第3話 「◆朝五時のバイト面接、落ちました」
今日もよろしくお願いします!
ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!
あと、腹筋崩壊注意報発令します~。
読むときは、電車内とか、人混みは避けて一人になれる時間帯に読んだ方が良いかもしれませぬ!
近くに人がいると、「この人何クスクス笑っているの?」って言われるかもしれませぬ故、気を付けるでござるよ!('ω')ノ
──その前に、ちょっとだけ世界の話をしよう。
「ねえねえ、みんな。グリスがすっかり“娑婆ボケ”してるから、代わりに僕がこの世界のこと、説明しとくね」
語り始めるのは、もちろん我らがもっふもふ担当──シロ=モッフである。
「僕たちが暮らしているのは、《連環世界セラフィーデ》っていう、でっかい世界だよ。世界って言っても、実は4つの大陸に分かれてて、それぞれ、けっこうクセがあるの」
◆
第1大陸『ヒューマニア』
→ 古の《勇者》を信奉する人類の王国連合体。技術と法に重きを置き、勇者が示した「希望と改革」の道を進もうとしてる。でも……ちょっと保守的になりすぎて、最近は“聖人ぶった硬直国家”って揶揄されてるらしい。
第2大陸『ダル=ノクス』
→ 旧《魔王》を信奉する魔族の連邦国家。多様な種族と力を重視し、魔王が遺した「自由と混沌」の理を大切にしてる。でもその自由が過ぎて、しょっちゅう内ゲバ。だけど不思議と均衡は保たれてる。
第3大陸『エリュシエール』
神官たちが建てた古の“聖録都市国家群”が広がる。
世界の均衡を重視し、勇者と魔王の両者を「書の記録者」として崇める学術宗派が中心。
一見中立だが、その知識力と秘匿性ゆえに、両陣営から「傀儡か?それとも審判者か?」と疑われている。
第4大陸『ネザリカ』
かつて神が創ったと言われる「原初種」と呼ばれる異形の種族たちが暮らす、ほぼ未踏の大地。
外界との交流はほぼ断絶しており、異世界から来た“勇者”と“魔王”を招いた元凶はこの地の奥義だったのでは……?という説も存在する。勢力を持たない“独立した神域”とされるが、物語後半で核心に迫る可能性も?
◆
「そしてね、かつてその《勇者》と《魔王》──名前は伏せるけど、まぁ想像つくよね?──は、“神の破壊計画”を止めるため、召喚された異世界の存在だったんだ」
「つまりね~。この世界には4つの大陸があるけど、“実際にケンカしてる”のは前の2つだけなの。あとの2つは、静観してるようでいて、実はどっちも“内心いろいろ思ってる”。……人間ってさ、何でも2択にしたがるでしょ?」
「でもね、きっと本当に怖いのは、“どっちでもない選択肢”なんだよ……ボクは、そう思ってる。――
あっ、これ言っといて良かったかな?まあ、いっか☆」
「要は、神が“この世界はもう限界だ”って判断して、2つの大陸に“救世主”を送り込ませた。あっちには勇者、こっちには魔王……ってね」
「だけど、その2人は単なる兵器じゃなかった。彼らは神に“待った”をかけた。血を流し、国を巻き込んで争った末に、共闘して神すら退けた。そういう伝説があるんだよ」
「今では、どちらの大陸も“自分たちが正統な後継者だ”って主張してて、たまに衝突もあるけど……基本的には均衡状態が続いてる。ま、表向きはね」
「……おいシロモフ、さっきから誰に向かってしゃべってるんだ?」
「ん? それはもちろん──読んでくれてる“みんな”に決まってるじゃん♪
(^_-)-☆」
「う〜ん、わからん……」
──そんな“読者サービス”から始まった本日、
空はまだ薄暗く、街の輪郭を朝焼けがほんのりと染めていた。
──午前4時すぎ。
空はまだ薄暗く、朝焼けがほんのりと街の輪郭を浮かび上がらせていた。
鳥のさえずりもなく、寝静まった住宅街を、ひとりの男が歩いている。
ヨレたシャツに旅装の上着を羽織り、髪は寝癖で逆立ち、目元は死んだ魚。
「…………ねむい」
グリスである。
「お前さ、なんでバイト初面接が“朝五時”なんだよ……修行僧か?」
