第20話 「虚無の継承者との遭遇」
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荒廃した都市の残骸に、薄暗い霧が立ち込める。
瓦礫と崩れた建物の間、グリス、リーア、アルマたちは慎重に足を運んでいた。
塔での最後の書の余韻が、胸に重く残る。
「……この気配、間違いない」
アルマは剣の柄に手をかけ、目を細める。
周囲の空気が一瞬凍ったかのように止まる。
耳を澄ませば、遠くで微かな囁きが反響する。
――「私を、継ぐ者よ……」
その声は、書架で聞いたものと同じ。
しかし今は、物理的な空間にまで形を帯びて響く。
霧の奥、黒い影がゆらりと姿を現す。
漆黒の体は揺らめき、輪郭は不確かだが、確かに人の形を模している。
瞳は深淵のように光り、空虚と冷徹を映し出す。
グリスは剣を握り、光の魔法を指先に宿す。
「……こいつが、虚無の継承者……!」
リーアは青い瞳をぎゅっと閉じ、言葉を選ぶように低く告げた。
「奴は、人の意志を喰らう……そして、人が描く神話を塗り替えるのね」
アルマも頷き、力強く拳を握った。
「その力……塔で感じた以上だ。直接戦うことになる」
虚無の継承者は動かない。
しかし、瓦礫や崩れた建物が微かに震え、存在の周囲に波紋のような異常が走る。
その瞬間、空間の端が揺らぎ、目の前の光景がわずかに歪む。
グリスは眉をひそめる。
「……奴、空間まで歪めてる。攻撃範囲も把握不能だ」
グリスが踏み出すと、影が微かに蠢き、虚無の渦が生まれる。
光を放とうと手をかざした瞬間、影は不意に後退した。
僅かながら、表情――いや、影の輪郭にわずかな怯えのような動きが見えた。
(……一瞬、怯えたのか?)
グリスは訝しむ。
それは前に見た“人の意志に反応する影”とは別種の微細な反応だった。
影は再び前進し、声にならぬ声で響く。
――「光……秩序……私に触れるな……」
戦闘開始の合図もなく、瓦礫が一斉に動き、周囲の霧と影がうねりだす。
グリスたちは瞬時に陣形を整え、攻撃と防御を同時に考えながら動く。
その間も、虚無の継承者は人の意思に反応するように、微かな揺らぎを見せる。
瓦礫の崩れる音、魔力の脈動、剣の振動――すべてを“吸い込み”、解析するかのようだ。
そのたびに、影の体が微妙に変化し、分裂や再構成を繰り返す。
リーアが光の魔法を放つ。
癒しの光が広がると、一瞬、影は後退し、体の輪郭に揺らぎが生じた。
その瞬間、グリスは心の中で確認する。
(……奴、音や光に反応している。塔での書の時と同じ……!)
アルマも同じことに気づき、声を低く届ける。
「……攻撃のパターン、把握しろ。奴は光と音に敏感だ。誘導して罠に嵌められる可能性もある」
影の周囲の瓦礫がさらに蠢き、まるで意思を持つかのように分裂する。
だが、光と音に触れると、僅かに後退し、計算された反応を見せる。
まさに“知性を持つ影”としての片鱗だ。
グリスは剣を構え、仲間に指示する。
「全員、焦るな。奴は分裂しても、光と音に反応する。ここを利用する。少しずつ封じながら前進だ」
グリスも前に出て、影の輪郭を見据えた。
「奴が狙うのは、秩序の欠片……光の届かないところに潜む虚無。私たちで埋めなければ」
森でも塔でも、そして今――虚無の継承者の前でも、光と音は“人が神を描く意志”の象徴だった。
影は冷たく、しかし明確に、意思を持って動き続ける。
その瞳の奥には、疑問の光――いや、自己の存在意義を確認するような揺らぎが、わずかに滲んでいた。
グリスたちは、静かに、しかし確実に、初めての対峙の緊張感を胸に刻む。
遠くの空に、微かな光が差し込む。
虚無の継承者はそれを見つめ、静かに姿勢を正した。
――次の瞬間、世界は再び揺れ、物語は新たな局面へと突入する。
第21話 「虚無の継承者との決戦 ― Collapse of Void 」―へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
ちなみに、次話が最終話となります。
次話は、いつも通り明日【朝6時10分】投稿です!
最後まで走り抜けますので、どうぞよろしくお願い致します。
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




