第18話 「輪廻の書架 ― Library of Re:Genesis ―」
おはようございます!
よろしくお願いします!('◇')ゞ
――世界は、静かに息を吹き返していた。
光が満ち、音が戻り、風が草を撫でた。
焼け焦げた大地には、新たな芽が顔を出している。
崩壊を越え、創世の臨界を突破した“その先”――それは誰も知らない新たな世界だった。
グリスは、荒野に膝をついて空を仰いだ。
白い雲がゆっくりと流れていく。
その何気ない光景に、彼は思わず笑みをこぼした。
「……帰ってきた、のか?」
「違うよ。」
アルマが隣で首を振る。
「ここは“帰ってきた場所”じゃない。“もうひとつの始まり”だ。」
???は立ち上がり、遠くに見える黒い影を見つめた。
それは大地の向こうにそびえる、巨大な建造物――。
かつての“原初の塔”の断片を思わせながらも、その形は全く異なっていた。
螺旋のように空へと伸びる巨大な書架。
無限に積み上がる書物の層が、まるで天へ続く階段のように輝いている。
「……あれは?」
セレスティアが息を呑む。
???は、わずかに目を細めた。
「――“輪廻の書架”。」
書架の内部は、まるで宇宙のようだった。
星々の代わりに、無数の書が宙に浮かんでいる。
それぞれの本が淡い光を放ち、近づくと微かに囁いた。
――“ここに、記す”
――“ここに、終わりを綴る”
――“ここに、再生を始める”
「これは……人間の“記録”?」
アルマが手を伸ばすと、一冊の書がゆっくりと開いた。
そこに綴られていたのは、ある時代の物語。
名も知らぬ人々の祈り、戦い、そして愛。
それらが、淡い筆跡で一つの世界を形づくっていた。
「どうやら、この書架は“神の書庫”じゃない。」
グリスが呟いた。
「……“人が神を綴る場所”だ。」
???は頷いた。
「神が人を創ったのではなく――
人が“神という概念”を綴るために、この図書館を作り上げたんだ。」
リーアが息を呑む。
「それって……この世界の創造主が“人間だった”ということ?」
「そうだ。だが――」
???の視線が、書架の最上層へと向かう。
そこにひときわ強い光を放つ、一冊の本があった。
他のどの書よりも古く、そして封印されたように鎖が絡みついている。
「……“創造主の最後の書”だ。」
最上層への階段を登るたび、記憶が流れ込む。
無数の世界、無数の命。
彼らが築き、失い、そしてまた始めた歴史が、断片として脳裏を掠めた。
アルマは思わず足を止めた。
「ねえ……これって、全部“わたしたちの欠片”なんじゃない?」
「そうだろうな。」
グリスは静かに言った。
「俺たちは何度も輪廻を繰り返してきた。名前も姿も変えて、何度もこの世界を見届けてきたんだ。」
リーアが手を伸ばし、最後の一段を登る。
そこには、漆黒の台座の上に一冊の本が置かれていた。
銀の鎖が絡み、中心には“創世の紋章”が刻まれている。
――封印された“創造主の最後の書”。
「開くの?」
アルマの声が震える。
「これを開けば……また、何かが始まる。」
???は短く息を吸い、手を伸ばした。
鎖が静かに解け、空気が震える。
その瞬間、塔の書架全体が微かに脈動した。
「――これが、“創造主の最終章”。」
書が開かれる。
光が、奔る。
次の瞬間、文字が浮かび上がった。
《汝らに継がれし創造の権を託す》
《神なき時代に、人が神を描く者となれ》
――“人が神を綴る時代”の、幕が開いた。
光が収まると、彼らは見知らぬ空の下に立っていた。
遠くには、再び芽吹き始めた“世界の樹”。
その根元には、彼らが書架で見た“最後の書”が、風にめくられながら眠っていた。
「……これからは、誰かがまたこの続きを綴るんだろうな。」
グリスが呟く。
「ええ。けれど、今度は“人の手”で。」
リーアが微笑む。
???は静かに空を仰いだ。
――神が創った世界ではなく、人が物語を綴る世界へ。
そこに、まだ見ぬ未来の気配があった。
「行こう。次の頁を、俺たちで書くために。」
風が、彼らの背を押した。
新たな“創世の物語”が、静かに始まった。
◆ ◆ ◆
)次回予告(
“創造主の最後の書”から零れ落ちた“もう一つの存在”――
“虚無の継承者”が覚醒し、人が神を綴る時代の影として動き出します。
第19話 「虚無の継承者(Heir of the Void)」へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




