井戸を調べる。シロモフ、頼む。」
「モフッ。」
「……護衛の諸君、頼むぞ。」
グリスがそう言うと、ストラウスがきっちり直立し、
「はっ!我ら、命に代えても!」
と叫び、周囲の村人にジロジロ見られて赤面した。
──
◇
村の小道を進むグリスとリーア。
後ろには、態度を改めた護衛たちが整然と続く。
「……ほんと、空気変わったな。」
「当然でございますよ。」
リーアは涼しげに笑いながら、グリスの肩にそっと触れる。
「……私は、貴方を誰よりも信頼しておりますので。」
「……。」
顔を赤くするグリスの後ろで、シロモフがひそひそ声で囁く。
「モフ度、上がるモフね……。」
「やかましい……!」
──
◇
井戸の前に着いたとき、風が少し強く吹いた。
井戸の底から、小さな声が漏れた気がした。
グリスは舌打ちした。
「……また、面倒なヤツだな。」
だがその隣で、リーアの澄んだ声が響く。
「グリス様なら、大丈夫です。」
その声に、護衛たちも頷いた。
クロニクルの刻印が、静かにうずき始めていた。
第22話「◆古井戸の囁きと村人たちの影」へつづく
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
謎解きも面白いものですな~( ^)o(^ )♬
書いてみると(^_-)-☆
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声NGなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
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