第11話「◆バレンスタイン邸への帰り道──再び灯る夜」
今日もよろしくお願いします!
今回は息抜き回。癒し要素多めでお送りしやす(^_-)-☆
ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!
◆帰り道──ステータスは語る
準備があるとのことで、レイテ邸をあとにし、後日また屋敷へ赴くことになったグリスとシロモッフは石畳の道を歩いていた。
夕暮れの空が、ゆっくりと群青に変わっていく。
謎解きを突破し、依頼を成し遂げた満足感が胸に広がる。
(……さて)
懐の【術式カード】を取り出し、何気なくタップ。
──ピッ。
淡い光のパネルが目の前に浮かぶ。
【ステータス更新】
グリス(※名前隠ぺい中)
称号:物語を綴る者/依頼配達人/仮免・占術師(初級)
▼スキル一覧
・観察:Lv4
・記憶読解:Lv3
・小規模幻視:Lv1(NEW!)
・即興占術:Lv1(NEW!)
▼状態
・精神集中:良好
・魔力残量:67%
・モフ度:29%(↑+14%)
【⚠ EMERGENCY CALL】──警戒値オーバー中!
「──おわっ!?」
突如、パネルの中央に赤色の注意喚起が点滅し始めた。
──【注意】──
モフ度が28%を超過しています。
30%を超えると身体の一部が「モフ化」します。
自覚症状としては、手足の末端に“ふわふわの毛並み”が現れはじめ、
最終的には「モフモフぬいぐるみ体型」への変異が進行。
※現状:変異ギリギリラインにつき、耳先に軽度のフワ化反応あり
「……ええええええっっ!?」
「グリス!やばいよ!数値気にしなさすぎて、バンバン能力使ったから大変なことになってるよ!」
グリスは両手を見た。
……何か、指の先がほんのり白く、ふわふわしている。
「やっば!? マジでモフってない!!?」
慌てて術式カードを連打し、《モフ度抑制法》を検索。
(やばいやばいやばい!! オレ、あと1%で“モフ確定”じゃん!!)
◆リーアの迎えと“再会の魔”
ちょうどバレンスタイン邸が見えた頃、
玄関先でリーアが手を振っていた。
「おかえり〜、“帰りが遅い配達人さん♪”」
「聞こえてんだぞ、そっちのセリフ!」
「ふふ、冗談冗談♪……で、依頼は?」
「無事成功。したんだけど、ちょっと別件でもう一度行くことになった」
「ふーん……そっか、じゃあ──よく頑張ったね」
リーアは言いながら、にこっと笑った。
そして──ぽふ、と、彼の頭に手を置く。
「頑張ったんだ。偉いね♬ いい子いい子〜♬」
「……ちょっ、おい、やめ──!」
グリスが体を引こうとしたその瞬間。
「……あ、ごめん……やっぱ嫌だったよね子ども扱いしすぎたね。ごめんね」
リーアが、ふっと顔を伏せて手を引っ込める。
その瞬間、グリスは思わず口を開いていた。
「えっ……あ、いや、そんなに嫌ってわけじゃないよ〜……?」
「ほんとうに?」
「あーもう! そこまで落ち込まれると、逆にこっちが悪いみたいだろ!」
「ふふ……じゃあ、もうちょっと撫でてあげよっか?」
「い、いや、やっぱ──」
「はいはい、良い子良い子〜♡」
「うぐぅ……っ」
「......。(えぇ~。ナチュラルに、会う度にイチャイチャしてない君ら??グリスも今、大変な状況って分かってるのかねぇ~。本当に、胸焼けしますわホンマに、ねぇ!みんな!?)」
グリスのツンと立った髪が、リーアの手にふにふにと撫でられていく。
その指はあたたかく、リズムが心地いい。
(くっ……恥ずかしい……けど、なんか……あったかいな)
照れ隠しに視線を逸らしながらも、
グリスは内心でほんの少しだけ、ほっとした自分を感じていた。
──そして。
彼はそっと、もう一度【術式カード】を取り出す。
【ピッ】
浮かび上がったステータスに──思わず、目を疑った。
【ステータス確認】
モフ度:19%(↓ -10%)
「え!?……マジで?……下がってる!?」
思わず、声が漏れる。
「ん?どれどれ本当だ!下がってるよグリス!!でもなんでいきなり??」
(さっきまで29%だったんだぞ!? いったいなにが……)
思い返す。
・謎解き占術 → モフ度+14%
・変化寸前で警告 → エマージェンシーコール
・その後、リーアの──
「……なでなで……」
「え? なに? いきなり独り言?」
「な、なんでもない!!」
(まさか、“癒される”ことでモフ化抑制されるって……)
(モフ度って……癒し管理されてるのか!?)
(ってことは……)
「モフ化を防ぐには、甘やかされる必要がある──だと……!?!?」
グリスの思考は混乱と困惑と、ほんの少しのトキメキでぐるぐるしていた。
「……もしかして、この世界の攻略法って……“なでなで延命”必須なの!?」
「うわ~。グリス流石にヤバいって。倫理的に、自分の性癖を世間様にさらすのはちょっと...。」
「うるさいよ、シロモフ!ボクだって頭おかしいこと言ってるって思ってるよ!」
「え、なになに? なんかすごい顔してる! どこかモフったの!?」
「モフってない!!あと、今はからかいはなしでお願い!!」
「あらら〜? ごめんごめん♬だから、ちょっと見せて~」
「だから見るなぁあああ!!!」
玄関前に、ふたりと一匹の笑い声と喧騒が響いた。
そしてグリスの内心には、はっきりとひとつの結論が刻まれた。
グリスは恥ずかしさと困惑を抱えたまま、心の中でひとことだけ、強く叫んだ。
(モフモフさせろってことかぁあああああ!!!)
夜の静寂が、ふたりのやり取りをふわっと包み込み、
どこか“ぬいぐるみのような優しさ”が漂う夜になった。
第12話「ふたりの姉妹と“もふリンク”の試練」へつづく
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
新キャラバンバン出しますぞ~( ^)o(^ )♬
◆グリスの「モフ度」と能力関連解説(簡易版)◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声NGなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!




