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第16話 「創世の臨界 ― Genesis Terminal ―」

おはようございます!

よろしくお願いします!('◇')ゞ

 ――崩壊の音が、遠くで鳴っていた。

 それは、天が裂け、海が逆流し、記憶という名の大地が砂のように崩れ落ちていく音。


 無限の輪廻を繰り返してきた“世界”は、いまや臨界点を迎えようとしていた。

 裂けた空の狭間に、光と闇が混ざり合う塔がそびえ立つ。

 その名も――《原初のターミナル・ジェネシス》。


 「……ここが、すべての始まりであり、終わりの場所……」

 リーアが呟いた声は、かすかに震えていた。

 彼女の瞳には、遠い過去と未来、そしてグリスと共に歩んだ無数の世界の断片が映っている。


 グリスは無言で頷くと、崩壊しかけた大地を踏みしめ、塔の階段を上り始めた。その背には、風に溶けた記憶の囁きが纏わりついていた。

 ――「もう、戻れない」

 そんな声が聞こえた気がした。だが、彼は振り返らなかった。


 塔の内部は、まるで巨大な心臓のようだった。

 壁面を走る光の線が脈動し、呼吸するように空気が震えている。

 そのたび、リーアの胸元に宿る“創造主の欠片”が共鳴した。


 「……グリス。感じる? この脈動……まるで、生きてるみたい」

 「いや、これは……“誰か”の記憶だ」

 「誰か……?」


 グリスは拳を握り、塔の中心へ視線を向けた。

 そこに立つ一つの影――。

 黒いマントを纏い、顔を覆う仮面の下から、淡く光る瞳が覗く。


 「久しいな、グリス=アーヴェント」

 低く、だがどこか懐かしい声が響いた。


 「……まさか……ヴァルツェル卿……!?」

 リーアが息を呑む。


 「そう呼ばれていた頃もあったな。だが今は違う。私は――この塔の“管理者”だ」


 ヴァルツェル卿――否、彼はもう人ではなかった。

 創造主の遺したコードを解析し、“再創世リジェネシス”の核と化した存在。


 「我々が望んだのは“永続”だ。だが、創造主は“終わり”を定義した。

  ならば我々が新たに“始まり”を書き換えるまで――何度でもこの世界をリスタートする」


 グリスは一歩前へ出る。

 「それが、あんたの言う“人の意思”なのか? 創造主を否定しておきながら、結局は同じことをしてるだけじゃないか!」


 ヴァルツェルは笑う。

 「否定とは、模倣の裏返しだよ、少年。君たちが神を超えたいと願う限り、神は形を変えて再生する」


 リーアの頬を、ひとすじの涙が伝った。

 「……だから、世界は終わらないのね。誰かが“終わらせる勇気”を持たない限り……」


 「勇気、か。ならば見せてもらおう」

 ヴァルツェルの周囲に光が集まり、数百の虚像が生まれる。

 かつて滅びた英雄たちの姿、失われた時代の兵器、そして“笛吹きの男”オルフェウスの影。


 「世界を創るのは、神でも創造主でもない。

  “意志”だ。――君たちが選んだ、その罪深い自由が、また世界を壊すの

  だよ」


 塔の天頂が開き、空が裂ける。

 “監視の目”が無数に落下し、世界の記録を焼き尽くしていく。


 グリスはリーアの手を握りしめた。

 「リーア、行こう。俺たちの意志で、ここを終わらせる」

 「……ええ、グリス。今度こそ、終わりの先へ――」


 二人の掌が触れた瞬間、塔全体が眩く閃光を放つ。

 それは、神でも悪魔でもない、“人間の選択”の光だった。


 ヴァルツェルの声が、風の中に消える。

 「フム……やはり、因果とは因果なものだ。リスタートさせても、またこうして巡り合うことになろうとは――」


 そして、光の波がすべてを包み込んだ。

 時間も、記憶も、世界の境界すらも、ひとつに溶け合っていく。


 ――光の果て。

 何もない、真白な空間。


 グリスは膝をつき、ゆっくりと目を開けた。

 リーアは隣で眠るように倒れている。

 その頬を、ひとすじの光が撫でた。


 「……終わったのか……?」

 呟きに答えるように、遠くから小さな声がした。


 ――「まだ終わっていない。終わりは“創る”ものだから」


 グリスは顔を上げる。

 そこに立っていたのは、かつての仲間、そして新たな“創造主”の候補――

 笛吹きの男、オルフェウスだった。


 「再誕は、まだ途中だ。君たちが選んだ未来――その続きを見せてもらおう」


 音が鳴る。

 笛の旋律が、再び世界を紡ぎ始めた。




◆ ◆ ◆



) 次回(



崩壊と再誕の果て、グリスたちは“記録の消えた世界”へと落ちる。

そこに待つのは、誰の手にも書かれていない“新たな物語”だった――。



第17話「記録なき世界 ― The Blank Chronicle ―」へつづく!



どうも、お世話様でございます!


焼豚の神でございます。


最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ


物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!

今後も加速度的に物語が進行していきます!


それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ


これもひとえに読者の皆様のおかげです!


◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆


グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」


 → 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。


 → 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。




モフ度


 - 0~19%:平常


 - 20~29%:末端ふわ化


 - 30~49%:耳/尻尾ふわ化


 - 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)


 - 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)


 - 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”



良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!



また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!


それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪

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