第1話「追憶の灰と、運命の鎖― Re:Start ―」
おはようございます!
よろしくお願いします!('◇')ゞ
黒曜石のような床に、金糸で描かれた巨大な魔導陣が浮かび上がる。
その中心に立つのは、帝国元老院の首座――ヴァルツェル卿。
彼の手には、淡く脈動する結晶球――《魂因子コア》。
その中には、グリスの断片的な意識が封じられていた。
「……反逆の種は芽吹いた。
次は、その“芽”をどう育てるか、だな。」
会議の室内には六つの影が揃っていた。
仮面の男。白衣の狂科学者ルフ。軍務卿。女諜報長。老魔導士。
そしてヴァルツェル。
それぞれが異なる欲望を抱きながら、同じ言葉を唱える。
「“リスタート計画”、第二段階へ。」
仮面の男が報告する。
「リーア・ヴァレンスタンは、行動を開始しました。
奴らが“彼”を探しに動けば、自然と《ユズリハ核》の所在も――」
「構わん。むしろそれでいい。」
ヴァルツェル卿は静かに杯を置く。
「あの娘が“因果の鍵”であることは、最初から分かっていたのだ。」
壁の奥、拘束された笛吹きの男が微笑む。
その目は、すでに“人のものではなかった”。
「あの旋律が……再び響くとき、運命は回り始める――」
「……“始まりの日”が、また来るのだよ。」
笛吹きの唇が、血に濡れながらも、静かに笑んだ。
焦げた森を抜け、霧の谷を越えた先。
リーアたちは小さな野営地に身を潜めていた。
仲間は、剣士アーロ、魔導師セフィーナ、獣人シロ=モッフ。
焚き火の音だけが夜に溶ける。
アーロ「……で、どうやって探すつもりだ? 帝国が動いたとなりゃ、正面突破なんざ自殺行為だ。」
セフィーナ「だけど……彼はまだ、どこかで生きてる。魔力の波動が、途切れてないの。」
シロ=モッフ「モフ。グリスの匂い、まだ風に残ってるモフ……。でも、少し……冷たいモフ……」
リーアは拳を握りしめる。
彼女の瞳には決意と、微かな震えがあった。
「……あのとき、私が手を伸ばしていれば。
もう一度、今度こそ、私が彼を取り戻す。」
風が吹き、焚き火の火がゆらめく。
その風に乗って――どこからか、笛の音が響いた。
♪……ピィィ……ヒュゥゥゥ……
その旋律は、懐かしい記憶を呼び覚ます。
幼い日、丘の上で吹かれていたあの笛の音。
リーアがまだ“お嬢様”ではなく、“ただの少女”だった頃。
(……まさか。あの笛吹きは、あのときの……?)
リーアの脳裏に、幼い日の情景が蘇る。
――「いつか、困ったときにこの音を思い出して」
――「きっと、君の“騎士”が迎えに行くから」
その約束を交わした“少年”の笑顔。
だが、その少年の顔は、どうしても思い出せなかった。
同時刻。
地下深くの実験塔、《灰域ノ塔》。
そこには、虚ろな瞳をしたグリスが横たわっていた。
体に刻まれた無数の紋章が、断続的に発光しては消える。
ルフ博士が愉快そうに笑う。
「はぁい、目覚めの時間だよ、“G-07”。
君の新しい名前は――《灰の騎士》!」
拘束具が外れる。
グリスの瞳が、ゆっくりと開かれる。
瞳の奥には、記憶の欠片と共に、ひと筋の涙が流れていた。
「……誰かが……呼んでる……」
「“笛”の……音が……」
空気が震えた。
封印陣が破裂し、ルフ博士が慌てて後ずさる。
「やっべぇ! 覚醒トリガーが早すぎるぅぅぅ!!」
天井を突き抜け、光柱が帝都の空を貫いた。
その光は、遠く離れたリーアのもとにも届く。
彼女は涙をこぼしながら、その方向へ走り出した。
「……グリス……! 待ってて……!」
再び、帝都の玉座。
ヴァルツェル卿は空を見上げ、呟いた。
「やはり、抗うか。
ならば、もう一度だ。“リスタート”の歯車を回せ。」
仮面の男が低く応じる。
「了解。“再構築因子”の発動を確認。
世界の再編、開始します――」
笛吹きの男が、再び血の笛を吹いた。
旋律は空を裂き、世界に“歪み”を生む。
そして――物語は、次なる夜明けへ。
◆ ◆ ◆
次回予告
― 記憶なき騎士と、彼を追う少女。
帝国の陰謀と、運命の約束が交錯する――。
第2話「灰の騎士、再臨」へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




