▽プロローグ ②〜神様は町中華にいた!〜
プロローグ②です。
よろしくお願いします('◇')ゞ!
これは、運命を“焼き直す”物語。
謎の光を放つ扉との攻防に負けた少年グリス。
走り抜けた結果、足がもつれて激突した。
「ふぎゃッ!!」
が%&#FBNHがいdfかいえうッシャン!!
「おいおいなんだ!??なんだ!」
「敵襲か!!・・・おいおいなんの敵襲だ!兄貴どっかの怖~いお兄さんたちがいっぱいいる事務所にでも喧嘩売ったのか!?」
「馬鹿野郎ッ!オレがそんな浅はかなことするわけねぇだろ!」
「あ、ごめんなさい。ボクです。床が滑って転んじゃいました。」
「「あん?子ども...。...。え?焼豚(´Д⊂ヽドッキリか??」」
「おいおい、毎回食材を無駄にしちまうから化けて出てきたんじゃないだろうな!?」
「しゃあねぇじゃん!向かいにでっかいレストランが出来ちまったんだから。
でも、今月だって赤字ってわけでもないんだぜ?兄貴よ?」
「けッ。最盛期に比べればッて話だよ。親父たちが生きてた頃のな。客さえ来りゃあ、味は自信あんだけどよ。何せ、宣伝費がねぇんだから仕方があるまい?弟よ?」
「違いない。」
「「がははハハハハハ!!」」
店内で二人の青年が豪快に笑いあっていた。悲壮な現実にもめげることなく、笑いあっていた。その雰囲気に戸惑っていた少年は、
「あの...。」
「あん。あ、わりィな坊主。話さえぎっちまってよ。」
「兄貴の顔が怖すぎるからビビってるんじゃね?兄貴目つき怖いから笑」
「あん?!そりゃ、テメェもだろうがよ!俺と同じで目つき悪いくせしてよ!?」
「それは、確かに!?」
「「がははハハハハハ!!」」
何がおかしいのか分からないけど、笑いあう二人の姿に、少年はただただ戸惑うばかり。
「あ、あの!?」
「ん、わりィわりィ。すぐ話が脱線しちまうのが俺らの悪い癖だ。許せ、坊主。」
「すまんすまん。んで、どうしたよ?こんな夜更けに、一人でよ。ママとパパはどうしたよ??」
「母ちゃんと父ちゃんはいません。おれ、最初から一人でした。」
「あん、今の時代に両親がいない子どもっていんのかよ?やっぱり、ドッキリか??」
「はは~ん。少年、さてはませてるな。自分はパパとママに迷惑をかけないで生活してきたって。いかんよ~。それは、大きくなってから苦労するぜ?少年。」
「違いない!弟よ。」
「「がはh「ボクはずっと一人で生きてきただ!今までずっと!!!」...ッツ!?」」
兄弟二人の言葉にかぶせるように、大きな声で叫んだグリス少年。
自分の今までのスラムで生きてきた人生を否定された気分になって感情が抑えられなくなったのだ。少年はまだ少年のまま感情を抑えることができない、子どもらしい一面でもあった。
「・・・。わりィな、不快な思いさせて。」
「だな、わりィ。許してくれ。少年。この通りだ。」
二人して、頭を下げた。
今まで、頭を下げる側だったグリスにとって衝撃的な場面であった。自分が頭を下げることはあっても、頭を下げられた経験は一度たりともなかったからである。いつも、自分が頭を下げる側だと思って頂けに衝撃を受けたのである。
「なんで、二人が謝るの?」
「「あん?間違ったことしたら謝るのが普通じゃないのか??」」
兄弟二人そろって、きょとんとした顔で首をかしげてそう言った。
「そういうの分かんないけど、なんかかっこいいな...。グスン。」
少年は静かに涙した。自分が間違ったことは言い訳せずに、素直に謝ることの大切さをグリス少年が学んだ瞬間でもあった。
▽ ▽ ▽
閑話休題《そんなこんなで少年が迷い込んだ場所の話に戻る》
ある日、オーク族の少年グリスは、気がつけば見知らぬ空間に立っていた。
まわりには見慣れない建物、奇妙な看板。目の前には、赤く滲んだネオンが「中華そば」と揺れている。昭和の匂いを色濃く残す、くたびれた町中華の店――。
ガラス戸には「営業中」の札。だが、人の気配はほとんどなく、通りを行き交う者もいない。夜の帳が降りた空の下、寂れた商店街の一角で、その店だけがまるで“時間”から取り残されているようだった。
だが、店内から漂ってくるのは、たまらないほど食欲をそそる香りだった。
香ばしく焦げた焼豚の匂い。パチパチと油がはぜる音。ほんのり甘く、どこか懐かしいような、濃厚な醤油の香り。そして、米が鍋肌を滑りながらパラリと炒められる気配。
それは、彼が生まれて初めて感じる“温かい匂い”だった。
どこなのか、なぜここにいるのかもわからない。
ただ、空腹のままさまよい、謎の扉との格闘後、迷い込んだ彼にとって、その香りは一筋の光だった――。
グググググググ~~~~~~!!!
