表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/175

第18話「◆遠征の空、若葉の剣とクロニクルの兆し」

今日もよろしくお願いします!


今回はいつものストーリー(^_-)-☆


ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!

──リーア・バレンスタインからの依頼を完遂してから、一週間が経った。


グリスは、傭兵ギルドの片隅に置かれた木机に腰を下ろしながら、

目の前でカタカタ震える占い札を、面倒そうにめくっていた。


「……はい次。恋愛運、あなたは一生無理ですね。」


「えええ!? そんな……!!」


「冗談です冗談。ほら、見てください。

ちゃんと良縁の相が出てます、しかも晩婚タイプ。」


「ほ、ほんと!? えへへ、じゃあまだ大丈夫なんだ……。」


横でシロモフが、

「お前、客に情けかけてどーすんだよ」とでも言いたげに

尻尾をぱたぱたさせている。


『クロニクルベアラー』としての占いは、

本気でやると色々と“代償”がデカい。


だから最近は、ギルド内ではほどほどに済ませていた。


(……そろそろ、路銀がマジで尽きる……。)


机の端に積まれた銅貨の山を見つめて、グリスはため息をついた。


クエストをサボり過ぎたツケが来ている。


占いの小銭では、

自分たちのご飯代にすら追いつかないのだ。


シロモフが、木札の影からひょこっと顔を出す。


「おい、グリス。そろそろ外に出ろって。

モフるだけじゃ、パンは買えないモフよ?」


「……わかってるよ。」






そんなタイミングで、ギルドの受付嬢が声をかけてきた。


「グリスさん、これ。新しい依頼が届いてます。」





差し出された封筒には、

【村の運命を占って欲しい】の文字。






「……村、まるごと?」


「そうです。なんでも、最近不穏な出来事が続いていて……

村長さんがどうしてもって。」


(嫌な予感しかしない……。)


だが、背に腹は代えられない。


銅貨の山がぐらりと傾くのを見て、グリスは観念した。


「……行くしか、ないか。」


シロモフが尻尾で肩を叩く。


「へいへい、決断が遅い!

お前がトロいと、またオレのオヤツが減るんだからな!」


「どっちの腹が問題なんだか……。」


 

──


 


こうして、グリスとシロモフの

“遠征占い旅”が始まった。


村までは、徒歩で三日はかかる距離。


当然、まともに歩く気などない。


(久々に……ちょっとだけ、本気出すか。)




グリスは、小道に立つと、

内側でクロニクルベアラーの力を薄く解放した。




視界の端に、小さなステータス表示が浮かぶ。


《クロニクルスプリント──発動》


足元の空気がぐっと沈んだかと思えば、

次の瞬間、グリスの身体は弾丸のように

村へ向かって駆けだしていた。


「うおおおおおおおおっ!?」


森沿いの街道を走り抜けるグリス。


シロモフは肩にしがみつきながら、耳元で叫んでいる。


「モフッ!!おいグリス! 顔が引き攣ってるモフよ!

もっとリラックスするモフ!」


「言われなくても分かってるっ! でも、久々だと

足が勝手に前に出るんだよ!」






その時、街道沿いを走る一台の馬車の真横を通り過ぎるグリス一行。


中で、母親と小さな子供がグリスの姿を目撃する。


「ママ、ママ! 豚さんがスゴいスピードで走ってるよ! 何でかな!」


「あらあら、本当ねぇ……たぶん、トイレが近いのよ〜。」


「そっか! 漏らしたら大変だもんね!」


(誰が漏らすかっ!!)





シロモフが肩の上でくくっと笑った。


「いいじゃん、グリス。お前、漏れそうな顔してるってさ。」


「うるせぇよ!」


 

──


 


森の中に小さく開けた村、【カラビナ村】に到着した。


「……ぜぇ、ぜぇ……スプリント、使い過ぎた……。」


クロニクルベアラーの力は万能ではない。


やり過ぎれば、また“モフの代償”がやって来る。


(……帰り道は普通に歩こう。)




村の入り口には、

個性豊か……というか一癖ありそうな村人たちが

わらわらと集まっていた。


「おお! あなた様が噂の占い師様ですか!」




先頭に立つのは、

ガタイの良すぎる農夫。


「あんた、名前は?」


「わしは【バルク・ムキムキ】じゃ!」


(ムキムキ!? ……名前かよ!!)


思わずツッコミを入れそうになったグリスの頬を

シロモフが尻尾で叩いた。


「耐えるモフ!耐えるモフ!!名前に触れたら負けだモフ。」





次に出てきたのは、

異様にテンションが高いおばあちゃん。


「わたしゃ【オババ・ハイテンション】っていうんじゃ!」


(だから説明する名前やめろやーー!!)


「はいストップ。顔に出てるモフ、グリス。」


シロモフが必死にグリスの口を押さえる。




そして、奥から現れたのは、丸眼鏡の小柄な村長。


「わしが村長の【コマツナ・シゲ~ル】じゃ。

占い師殿、よくぞ来てくれた!」


(コマツナ!? シゲ~ル!? 野菜かーー!!あと何か巻き舌で発音めっちゃ良いな村長!)


「落ち着くモフ。全部にツッコミ入れていたら、日が暮れるモフ!」




グリスは肩を震わせながら、

シロモフに押さえつけられて、どうにか笑いを堪えた。


 



──


 

それでも村人たちはマイペースだ。


「わしの腰はいつ治るんじゃ、占い師殿!」


「わしんとこの畑にイノシシが出るんじゃが、

イノシシ・ムキムキと相性は良いかのう?」


(イノシシもムキムキなのか……。)


「わしはいつ孫の顔を見れるんじゃろか? 名前は【カネゴン・ヒトシ】!」


(もう勘弁してくれぇぇぇ……!!)


「村の運命じゃなかったのかーーー!!」


ついにグリスの悲鳴が村に響き渡る。


シロモフが肩で笑っている。


「ほれ、働け働け。路銀のためだモフ。」


「俺の寿命が先に尽きるわ……。」


 


──


 


そんな騒がしい村の中央。


占いに没頭するグリスの背後で、

一人の女性が荷馬車から降りてくる。


「……あれ?」


振り向いたリーアと目が合う。


「……グリス?」


村人たちがどよめく。


「コマツナ村長、知り合いかの!?」


「おお、そりゃ心強いのう!」


グリスは肩を落としてシロモフに小声で吐き捨てた。


「……もう、ツッコミが追いつかねぇ……。」


シロモフが小さく笑った。


「モフモフ、運命ってのはそういうもんだ、クロニクルベアラーさん。」


リーアが近寄ってくる。


「また会ったね、グリス。」


波乱必至の占い遠征は、

ツッコミと笑いを携えて、幕を開けたのだった──。


第19話「◆剣姫の影とクロニクルの種火」へつづく


どうも、お世話様でございます!


焼豚の神でございます。


久々の日常回も面白いものですな~( ^)o(^ )♬


書いてみると(^_-)-☆




◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆


グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」


 → 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。


 → 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。




モフ度


 - 0~19%:平常


 - 20~29%:末端ふわ化


 - 30~49%:耳/尻尾ふわ化


 - 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)


 - 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声NGなど)


 - 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”



良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