第4話「記憶の残響 ― 呼び覚まされた誓い ―」
おはようございます!
よろしくお願いします!('◇')ゞ
――静寂。
どこまでも白い世界。
風も音も、存在の輪郭すら曖昧な空間の中、ひとりの青年が膝をついていた。
名は、グリス。
彼の目は焦点を結ばず、深淵を覗くように虚ろだった。
「……俺は、誰だ?」
問いは霧に吸い込まれ、返答はない。
代わりに、どこか遠くで――笛の音が響いた。
それは懐かしい旋律。
悲しみを孕んだ、どこか優しい調べだった。
「……この音、知ってる……?」
一瞬、視界が閃光に包まれた。
そして――少年の頃の記憶が、波のように押し寄せた。
陽だまりの丘。
少女の笑顔。
銀色の髪、風に揺れる青のリボン。
『泣くなよ、リーア。俺が守るから――』
「……リーア……!」
その名を口にした瞬間、世界が震えた。
グリスの胸の奥に、熱が灯る。
“奪われた記憶”の断片が、彼の魂に再び形を取り戻していく。
だが同時に――暗い声が響いた。
『記憶とは、痛みだ。思い出すほどに、壊れていく。』
霧の中から現れたのは、漆黒の外套を纏う“仮面の男”。
笛吹きの男――その正体は、かつて帝国の禁術研究を導いた「観測者」だった。
「……お前が、俺の記憶を弄ったのか」
『違う。私がしたのは“観測”だ。君たちは何度も出会い、別れ、そしてまた巡る。
リスタートとは、“因果を繰り返す装置”。君も、彼女も、運命の円環の中にいる。』
「繰り返す……? 何のために?」
『世界の均衡を保つため――
そして、“真なる意志”を覚醒させるためだ。』
仮面の男が指を鳴らす。
瞬間、白い世界が崩壊し、血と炎の戦場が展開された。
そこに現れたのは、リーア。
だが――彼女の瞳は冷たく、涙の痕はない。
感情を奪われた“傀儡”。
「やめろ……それは、リーアじゃない!」
『ヴァルツェル卿の新たな実験体。感情制御装置。
彼女を取り戻したければ――己の“枷”を断ち切れ、グリス。』
グリスは拳を握る。
胸の奥に、燃えるような痛みが走った。
「……誰かの意志で生きるのは、もう……うんざりだ」
血のように紅い光が、グリスの体を包む。
それは、抑制装置が砕け散る音。
脳裏に走る叫び――
リーアの声だ。
『……グリス、思い出して――あなたは、あなたのままでいて。』
その瞬間、グリスの中で“何か”が弾けた。
紅と蒼、二つの魔力が融合し、周囲の空間を震わせる。
「――リベリオン、起動」
その声は、静かでありながら絶対だった。
黒き光の鎖が砕け散り、グリスの背から双翼のような魔力が立ち上る。
「……俺はもう、操られない」
剣を構え、仮面の男を睨む。
その瞳は、かつての少年の純粋な光を取り戻していた。
『……それでいい。抗え、グリス。
君が“選ぶ”ことでしか、この円環は壊れぬのだから。』
仮面の男は一歩下がり、霧へと消える。
彼が消えた後、空に響く声――それはヴァルツェル卿のものだった。
「フム、どうやら運命とは因果なもののようだ。
リスタートさせても、またこうして巡り合うことになろうとは――」
空が割れ、光が降る。
その中で、リーアの瞳に再び涙が浮かんだ。
グリスはその手を取り、呟いた。
「今度こそ――終わらせよう、リーア」
紅い空の下、二人の影が重なった。
それは、再構築された運命への“反逆”の始まりだった。
第5話「紅蓮の輪廻 ― 繋がる因果 ―」へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




