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第20話「◆剣姫の護衛とクロニクルの牙」

今日もよろしくお願いします!


今回はいつものストーリー(^_-)-☆


ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!

カラビナ村の夜は静かだ。

 だが、その静寂を裂くように、村外れの草地に数人の影が集まっていた。


 「占い師殿。少々、お手合わせ願いたい。」


 護衛の長であるストラウスが、月明かりを背にして剣を肩に担いでいた。

 その脇には、背の高い女剣士マリィと、しなやかな双剣使いディセルが立っている。


 「……はぁ。俺に恨みでも?」


 肩の上で、シロモフがあくびをかみ殺す。


 「いいじゃねえか。村の子守りよりゃ、こっちのが面白いだろ?」


 (……絶対こいつ楽しんでるだろ。)


 グリスは溜め息を吐くと、護衛三人の真剣な視線を受け止めた。





──


 「姫様に近い位置に立つならば、相応の実力をお示しいただきたい。」


 ストラウスが静かに言った。


 「……あの人が言えって?」


 「姫様は仰っておりません。ただ、我々の矜持として。」


 双剣使いディセルが肩を揺らして笑う。


 「占い師風情が、剣姫の側にいるなど生意気だと思わんか?」


 「……好きに言えよ。」


 グリスが、肩を軽く回す。

 夜風が彼の前髪を撫でた。


 「いいか。せっかくだ。教えてやるよ。」


 シロモフが、グリスの肩でにんまり笑う。






──


 グリスの目が、淡く金色に灯る。


 「《クロニクル・ベアラー》。

 俺は過去のすべてを忘れない。」


 月明かりの下で、草地がわずかに揺れた。




 「記憶は刃、真実は鎖。

 隠された嘘も誤魔化しも、すべて穿つ。」


 左手を広げる。指先に薄い魔導書が浮かぶ。





 「お前たちの筋肉の動きも、神経の走る順路も……俺の前では、ただの文字列だ。」


 静寂の中、護衛たちの表情が一瞬強張る。




 「刃を構えたまま眠れ。……後悔するなよ。」


 シロモフが低く唸った。


 「はい、始まるよー。」






──


 ストラウスが地面を蹴る。

 瞬間、夜気が裂けた。


 大剣が、グリスの頭上から振り下ろされる。

 その刹那、グリスの目に青白い光が走った。


 ──すべてが、遅い。


 グリスの手が、剣の刃を指先で弾く。

 火花が散る。


 「なっ……!」


 次の瞬間、ディセルの双剣が背後から突き込まれる。

 だが、グリスは一歩も動かない。


 「《クロニクル・コード》。筋信号、遮断。」


 指先がディセルの肩に触れると、

 双剣の刃先が止まった。


 ディセルの身体が糸を断たれた人形のように崩れる。





──


 「っ、マリィ!」


 女剣士マリィが、地を蹴って踏み込んだ。


 「──せいッ!」


 刃が唸りをあげる。


 だがグリスはわずかに首を振った。


 「遅い。」


 マリィの腰に軽く掌を当て、流すように力を抜く。

 空振りの剣が夜空を切り裂き、マリィもまた地に膝をついた。





──


 三人が、夜の草地に並んで膝をついている。


 「……うそだろ。」


 ストラウスが、荒い息を吐いた。


 グリスは何事もなかったかのように、肩の上のシロモフを撫でた。


 「……これが、クロニクル・ベアラーだ。

 ……だから言ったろ、無駄だって。」






──


 その様子を、少し離れた木陰で見ていたリーアが

 静かに草を踏んで近づいてくる。


 「……グリス。使いすぎてない?大丈夫なの?」


 リーアは腰に手を置き、目を細める。


 「最小限だ。」


 グリスがそっけなく言うと、

 リーアはにこりと微笑む。


 「本当に、最小限で済ませられたのね?」


 「……ほら。」


 指を鳴らすと、術式カードが虚空に浮かぶ。


 《クロニクルシグナル:モフ度 18%》


 リーアはカードを覗き込むと、小さく肩を揺らして笑った。


 「……ふふっ。相変わらず、妙な表示ね。」


 「しょうがないだろ。そういう仕様なんだから。」


 シロモフが得意げに鳴いた。





 リーアはスッとグリスに近づき、

 手袋越しにそっと胸元を掴む。


 「でも……念のため、私が確かめます。」


 「ちょ、待て……!」


 「大丈夫です、すぐ済みますから。」





 リーアはゆっくりとグリスに抱きつき、

 柔らかな声を耳元に落とす。


 「……ええ、大丈夫そうですね。」


 その声に混じって、吐息がかかる。


 「からかうな……!」


 「からかってなんかないですよ。

 ……可愛いものですから。」


 リーアが小さく笑い、指先でグリスの顎をつついた。


 「く、くそ……。」


 赤くなる耳を見て、リーアの目が楽しげに細まる。


 「大丈夫ですよ、グリス。

 無理はなさらないでください。……もしもの時は、私がギュッとしますので。」


 「子ども扱いするな……。」


 「可愛いから仕方ありませんね。」







──


 護衛たちがようやく立ち上がる。


 ストラウスが頭を下げる。


 「……お見逸れしました。」


 「気にすんな……次やったらもっと泣かすけどな。」


 グリスがぼそっと呟くと、

 シロモフがくすくす笑った。


 リーアは少し離れたところから、

 そっとグリスの袖を引いた。




 「さあ、参りましょう。

 まだ村の不思議を解かねばなりませんので。」


 夜の草地を、クロニクルの刻印が照らしていた。


第21話「◆騎士の誓いとクロニクルの気配」へつづく


どうも、お世話様でございます!


焼豚の神でございます。


少し不穏な回でもありましたね~( ^)o(^ )♬

これから物語がどうなっていくのかお楽しみに!



◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆


グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」


 → 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。


 → 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。




モフ度


 - 0~19%:平常


 - 20~29%:末端ふわ化


 - 30~49%:耳/尻尾ふわ化


 - 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)


 - 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声NGなど)


 - 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”



良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!



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