第11話「再誕する世界と、暁の約束」
おはようございます!
よろしくお願いします!('◇')ゞ
――風が、吹いた。
やさしく、あたたかく。
だが、その風はどこか“人工的な匂い”を孕んでいた。
グリスはゆっくりと目を開けた。
そこには、確かに“世界”があった。
草の匂い、鳥の声、青い空――。
すべてが現実のようでいて、どこか“再生された記録”のようにも思える。
彼は手を伸ばし、地面に触れた。
指先に伝わる感触。
――土。確かに“生きている”。
けれど、その奥底から微かな機械音が響いた気がした。
「……ここが……俺たちが、創り直した世界……?」
その声に、柔らかな光が応える。
振り返れば、リーアがいた。
風に揺れる金の髪、微笑を浮かべた瞳。
けれどその目の奥には、言いようのない“ざらつき”があった。
「ええ……そうみたいね。
けど、どこか“足りない”気がするの。
音も、匂いも、色も――薄い。まるで……夢の中みたい。」
グリスは黙って頷く。
そこへ、木陰から“笛吹きの男”リベルが姿を現した。
「それが、“再誕”の代償さ。
創造主ノ座で世界を上書きした代償。
この世界は“正しい”けど、まだ“完全”じゃない。」
グリスは拳を握りしめた。
「完全じゃない……? じゃあ、まだ“奴ら”がいるってことか。」
その瞬間、遠くの空がひび割れた。
――音もなく、空間が歪み、光の縫い目が走る。
そこから、黒い球体のようなものが浮かび出した。
それは、誰かに“見られている”という感覚。
冷たい視線のように、無数の“目”が空を覆う。
リーアが息を呑む。
「あれは……“監視の目”?」
リベルが頷いた。
「創造主が残した“自動観測因子”。
この世界を監視し、再び“因果の歪み”を検知したとき――
“再リセット”を発動させる。」
グリスの胸に冷たいものが落ちる。
「つまり……俺たちはまだ“試されてる”ってことか。」
そのとき、風が流れた。
草原の向こう――
古びた街の鐘が、ゆっくりと鳴る。
「……あの音……懐かしい……」
リーアが小さく呟く。
それは、彼女たちが“最初に出会った街”――
すべての物語が始まった、あの「リスティア」だった。
「行こう」
グリスは立ち上がる。
「もう一度確かめたい。この世界が……本当に“俺たちの世界”なのか。」
リーアは頷き、リベルも笛を手に歩き出す。
三人は、再誕した大地を踏みしめ、朝陽へと歩き出した。
――だが、誰も気づいていなかった。
その足元の影が、微かに“ずれて”いることを。
風に混じる音声のノイズ。
そして、遠く離れた“帝都”の地下で、
再びヴァルツェル卿の記録体が“再起動”していることを――。
◆
帝都・中枢研究塔《オルタ=ノヴァ》。
冷たい金属の床に、青白い光が走る。
仮面の男がその光を見上げ、微笑んだ。
「フム……“再誕因子”の安定を確認。
やはり、彼らは“選んだ”か。」
隣に、ホログラムのようなヴァルツェル卿が浮かぶ。
「人の意思とは因果なものよ。
リセットしても、また同じ道を辿る。
それこそが、“創造主”が愛した螺旋の構造だ。」
仮面の男が静かに笛を指先で転がした。
「さて、次はどんな“旋律”を奏でようか……。
反逆因子は芽吹いた。
だが、まだ“開花”していない。」
塔の上部――巨大な鏡面球体がゆっくりと回転を始める。
その内側では、無数の“瞳”が点滅していた。
――観測、継続。
――歪み、拡大。
冷たい電子音が響く。
ヴァルツェル卿が不気味に笑った。
「再構築計画、第二段階へ移行せよ。」
◆
同時刻、リスティアの丘。
太陽が昇る。
リーアが振り返ると、グリスの瞳に光が宿っていた。
「……俺たちの旅は、また始まったな。」
「ええ。でも今度こそ――終わらせましょう、すべてを。」
リベルが笛を口に当て、柔らかく音を鳴らした。
朝焼けの風に乗って、旋律が流れる。
それは、かつての誓いを思い出させるような――優しくも切ない音。
世界は、確かに動き出していた。
だが、その“再誕”が導く先は、まだ誰にも見えていなかった。
◆ ◆ ◆
) 次話予告(
再誕した世界に広がる小さな歪み。
“監視の目”が拡大し、時空がわずかに裂け始める。
笛吹きの旋律が導くのは――再会か、それとも再滅か。
― 第12話「裂けゆく因果と、残響の笛」―へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




