第1話「◆この空、懐かしいはずなのに息苦しい」
今日もよろしくお願いします!
今回のお話から、いよいよ本編が開始となります!
長かった、本当に長かったプロローグがようやく終わりましたよ、皆さん!!
長かったですねぇ~( ;∀;)
でも、ここからどんどん物語が加速度的に面白くなっていくと思いますので、乞うご期待ください!
ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!
──バシュゥッ!! ズザザザザザァァァァァァァァ!!!
「やべっ……ちょ、待──ああああああああああああああ!!」
まさかだった。
ヒーロー登場みたいな、キラキラとした光の柱に包まれて──
「静かに現実世界に帰還。これはもう、凱旋ムードでしょ」とか、そんなナメた
想像をした自分をぶん殴ってやりたい。
グリスの身体は、思いっきり大空に放り出されていた。
ズザァァァァ! ガゴン! ドシャァァ!
「誰だよォ!! “異世界からの帰還”を“山の斜面ダイブ付き”にしたのはァァァァ!!」
顔面を草に突っ込みながら、グリスは人生史上最も悲惨な“着地”を味わっていた。
だが、地獄はまだ続く。
──視界の先に、崖。
「えっ? うそ……え、ちょ、あれ……崖!? マジで!?」
急斜面を下りながらも、前方に迫りくる断崖絶壁。
(やばいやばい、このままじゃ、帰ってきて初っ端な完ッ!!になる……何言っちゃってんだろうイヤ~~~~~~ギィャ~~~~~~~!!)
身体は止まらない。どんどん加速する。まさに“死に戻り”。
グリスは咄嗟に、ポケットからあの魔導書を引き抜いた。
「こうなったら……使うしかない!」
震える手で記綴筆を構え、意識を集中させる。
ページがパァァァァッと金色に発光し、特殊なスキル名が浮かび上がる。
──《脂流占》
:脂の流れを読み、目前の選択肢の“最良の道”を直感的に掴む、短期限定の運命予測。
「脂よ! この運命、滑らせてくれ!!」
バッとページをめくり、筆を走らせる!
「《エアーズクッション、俺の最悪を回避しろ!》」
【コード認証完了──これより、改変に入る】
機械的な音声が空間に響くと、崖の縁に──
ふよん……と、突然ふくらむ、謎の半透明クッション。
見るからに柔らかそうな、その物体へグリスの身体が突っ込む。
「うわああああ!?!? って、うわ!? めちゃクッション!!」
ぼよん!
──ぼよよん!
木にもぶつかる。枝にも絡まる。しかし、すべて“クッション判定”。
「な、なんで木まで“ぽよん仕様”になってるの!? 世界観バグってない!?」
ぼよんぼよんと反発し、最後は地面に受け身を取りながら、ゴロンと転がって──
「グヘッ……セーフ……」
奇跡の軟着地を果たした。
呼吸を整えていると、ふわりと魔導書のページがまた開いた。
目の前に、淡いホログラムのような“ステータス画面”が出現する。
【名前】:ユズリハ・グリス(楪 玖璃澄)(15歳)
【称号】:クロニクル・ベアラー《物語を綴る者》
【記録位階】:初等記録者
【発動スキル】:
✒ 運命改筆
└ 状態:使用可能
└ 発動条件:
・記録対象となる“未来”が明確であること
・強い情動(守りたいという意志)
・【占術エネルギー】が十分であること
・“記録対象”が本人に深く関わる存在であること
◆ 脂流占
(しるだまりせん / Fortune Slide)
• 効果:目前に迫る複数の選択肢の中から、最も生存・成功率の高い未来を“脂の流れ”を通して選び取る短期予知術。
• 代償・リスク:短期的な未来に限られ、分岐が複雑すぎると精度が大幅に落ちる。1日3回まで。
使用時、記録者の精神が軽く“未来に引っ張られる”感覚が残り、一時的にめまい・軽いモフ化が進行する。
◆ 燻影占
(くんえいせん / Regret Diffuser)
• 効果:他者の“未来に抱く後悔”の影を読み取り、それが発生しない選択肢を探し当てて促す占術。
• 代償・リスク:相手の心の傷や秘密を覗くため精神的負担が大きい。共感疲労により記録作業が制限される。
◆ 盗命の手
(とうめいのて / Destiny Snitcher)
• 効果:対象の“運命の一片”を“記録改竄”で奪い、自らに転用。一時的に好機を自分のものにできる。
• 代償・リスク:使用者・対象共に倦怠感。使いすぎると運命暴走&周囲の因果もバグる。
【占術エネルギー】:100% → 86%
【モフ化進行度】:0% → 14%(過剰使用時に進行。30%超で身体がモッフる!)