「ッツ!?」
少年は顔を真っ赤にさせて自分のお腹を押さえる。
「あん、坊主、腹減ってるのか…。食うか、この焼豚焼飯?どうせ客なんて来ねぇからよぉ。賄い作って、二人で飯にするところだったからよ。」
「いいんですか!?こんなご馳走を...ボクにも!?!」
「ご馳走って程のもんでもねぇぞ?少年。毎回作ってるからさ。そろそろ食べ飽きてきてんだからさ。」
「おいおい、弟よそれは思っていても口には出しちゃいけねえだろ!?」
「わりィ、口が滑ったわ笑」
「ッたく、ほらテメェは皿の準備でもしやがれ。」
「へいへい、分かりやしたよ~。」
「あの!」
「あん?どうしたよ、少年。」
「ボクも、手伝います。」
「お、マジか偉いじゃん。働かざるもの食うべからずってことば知ってんのか。偉いじゃんよ。おっしゃ、こっちきて、皿一緒に出すべ。」
「はい!」
「なんだ、坊主にえらく優しいじゃねぇか。弟よ?」
「いや~、何ていうかさ。一人で生きてきたってさっきあの子言ってたけど。あながち間違いじゃねぇのかなって思ってよ。(チラリ)」
「あん?(チラリ)」
二人そろって少年をチラリと流し見る。汚れた衣服にあちこちほつれた衣類。何より、饐えた臭いがした。あれは何日も風呂に入っていない者か残飯が入ったごみ箱を漁り染みついた者の匂いだった。
「なあ、弟よ。皿の準備は後回しでいい。だから・・・。」
「あぁ、分かったよ。兄貴、先に風呂だろ?」
「あぁ、遅くなっても構いやしねぇからお前も付き添って洗ってやれ。」
「食事の準備はオレがする。」
「おい、少年。さき俺と一緒に風呂入るぞ!!」
「え?え??お風呂ッ!!貴族様しか入ったことがないっていうあのお風呂!?いや、ボクそんな恐れ多いっていうかなんというか!?!」
「あん!こりゃ、重症だな。おっしゃ、体キレイキレイしましょうねぇ~♬」
「え?ちょ!ま!待って!?」
「は~い一名様ご案内~♬」
「いや~~~~( ;∀;)」
店内は、ジュージューと音を立てている鉄鍋の音と少年の絶叫が木霊した。
▽ ▽ ▽
またまた閑話休題《グリスが風呂での格闘を終えた30分後》。
「兄貴お待たせ。今上がったぜ~。」
「あん?おいそれ...。」
「ああ、昔兄貴が親父たちにせがんで買ってもらった昔の厨房着(子供用)さ。案外似合うだろ?少年にさ。」
「ああ、いんじゃね?もう着れねえしな。着れるやつが有効活用した方がいいだろ。」
「あ、あの!!」
「あん?似合ってるぜ。坊主!!」
「ッツ!!?」
グリスは直感した。
――この人たちは、“神様”だと。
今日はもう客は来ないだろうということで、お店は閉店にした。兄の方も、風呂から上がってきて、サッパリして晩御飯タイム突入である。
「さあ、晩飯にするべ。食べるべ。」
「はいよ、兄貴ビール。」
「おう!サンキュー♬」
「うわぁぁぁぁ。...。...ゴクリ。」
少年の喉が思わず唾を飲み込んだ。
「ん?フッ、待ちきれねぇやつもいるみてぇだし?食うか。」
「あ、すすいません。落ち着きがなくて。」
「いやいや、これは俺ら冥利に尽きるってもんよ。早く喰いたいってことは待ちきれないってことだからな。」
「んじゃあ、坊主、両手合わせな。」
「え、手?」
「そそ、両手を合わせて食材に感謝して美味しく召し上がるっていう儀式みたいなもんだよ。」
「儀式...。」
両手を合わせるグリス少年を横目に、兄弟二人も両手を合わせる。
「「「はい!いただきます(マスッ!!」」」
「「ゴクゴクゴクゴク...。プハァ~沁みるねぇ♬ 今日も良く働いたってことさ!」」
「「焼き飯もいつも通り旨いッ!!いい味出してるねぇ~♬」」
兄弟二人がそろって盛り上がる中、静かに、それでいて一口食べた瞬間、止まらなくなり、
掻っ込むように食べる少年がいた。
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あの日、あの店で食べた焼豚焼飯のことを、ボクは一生忘れないだろう。
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一口、頬張った瞬間だった。