肩の上であくびをかましているのは、相変わらずのもっふもふ、シロ=モッフ。
「しかもパン屋でしょ? どうせ“焼きたての香りに包まれて~”とかいう幻想抱いてるんでしょ?現実は、熱と汗と小麦粉の三重苦だよ?」
「夢を壊すなモッフ……いや、シロモフ!! せめてこの朝だけは希望を持たせてくれ!!」
「ならもっとちゃんとした格好してきなよ。
“野宿明けの吟遊詩人”みたいな服で来て、希望って言われても」
「“吟遊詩人”って聞くと、ちょっとカッコよく聞こえるからやめて!? ボクただの無職だから!!」
ツッコミを入れながらたどり着いたのは、小さなベーカリー。
その名も──
『パンの宮殿〈パレス・オブ・ブレッド〉』
「……やたらと名前が壮大なんだけど……ここだよね?」
「うん。看板の隅に“求人あり〼”って貼ってあるし。あと、“採用基準で中の人やる気:焼き加減次第”ってメモもあるね」
「嫌な予感しかしないんだけど!?」
──ピンポーン。
呼び鈴を鳴らすと、すぐにガラガラと戸が開いた。
中から出てきたのは、長身で筋肉質な女性。
白エプロンに、腕組み、そして眉間のシワが深い。
「……おはよう。君が応募者のグリス君?」
「あっ、はいっ! 本日5時からの面接に参りました、グリスです! よろしくお願いします!」
「ふーん……やる気はありそうね。じゃ、まず聞くわ。“あんパンとジャムパン、パンとして愛せるのはどっち?”」
「えっ!? な、なんですかその設問!? 哲学ですか!?」
「……面接よ。ウチでは、パンの愛がない者は雇わないの」
「そ、そんなに愛されてるんですか!? この町のパン事情!!」
横で見ていたシロモフが小声で囁く。
「多分、睡眠不足と小麦粉で脳が発酵してるだけだよ。大丈夫、面接官も疲れてる」
「フォローになってないから!!」
グリスは必死で考える。
「えっと……あんパンは素朴で安心感あるけど、ジャムパンの酸味は刺激的で魅力的というか……」
「なるほど。じゃあ君、“カレーパンの存在価値”について語れる?」
「えええっ!? 論文級になってきたよ!? カレーは……主食であって副菜じゃないっていうか……!」
「……ふむ、よく喋る子ね。じゃあ、最後に。“好きな粉は何?”」
「好っ……!? 好きな粉!? え、あの、種類が多すぎて……え、小麦粉一択じゃだめですか!?」
「ふん。凡人ね。小麦は“入り口”なの」
「何の世界観!? 粉道!? 粉に段位とかあるの!?」
面接は10分で終わった。
いや、限界だった。
グリスはパンの香りに包まれるどころか、
“パンの質問”という名の精神的ハンマーで、無事叩きのめされたのだった。
──帰り道。
「……落ちたな、これは」
「うん、全体的に“粉力”が足りなかった」
「粉力って何!? パン屋ってもっとこう、温かくてふわふわしてるんじゃなかったの!?」
「グリス、よく思い出して。“宮殿”って名乗ってるパン屋だったじゃん。つまり支配者がいる。
で、君はその支配者の“パン道”に共鳴できなかった。つまり──不採用!」
「せめて合否の通知くらいくれぇぇええ!!」
こうして、グリスの第一歩・朝五時のバイト面接は、
“粉まみれの敗北”として、記録されたのだった。
──その夜。自室の畳に寝転がりながら、グリスはつぶやいた。
「次は……もうちょい、やさしめのバイト探そう……」
「うん。パンは“食べる側”でいたほうが幸せだね」
「……黙っててシロモフ」
第4話「“異世界帰り”の肩書き、履歴書に書けない」(つづく)
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
いや~、グリス君とシロモフの掛け合いが面白いですねぇ~( ^)o(^ )
グリス君が、終始振り回されている感じがしますけど、そこは愛嬌ということで
許してあげてくださいな♬
でも、こういうアップテンポなキャラクターたちの掛け合いも良いものです
なぁ~(*ノωノ)ホッホッホ♬
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