【占術収縮】:占術力が完全に枯渇すると魂の圧縮が起きる。NEW
【?????】:???????
◆ 《語り綴るもの:シロ=モッフ》
– Shiro-Moff, the Inner Chronicle Familiar –
使用者の“記録としての魂”が具現化した、モフモフの幻獣。
普段は筆先や影の中に宿っているが、モフ化進行度が75%を超えると明確な人格を持って“意識内”に干渉してくる。
◆アイテム:
記綴録
┗ 書かれた“物語”が現実を上書きする禁断の記録書。
┗ 使用時、対象の事象は「真実として固定化」され、歴史・記憶・存在そのものに反映される。
┗ 発動には高い【物語抵抗値(Narrative Resist)】が必要。
┗ 無理な使用は、“綴り手”の精神・記憶に深刻なダメージを与える。
┗ 現在、綴れる真実数:1/???(制限解除未達)
記綴筆Chronicle Pen(通常状態)
クロニクル・ベアラーにのみ扱える記録専用筆具。
書くことで未来や運命に干渉できる“記録改筆”を行える。使用には【占術エネルギー】を消費。
↓ ↓ ↓
◎真名解放:《????????》
解放トリガー(いずれかを満たす):
【モフ化進行度】が75%を超えた状態で、なお運命改筆を試みる強い意志
記録対象との“因縁”が極めて深い状態。
「守れなかった未来」を再び目の前にした時発動可能。
「……え、ちょっ、ちょっと待って待って待って! なんか……なんか能力増えてるんですけど!? 誰の許可で!? えっ、増殖式!?」
「情報量多すぎ! 読むだけで脳が“もふっ”てなるってば!」
グリスはスクリーンに思わず顔を近づけて、半ば引きつった笑みを浮かべる。
「でも、モフ化進行度って……なにこれ???」
二度見。三度見。
「進行しとる!? 何が!? 何に!?」
「……え? もしかしてボク、これ使いすぎたら……モフるの!? モッフモフになるの!? ほんとに!?」
「いや待って、モフるって何単位!? 耳? 尻尾? 鳴き声!?“くぅ〜ん”て言っちゃう感じなの!?」
「というか、ステータス画面……情報量、増えすぎィィィ!! 読むだけでお腹いっぱいなんですけどォ!?」
森の中で突っ込みまくる少年。誰も彼を止められない。
枝の上にいた鳥すら、目を丸くしてじーっと見ていた。
そのとき──
「ギョエェェ……ホロッホロロ……!」
どこからか響く奇妙な鳴き声。
「……ん? この鳴き声……まさか、“ギョロック”……?」
グリスは顔を上げた。
木の枝に留まり、ギョロリとした目玉でこちらを覗き込む、丸々と太った異形の鳥──いや、“魔鶏”がいた。
目玉がやたらと大きく、首がくるくる回る。羽の端が時折バチバチと帯電し、不気味な脂が揺れている。
「やっぱり……ギョロックだ! こっちの世界にしかいない、“警戒型魔鶏”……!」
──ギョロック。
警戒心が異常に強く、ちょっとした物音で飛び上がって奇声を上げるくせに、飛ぶ前にじっくり観察してくるという、性格のねじ曲がった魔物鳥である。
「あのやかましい鳴き声が……今はやけに心強いって、どういうこと……」
この風の匂い、湿った土、見覚えのある木々──
「ここ……本当に、ボクの世界だ……!」
静かに、息を吐く。
そして、ポツリと呟いた。
「この空、懐かしいはずなのに──息苦しい」
だがその苦しさは、過去の自分が逃げてきた“現実”と、
今の自分が向き合わなければならない“未来”の、間にある温度だった。
記綴筆を握る手に力をこめ、グリスは立ち上がった。
「……やってやろうじゃないか。地元現実、攻略開始!」
その背に、森を抜ける風が吹いた。
第2話「ボク、帰ってきました。……ただいま?」(つづく)
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
グリス君が、クロニクルベアラー(物語を綴る者)として能力を使っています
ねぇ。良い感じですなぁ~( ^)o(^ )ホッホッホ♬
でも、足元をすくわれないように気をつけてほしいものですねぇ~(/・ω・)/
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!




