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第21話「◆騎士の誓いとクロニクルの気配」

今日もよろしくお願いします!


今回はいつものストーリー(^_-)-☆


ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!

カラビナ村の朝は、澄んだ空気と、鳥のさえずりで始まる。


 昨夜の戦闘で、護衛三人は派手に土を舐めさせられた。

 だが村人たちは、そのことを知る由もなく、のどかに朝市を開いている。


 グリスは、村の中央にある“森の広場”に腰掛けて、湯気の立つ木のカップを片手に持っていた。


 「はぁ……しんど。」





 肩の上でシロモフがごそごそと毛を逆立てる。


 「モフ?モフ度18%がしんどいって、贅沢モフね。」


 「お前なぁ……。」


 グリスが小声で毒づくと、背後から控えめな足音が近づいてきた。




──


 「おはようございます、グリス殿。」


 声の主は、昨夜剣を振り下ろした張本人――護衛隊長ストラウスだ。

 彼は深く頭を下げ、鎧の肩がきしむ音がした。


 「……昨日は失礼いたしました。

 あれは、我々の矜持でもありましたが……無礼は無礼、弁解の余地もございません。」


 グリスはカップを置き、肩のシロモフと視線を交わす。


 「……謝るくらいなら最初から突っかかるな。」


 「以後、同じことは決してございません。

 この命にかけて、姫様と貴殿をお守りいたします。」


 ストラウスの後ろでは、マリィもディセルも頭を下げている。

 二人とも顔を真っ赤にしていた。昨夜の屈辱が相当堪えたらしい。


 「立てよ、見苦しい。」






 グリスがそっけなく言うと、三人はハッとして頭を上げた。


 「……グリス様の剣――いえ、牙を見ました。

 村を護るこの任も、我ら、命をかけて果たします。」


 「……ん。」


 素っ気なく頷くグリスに、ディセルが思わず吹き出しそうになるのをマリィが肘で突いた。






──


 「何か進展は?」


 場を仕切るようにグリスが問う。


 ストラウスが背筋を伸ばす。


 「夜明け前に村長と話をいたしました。

 この村で続く“奇妙な現象”……どうやら、井戸から声がするとか。」


 「井戸……?」


 シロモフが耳をぴくりと動かす。


 「モフ……オカルト系モフか……。」


 「嫌だな……。」


 グリスが額を押さえる。


 「占い師の出番じゃなくないか……?」


 「そう仰ると思い、既に姫様にも相談いたしました。」


 そのタイミングで、遠くから柔らかな声が届いた。







──


 「……グリスさん。

 少しだけ、よろしいですか?」


 村道の向こうから、リーアがゆっくり歩いてくる。

 風で揺れる青い外套。護衛が両脇に控えているが、昨夜の一件で目線がやけに礼儀正しい。


 「姫様。」


 ストラウスがすっと頭を下げると、リーアは小さく頷き、グリスの前に立った。


 「……騎士たちのことで、ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした。」


 リーアが深々と頭を下げる。

 それを見た護衛たちが息を飲む。


 「いや、別に……。」


 グリスが言いかけると、リーアはそっと顔を上げて、小さく微笑んだ。


 「……本当に、ありがとうございます。」


 その声がやけに近い。

 リーアは人払いするようにストラウスに手を振ると、二人きりになった瞬間にすっと距離を詰めてきた。






──


 「グリスさん。」


 リーアの声は相変わらず丁寧だが、指先がグリスの袖をつまんだ。


 「……昨日のご様子。無理をなさったのではないかと。」


 「無理してねぇ。」


 「本当に?」


 リーアはわずかに顎を上げ、グリスの額にそっと指を当てた。


 「……熱は、ないようですね。」


 「当たり前でしょう……。」


 グリスが身を引こうとすると、リーアはさらに距離を詰め、胸元に指を滑らせる。


 「ですが、念には念を……。」


 「おい、やめろ……!」


 肩のシロモフが声を潜めて笑う。


 「姫様、小悪魔モフ。」


 「……だまれ。」


 耳まで赤くなったグリスを見て、リーアは小さく笑った。






──


 「……井戸の声の件ですが。」


 急に真面目な声に戻ったリーアが、すっと距離を取る。


 「この村では、数日前から“古井戸”から子供の声が聞こえると噂されております。

 既に祈祷師も呼んだのですが、原因が分からず……。」


 「……やるしかねぇか。」


 グリスは立ち上がり、ストラウスたちを呼び戻す。


 「井戸を調べる。シロモフ、頼む。」


 「モフッ。」


 「……護衛の諸君、頼むぞ。」


 グリスがそう言うと、ストラウスがきっちり直立し、


 「はっ!我ら、命に代えても!」


 と叫び、周囲の村人にジロジロ見られて赤面した。






──


 村の小道を進むグリスとリーア。

 後ろには、態度を改めた護衛たちが整然と続く。


 「……ほんと、空気変わったな。」


 「当然でございますよ。」


 リーアは涼しげに笑いながら、グリスの肩にそっと触れる。


 「……私は、貴方を誰よりも信頼しておりますので。」


 「……。」


 顔を赤くするグリスの後ろで、シロモフがひそひそ声で囁く。


 「モフ度、上がるモフね……。」


 「やかましい……!」





──


 井戸の前に着いたとき、風が少し強く吹いた。


 井戸の底から、小さな声が漏れた気がした。


 グリスは舌打ちした。


 「……また、面倒なヤツだな。」


 だがその隣で、リーアの澄んだ声が響く。


 「グリス様なら、大丈夫です。」


 その声に、護衛たちも頷いた。


 クロニクルの刻印が、静かにうずき始めていた。




第22話「◆古井戸の囁きと村人たちの影」へつづく


どうも、お世話様でございます!


焼豚の神でございます。


謎解きも面白いものですな~( ^)o(^ )♬


書いてみると(^_-)-☆




◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆


グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」


 → 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。


 → 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。




モフ度


 - 0~19%:平常


 - 20~29%:末端ふわ化


 - 30~49%:耳/尻尾ふわ化


 - 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)


 - 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声NGなど)


 - 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”



良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!


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