第5話「紅蓮の輪廻 ― 繋がる因果 ―」
おはようございます!
よろしくお願いします!('◇')ゞ
――暗黒の大陸、帝都。
重厚な黒鉄の尖塔が連なる帝都の中心――そこに、
“帝国元老院”が存在した。
円形の石造りの議事堂。
その中央で、ひとりの老貴族が杖を鳴らした。
「……“リスタート計画”、第二段階に移行する」
名を、ヴァルツェル・ド・アークレイン卿。
帝国の筆頭元老にして、かつて“英雄”と呼ばれた男。
その瞳は老いを超え、まるで星を見下ろすように冷たかった。
「観測者が干渉を開始したようですな」
隣に立つのは、白衣を纏ったマッドサイエンティスト――
実験主任博士。
「ええ。ですが、彼の“干渉”は我々の計画を促す要素です。
観測者は“因果の管理者”に過ぎません。
真の“再構築”を行えるのは、この我々だけだ」
博士が机に置かれた水晶体を指でなぞる。
そこには、グリスとリーアが共鳴する瞬間の映像が映し出されていた。
「面白いですねぇ……“感情干渉コード”を破壊しながら、
さらに高位の魔力共鳴を引き出すとは。
この個体――予想以上の“核”を秘めていますよ」
「だからこそだ。
あの少年こそ、《リスタート》を完遂させる鍵だ。」
ヴァルツェルの声は、まるで祈りのようであり、狂気のようでもあった。
「……もし彼が“拒絶”した場合は?」
「その時は――“輪廻”ごと焼き払う。
新たな世界を構築するまで、何度でも、な」
議場の灯火が一斉に消える。
闇の中、ヴァルツェルの杖が紅く輝いた。
――場面は変わり、夜の森。
湿った土の匂い、遠くの虫の音。
リーアは焚き火の前で膝を抱えていた。
傍らでは、仲間たちが寝息を立てている。
セフィーナ、ライナー、そして白い毛玉――モッフ。
彼らは「グリス奪還」のため、帝国領への潜入を開始していた。
リーアの瞳には、疲労と、それ以上に“焦燥”の色があった。
「……グリス、あなたはまだ、あの“約束”を覚えている?」
焚き火の炎が揺らめく。
その中に、一瞬、幼い頃の記憶が蘇った。
――あの丘で、少年が笑っていた。
『俺が守る。どんな世界になっても、絶対に』
「……もう一度、取り戻す。
今度は、私が守る番よ」
拳を握り、リーアは立ち上がる。
その時――森の奥から、あの笛の音が聞こえた。
柔らかく、しかしどこか切ない旋律。
モッフが耳をぴくりと動かす。
「おい、これ……どっかで聞いたことあるぞ」
ライナーが剣を抜き、辺りを見渡す。
「この音……“観測者”だ」
「まさか、もう姿を現すつもり……?」
笛の音が近づく。
やがて木々の隙間から現れたのは、黒衣の男――仮面の“笛吹き”。
「久しいな、リーア・ヴァレンスタン」
その声に、リーアの全身が凍りつく。
「……あなた、まさか……“あの時の”」
仮面の下から微かに笑みが漏れる。
「そう、あの約束を見届けた者だ。
だが、君たちはまだ気づいていない。
“リスタート”は、始まりではなく――終わりの再演だということを」
セフィーナが杖を構える。
「何を言っているの!? 私たちは未来を取り戻すために――!」
「未来……?」
笛吹きの男は首を傾げた。
「ならば見せてやろう。君たちが創ろうとしている“未来”が、
どれほど滑稽なものかを」
その瞬間――大地が裂けた。
黒い瘴気が立ち昇り、空間が歪む。
「な、なんだ!?」
ライナーが叫ぶ。
瘴気の中から現れたのは、
鎖に縛られた数百体の魔導兵。
そして、その中央に浮かぶ紅い瞳――ヴァルツェル卿の幻影だった。
「フム、どうやら運命とは因果なもののようだ。
リスタートさせても、またこうして巡り合うことになろうとは」
リーアの背筋を、冷たいものが走る。
「ヴァルツェル卿……やっぱり、あなたが!」
「“やっぱり”ではない。君もまた、我らの計画の一部だ、リーア。
君の感情――“愛”という誤差が、世界の均衡を狂わせている」
「誤差……? それが、あなたの言う“理想の世界”なの!?」
ヴァルツェルはわずかに笑い、霧のように姿を消した。
残されたのは、魔導兵たちの咆哮。
「リーア、来るぞッ!!」
ライナーが剣を振り上げる。
リーアは涙を拭い、炎のような魔力を纏う。
その瞳に、決意の光が宿っていた。
「いいわ――なら、あなたの“輪廻”を、私たちが壊してみせる!」
夜の森に、再び戦火が灯る。
紅蓮の炎が舞い、笛の旋律が狂気へと変わっていく。
第6話「リスタート・ゼロ ― 壊れた輪廻 ―」へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




