第10話「創造主ノ座 ― The Seed of Rebirth ―」
おはようございます!
よろしくお願いします!('◇')ゞ
――光が、終わらなかった。
虚構と真実の境界が崩壊し、全ての因果が混ざり合う。
白銀の閃光が視界を焼き、音が失われ、時間すら凍る。
そこに残ったのは、ただ――三つの魂。
グリス。
リーア。
そして、“笛吹きの男”――リベル。
彼らは浮遊していた。
どこまでも広がる白の空間、輪郭も方角もない“無の胎動”。
それが“第零世界”の奥底――創造主ノ座。
リーアが静かに目を開けた。
「……ここは……現実? それとも、また夢の中……?」
グリスは答えられなかった。
彼の掌には、確かに感触がある。
だがその感触すら、記憶が作り出したものかもしれない。
――なぜなら、この場所に“世界の法則”は存在しないのだから。
ふと、白の海に、ひとつの“声”が響いた。
『――観測開始。因子の安定を確認。』
それは“声”であって、“声”ではなかった。
心の奥に直接流れ込むような、情報そのものの振動。
リベルが、怯えるようにその方向を見た。
「……来た。創造主の意志だ。」
白の海が割れた。
そこから現れたのは、無数の光輪を背負う影――。
ヴァルツェル卿だった。
ただし、かつての人の姿ではない。
彼の肉体は崩壊し、代わりに無数の光粒が人型を成していた。
「見よ。これが“再誕”の果てだ。
この世界は、もはや旧き枠組みには戻らぬ。
我ら元老院は、神の意志に選ばれた。
――“真なる創造主”の代弁者として。」
リーアが氷剣を構える。
だが刃は、すぐに融け落ちた。
この空間には、攻撃も防御も存在しない。思考すら、制御される。
ヴァルツェル卿は笑った。
「何度繰り返しても、汝らは抗う。
だが抗うほどに、創造主は成長する。
“人間の反逆”というデータが、神の完成を促すのだ。」
グリスが叫ぶ。
「そんな理屈、知るかよ!
俺たちは“データ”じゃない!
痛みも、悲しみも、全部……本物だった!」
瞬間、彼の胸が赤く輝く。
“反逆因子”が共鳴する。
それに呼応して、リーアとリベルの身体にも光が走った。
『反逆因子、統合率――上昇。新たな位相を検出。』
その声が響くたび、空間が震える。
まるで創造主そのものが、彼らの決意を観測しているかのようだった。
リーアが震える声で呟く。
「グリス……私たち、選ばなきゃいけないのね。」
「選ぶ……?」
リベルが目を閉じた。
「そう。創造主の座に立つのは“ひとり”だけ。
世界を繋ぐ存在となるか、それとも――
再びリセットして、何もなかったことにするか。」
白の空に、三つの影が浮かび上がる。
過去、現在、未来――それぞれの“生”の断片。
幼い日の約束。
「いつか、また会おうね。
どんな世界になっても、必ず。」
その声が、三人の胸を貫いた。
かつての記憶が、世界の輪郭を取り戻す。
グリスは、ゆっくりと右手を伸ばす。
「……俺は、創造主になんてならない。
でも――
“綴る者”には、なれる気がする。」
ヴァルツェル卿の目が光る。
「愚か者め、それがどれほどの苦痛を伴うか知らぬか!」
「知ってるさ。痛みのない世界なんて、
息をしても、生きてるとは言えないから。」
グリスの言葉と同時に、空間がひび割れた。
赤と青、二色の光が交差し、無の海に“輪”が生まれる。
それは、始まりの象徴――リベリオン・サークル。
リベルが笛を手にする。
「じゃあ……奏でよう。新しい世界の音を。」
リーアが微笑んだ。
「私たちで、創ろう。神じゃなく、“私たち”で。」
三人の光がひとつに溶け合う。
白の空が砕け、現実世界の断片が流れ込む。
雪の街、揺れる灯火、風の音。
それらがひとつの旋律を紡ぎ――新たな世界が芽吹いた。
『――創造主ノ座、閉鎖。
新因子、記録完了。
Rebirth Seed:起動。』
光が収束する。
そして、グリスの瞼がゆっくりと開いた。
そこには、見慣れた空。
風が頬を撫で、遠くで誰かの笑い声が聞こえる。
世界は、生きていた。
だがその背後――。
崩壊した“第零世界”の奥底で、
ひとつの瞳が、静かに瞬いた。
『……観測、継続。新位相:Rebellion Code。
――面白い。次は、どんな“物語”を紡ぐ?』
◆ ◆ ◆
) 次回予告(
再び動き出した現実世界。
だが、創造主の残した「監視の目」は消えていない。
グリスたちは、世界の“再誕”がもたらす歪みに直面する――。
― 第11話「再誕する世界と、暁の約束」 ― へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




