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第7話「◆ジョブチェンジ詐欺!?◆“マッサージ店”の正体は──」

今日もよろしくお願いします!

今日は皆さん、七夕ですよ!

星に願いを込めて一緒にお祈りしましょう♬


──“ベーカリーたんぽぽ”での短期バイトを終え、初めての報酬を手にしたグリス。


ヘル婆から受け取った小さな封筒には、数枚の紙幣と“働く意味”がぎっしり詰まっていた。


──責任ってこういうものか。

──仕事って、大変だけど……悪くないな。


そんな想いが、グリスの胸に灯っていた。


今日もまた、生活費と経験値を稼ぐべく、街に繰り出す。


「さて、今日の“運命のバイト”はどこだ……!」


──午前10時。


雑踏の片隅、街角の求人掲示板ジョブ・ボードの前で、

グリスは腕を組み、神妙な顔をしていた。


「……パン屋、大変だったけど良かったなァ……」

「生地は心でこねろって言われたけど、ボクの心はホットサンドパンだった……」


「あと顎だね。硬パンに殴られて、3時間ろれつ回ってなかったけどね」


肩の上で涼しい顔をしているのは、相棒のシロ=モフ。

この世界で最初に出会った相棒であり、地味に毒舌が刺さる毛玉型の存在。


「……今日は、それよりもラクそうなバイト探そ……」

「できれば、喋らなくてもいいやつ。もしくは寝てても給料出るやつ……」

「その考え自体がアウトよりだって気づいてる??」


そんな魂の抜けた独り言の最中、グリスの視界にふと飛び込んできた一枚の紙があった。


【急募】マッサージ店スタッフ(未経験OK・研修制度あり)

癒しの空間で、あなたも“ほぐす側”になってみませんか?

◎完全個室・静かな雰囲気・まかないあり


「これだあああああ!!」


目が輝く。


「これこそ、ボクが求めていた“お仕事”だ!!」


「いやいやいや、もうこの時点で怪しいからな!?この世界の求人、ほぼ“地雷系”多いって学んだなでしょ!?」


「黙って、シロモフ!!今日こそ人間社会に馴染んでみせるんだ!!」


「無理だと思うよ。“癒し”って言葉は“痛みの伏線”って意味だと思うよ!?」


グリスはシロ=モフを強制収納し、

意気揚々と案内に書かれた住所へと向かった──。






※※※






到着したのは、商店街の外れ。


一見オシャレな古民家風の建物で、

扉の前には小さな看板が置かれている。


『癒しの館 肉球の間』


「……意外とちゃんとしてる?」


「“意外と”って言った時点でフラグ立ってるからね?」


恐る恐る引き戸を開けると──


ふわりと、アロマの香りと心地よい音楽が流れ込んできた。


グリス「うわぁ……落ち着く……!」

「木の香りとラベンダーのブレンド……これは当たり案件かも……」


シロモフ「……これボクの知ってるフラグの中でも、これ一番危ないやつだよ……」


その瞬間──


「いらっしゃいませぇええええええええええええッ!!!!」


ドガァァアアアアアアアン!!!!!!


爆音と共に開いた扉の向こうから──

突如、オイルテカテカのマッチョ軍団が現れた。


「ようこそおおお!!癒しと修羅のマッスル温泉へッ!!」


「え……????」


筋肉。筋肉。筋肉。

裸に近い上半身にタオル一丁の男たち。

ポージングは完全に戦隊モノで、筋肉の自己主張がエグい。




「グリスさんですね!?履歴書拝見しましたッ!!即採用です!!」


「書いてない書いてない!!そもそも出してすらいないよ!?」


「異世界帰り(空白)って経歴、最高にロマンありましたから!」


「その括弧の中に地雷が詰まってるんだってば!!」


「ではまず、体験入店から!!“ほぐされ研修”いってみましょう!!」


「いやあああああああああああ!!!ボクがほぐされるのォォ!?」





──5分後。


「ぎゃあああああああああああああああ!!!!」


グリスは5人のマッチョに囲まれ、

ほぐすどころか人体の再構築の勢いで揉まれていた。


「そこ肩じゃないって言ってるでしょ!!背骨!!背骨ェェェェェ!!!」


「耐えてくださいッ!!あなたの“前世のトラウマ”まで解してますからッ!!」


「癒しの意味って何だっけええええ!!!!!」


筋肉の波に揉まれ、グリスの顔はだんだん何かを悟った修行僧のように静かになっていく。







──一方、控室では。


震える毛玉がいた。


「……ボクのモフモフ毛に手を出したら許さないぞ……」



そんな風に壁際で丸まっていたシロ=モフ。

だがその時──


「はい次ッ!!毛玉ッ!!いっちょ揉んでみましょう!!」


「やめろおおおお!!!毛は揉んじゃダメええええ!!!!」


彼の断末魔は、今日も控室に響き渡った──。





──1時間後。


アロマの香りとともに、

ズルズルと引きずられるように店から出てくるグリスとシロ=モッフ。


全身ツルツルテッカテカなのに妙に疲労感に満ち、しおれている二人。



「……はあ。あれが“マッサージ店”……?」


「いや、“マッスル道場”だったよね、完全に」


「ボク、何にジョブチェンジさせられたんだろ……」


「詐欺だよ。完全にジョブチェンジ詐欺だったよ」


グリス、肉体的にも精神的にも、揉み返しMAX。



「……ま、まあ……確かに身体は軽く……なったけど……」


「それ、魂が抜けたってことじゃない……?」


「ここ……バイト代……いくら……」


「いや、たぶん“ほぐし料”として請求されるパターンじゃない?」


「癒し系求人……ぜんぶ信用しないって、誓う……」


「よかったね。人生に筋肉のコブシで刻まれたね」



グリスの家に、マッスルたちから再依頼通知のチラシを

魔冷庫の下に敷いて“未来予測メモ帳”として再利用したという──。



◎次回予告:第8話◎

「運命を盗む者──占術師、始動」へつづく


マッサージ地獄で社会の洗礼を受けた少年・グリスは、初めての報酬を手にしたことで“働く意味”と“自分の可能性”に向き合い始める。

偶然辿り着いた地下ギルドで発揮されたのは、誰にも真似できない記憶と予測の力──。

その夜、異端の肩書きが生まれた。【占術師&盗賊フォーチュン・スニッチャー】、ここに始動。



どうも、お世話様でございます!


焼豚の神でございます。

いや~マッスル西部う多めでしたね!今回は(^_-)-☆


いや~、キャラが増えることでますますグリス君のツッコミの制度に磨きがかかっていますねぇ~。

キャラ同士の掛け合いが面白いですねぇ~( ^)o(^ )


グリス君が、終始振り回されている感じがしますけど、そこは愛嬌ということで


許してあげてくださいな♬


でも、こういうアップテンポなキャラクターたちの掛け合いも良いものです


なぁ~(*ノωノ)ホッホッホ♬


良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!

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