第14話「創造主の残響 ― The Last Code ―」
おはようございます!
よろしくお願いします!('◇')ゞ
世界が、割れた。
オルフェウスの笛が砕け、音が霧散する。
空間を走る無数の亀裂が、青白く光っていた。
その光はまるで「世界そのものの血管」がむき出しになったようで、空気のすべてが痛みを帯びて震える。
グリスは膝をつきながらも、蒼い剣を地に突き立て、かろうじて立ち上がった。
――終わった。
だが、その瞬間だった。
「……ふむ。やはり、“欠片”は完全には失われていなかったか」
オルフェウスの声が、崩れたはずの肉体の中から響いた。
その輪郭が淡く揺らぎ、やがて“人”ではない何かの形へと変わっていく。
鎖のような光が浮かび、背後に巨大な紋章が展開した。
《Ω=コーデックス》――世界の根幹コード。
そしてその中央に刻まれた名が、静かに浮かび上がる。
「――《アイオーン・ユグドラシル》。
それが、“創造主”の真名だ。」
その名を聞いた瞬間、リーアの体がふるえた。
「……アイオーン……。
私……どこかで、その名を……」
視界が歪み、時間が揺れる。
リーアの脳裏に、幾つもの“未来の残響”が流れ込んでくる。
――巨大な樹が天を貫く。
――その根は、無数の世界を貫いていた。
――そして、その幹の中心に、“ひとりの青年”が眠っている。
蒼き光に包まれたその青年の顔――それは間違いなく、グリスだった。
「……やめて……見せないで……!」
リーアが頭を抱える。
オルフェウスの残響が嗤う。
「見てしまったか、娘よ。これが“再誕の未来”――世界が再び創造主へと還る光景だ」
「再誕……? それが、あなたたちの“最終命令”なのね」
「そうだ。
“創造主アイオーン”の最終命令はこうだ――」
空間が光り、金属的な声が響く。
『全ての因果を統合し、全ての魂を再び“ひとつ”へ還元せよ。
――名を、“リユニオン・オーダー”と呼ぶ。』
静寂。
空気が凍る。
その意味を、誰もすぐには理解できなかった。
やがてグリスが、震える声で問う。
「……それって、まさか……この世界の、終焉……?」
「いいや、再生だ。分離された七つの世界を統合し、創造主の完全なる復活を果たす。
その瞬間、個の意志も、記憶も、痛みも――“すべて一つ”になる。」
「そんなの……自由なんかじゃない!」
リーアが叫ぶ。
「それは救いの名を借りた“消滅”よ!」
グリスは剣を構え直す。
「なら、止めるしかない。アイオーンが俺の中にいるなら、俺がそれを否定する」
「否定とは、自己の破壊に他ならぬ。お前は創造主の欠片――
その力を封じれば、存在そのものが消えるぞ」
「構わねぇ。
――たとえ創造主だろうと、“俺たちの世界”を喰わせやしねぇ!」
その瞬間、グリスの剣が再び輝いた。
だが、今度はただの炎ではない。
蒼炎と白光が混ざり合い、音を生んでいた。
かつてオルフェウスが吹いた笛の旋律――
それが、今度はグリス自身の剣から奏でられていた。
「……お前……まさか……」
オルフェウスが目を見開く。
グリスの声が重なる。
「リスタートはもういらない。
俺が鳴らすのは――**リビルドの旋律(Rebuild Anthem)**だッ!」
剣が振るわれる。
空間を裂き、紋章が崩壊する。
光の鎖が音を立てて弾け飛び、オルフェウスの残響が霧のように消えていった。
静寂の中、リーアがゆっくりと手を伸ばす。
彼女の瞳には、涙の代わりに白い光が滲んでいた。
「……グリス、あなた……“創造主の意思”すら書き換えたのね」
「違うさ。書き換えたんじゃない。上書きしただけだ。
俺たちが選んだ未来を、な。」
光が静かに収束していく。
残ったのは、剣先に宿るひとつの紋章――《The Last Code》。
それは、創造主が最後に残した“空白の命令”。
リーアが小さくつぶやく。
「……“最後のコード”。
この空白を、私たちが……書くのね」
「ああ。
この世界の未来は、もうプログラムじゃない。
――俺たち自身の意志で、紡ぐんだ。」
その言葉に応えるように、光が一度だけ瞬いた。
まるで“創造主”が微笑んだように。
だが――その瞬間、遠くでまた笛の音が響く。
低く、歪んだ旋律。
まるで、新たな管理者の誕生を告げるかのように。
◆ ◆ ◆
)次話予告(
再誕した世界の影で動き始める“もう一つの意志”。
それは、創造主アイオーンを否定したはずの人々の中から芽吹いた“新たな神格”だった。
――そして、笛吹きの旋律は、再び誰かの心を目覚めさせてゆく。
第15話「偽典の目醒め ― Re:Awakening of the False God ―」へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