パラリと軽やかな米の食感のあと、ジュワッと広がったのは、香ばしく焼けた豚肉の旨みと、ほんのり甘い醤油の風味。鼻に抜けるその匂いが、どこか懐かしくて…でも、ボクの生まれ育った世界には決してなかったはずの味だった。
「……うまい」
気づいたときには、そう口にしていた。
誰に向けてでもなく、ただ心の底から、そう思った。
けれど、それだけじゃない。
この焼飯は、単に“うまい”だけじゃないんだ。
《《あったかかった》》。
腹に沁みたのは、温度でも味でもなく――
誰かが「ボクのために作ってくれた」っていう、その想いだった。
今まで、少年は“異物”として生きてきた。
見た目も匂いも違う自分に、誰も近づこうとしなかった。
だから、あんなふうに、言葉もなくただ「食ってけ」と差し出された皿が、どれだけ尊く思えたか――。
涙なんて、とっくに枯れたと思ってたのに。
スプーンを動かしながら、こぼれそうになるのを必死で堪えた。
いや、たぶん、こぼれてた。
「焼豚顔」でよかったって、はじめて思えた。
この焼飯が、俺の人生を変えた。
そう思えた瞬間だった。
訳もわからず出された焼豚焼飯を、彼は無言で口に運ぶ。
一口食べた瞬間、熱くてしょっぱくて…温かかった。
込み上げるものが抑えきれず、涙がこぼれた。
「……こんなに、優しい味があったなんて。」
自分の存在を拒まない人。無償で与えてくれる温もり。
それらすべてが、グリスの“焼け焦げた心”に染みわたった。
「どうだ坊主美味いか?」
「美味しいですッ!」
「・・・そうかゆっくり噛んで食えよ。喉に突っかかっちゃ大変だからさ。」
「うんッ!」
黙々と食べ進める少年を横目に二人の青年は静かにほくそ笑みながら、ちびちびとお酒を嗜んでいた。
そして、お皿が綺麗に空となり少しまったりとしていた時だった。
ふと少年が顔を上げると、店の隅にある不思議な箱が光を放っていた。
映像が動いている。
「ねぇ、あれってなあに神様?」
レンゲを口に運びながら、青年の兄・ツカサが応える。
「神様って?おいおい?ん、これか? これはテレビっていうんだよ。え、テレビも知らねぇってマジかよ。」
弟・レンジが画面を指差して笑う。
「お、丁度再放送やってんじゃん。このアニメ懐かしいなぁ。俺らが高校生の頃に、やってたやつだ。親父とオフクロがまだ元気だった頃、録画して毎週見てたんだよな。」
何気ない思い出を語る兄弟。だがグリスは、そのアニメに映るキャラクターを見て――言葉を失った。
画面の中のキャラの名は、グリス。
自分とまったく同じ姿で笑っている。仲間に囲まれて。
でも、その物語の結末は――断罪だった。
プロローグ③へつづく
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どうも、おはようございます!
はじめましての人は初めまして!
そして突然すみません。
焼豚の神と申します。(※自称です)
今回も読了ありがとうございます('◇')ゞ!
▽プロローグは全3話構成!▽
6月 9日(月)6:10 → ▽プロローグ① 〜焼豚顔のオーク少年グリス〜
6月10日(火)6:10 → ▽プロローグ②〜神様は町中華にいた!〜
6月11日(水)6:10 → ▽プロローグ③~焼豚グリスの断罪!?~
そして――
【本編スタートは、6月12日(木)6:10から!】
その後も毎朝6時10分に更新予定です。
朝のスキマ時間やコーヒーのお供に、ほんのひとときでも楽しんでいただけたら嬉しいです。(^^♪
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします!
「初投稿」という名の第一歩に、どれだけ脂が乗っているか…
ぜひ読んで確かめてください!
感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
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