第7話「虚構と真実の狭間 ― 第零世界への扉 ―」
おはようございます!
よろしくお願いします!('◇')ゞ
――蒼白の光が、世界を包み込んでいた。
崩壊した研究塔の上空で、グリスとリーアは互いの手を握り合っていた。
リベリオン――それは、魂が魂を呼応し、真実の波長を解き放つ現象。
だが同時に、その共鳴は、現実世界の枠を軋ませていた。
「ぐっ……! リーア、離れろ……! このままだと――ッ!」
「嫌! あなたをまた失うくらいなら、私はこの光に呑まれても構わない!」
リーアの瞳が、淡く銀色に輝く。
その瞬間、ふたりの間に存在する“境界”が消えた。
世界が裏返る。
風景が、音が、匂いが――すべてノイズに変わる。
次に目を開けたとき、そこは何もない空間だった。
地平は白く、空は透明。
存在するのはただ、グリスとリーア、そして二人の足元に浮かぶ割れた鏡だけ。
鏡の中では、別の世界が映っている。
燃え上がる帝都、叫ぶ人々、そして……黒曜の玉座に座るヴァルツェル卿の姿が。
その頃、帝都地下の中枢――《黒曜ノ間》。
元老院の議席が、空中に浮かび上がっていた。
天井には、封印された“巨大な瞳”がゆっくりと回転している。
「……ついに繋がったか」
ヴァルツェル卿が立ち上がり、義眼のレンズを回す。
彼の視界の中で、現実と虚構が重なり合っていた。
「第零世界――《プロト・レイヤー》。それは、創世以前の情報基盤。
この世界はそこから複製された“模倣体”に過ぎぬ。
ゆえに、リスタート計画の完成とは、“原初データの再起動”を意味する。」
周囲の元老たちは息を呑んだ。
ジークハイン博士が興奮を抑えきれずに叫ぶ。
「つまり、我々は――神の作りし世界の書き換えを行うというのか!」
ヴァルツェルの口元が歪む。
「そうだ。だが、その鍵となるのが“彼”――ユズリハの担い手、グリスだ。
そして、彼を繋ぎ止める《媒介》が……ヴァレンスタンの娘、リーア。」
老人は静かに杖を突き、空間投影を切り替えた。
白い虚空に、グリスとリーアの姿が映る。
二人は、あの“虚構の狭間”に囚われている。
「これでいい。彼らの魂をリンクさせ、“原初層”へと落とす。
その先に、真の“リスタート”がある。」
一方――虚構の狭間に漂う二人。
グリスは、自身の腕に刻まれた黒い紋章を見つめていた。
それは、かつて帝国で刻まれた拘束印。
だが今は、淡く紅い光を放ち、別の意思のように脈動している。
「……これは、俺の中にある“もう一つの世界”?」
リーアが小さく頷く。
「そう……たぶん、あなたが失った記憶と、わたしが抱いていた“違和感”が重なってる。
この世界自体が――最初から、仕組まれていたのかもしれない」
空間の奥で、声が響く。
懐かしく、どこか悲しい旋律とともに。
「――笛吹きの音」
白い霧の中から、あの男が現れた。
黒衣に仮面。手には、血色の笛。
彼の存在は、この“無”の空間にも確かに影を落としていた。
「やはり、君たちは辿り着いたか」
笛吹きの男は、仮面の奥から微笑を漏らす。
「名乗るときが来たようだな。私は……ヴァルツェルの“原体”だ。」
グリスが息を呑む。
「原体……? つまり、お前は――」
「そうだ。この世界が分岐する前、ひとつの存在だった、いわば“個”。
私とヴァルツェルは、かつて一つの魂から分かたれた影と光。
世界を守ろうとした私と、世界を再構築しようとした彼――その対立が、今に続いている。」
笛吹きの男は、静かに笛を唇に当てた。
旋律が流れるたび、虚空が震える。
「この音は、君たちの記憶を呼び覚ます“鍵”だ。
だが同時に、第零世界への“扉”をも開く。
選べ、グリス。真実を知り、虚構を壊すか――それとも、偽りの安寧を守るか。」
リーアが息を呑み、グリスの手を強く握る。
彼女の瞳に、涙が光った。
「たとえこの世界が虚構でも……あなたがここにいるなら、それが私の“現実”よ」
その言葉が、グリスの胸の奥に響いた。
氷のように凍っていた感情が、音を立てて砕ける。
――彼の中に、再び“リベリオン”の炎が燃え上がる。
空間が崩れ、光が爆ぜる。
笛吹きの男はただ静かに見守っていた。
「そうか……やはり、君は選んだのだな。
ならば――次に会う時、私は“敵”として立ちはだかるだろう。」
最後の笛の音が響いた瞬間、世界がひっくり返る。
二人の身体は光の渦に包まれ、虚構の狭間から弾き出された。
再び、帝都上空。
空が裂け、無数の光柱が地表に突き刺さる。
ヴァルツェル卿は高台からそれを見上げ、ただ静かに呟いた。
「フム……因果は巡る。
だが、これでようやく“第零世界”への門が開かれる。
真実は、次の層の向こうにある。」
彼の背後で、黒曜の紋章が脈打った。
次章――「第零世界編」
運命を超え、虚構を裂く者たちの物語が、いま始まる。
第8話「原初層への降下 ― Rebellion Code:∞ ―」へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




