第34話 「崩壊の黎明 ― 反逆の余波 ―」
おはようございます!
よろしくお願いします!('◇')ゞ
燃え上がる森が、夜明け前の闇を押し返すように紅く照らしていた。
空気は焦げ、地面は裂け、そこに立つ者たちは息を呑むしかなかった。
――そこに、グリスがいた。
彼の身体を包むのは“焔と雷”が交錯した黒きオーラ。
視界は赤と白に染まり、耳鳴りの向こうで、心臓の鼓動だけが響く。
「……俺は……誰だ……?」
リーアが必死に駆け寄る。
だが、その一歩ごとに、空気が弾け、魔力の奔流が彼女を拒むように押し返した。
「グリスッ! お願い、思い出して! あなたは――」
「……リーア……?」
一瞬だけ、彼の瞳に“昔の彼”の色が戻る。
幼い頃、共に剣を振るい、星を見上げ、夢を語り合ったあの瞳。
だが、その光は刹那にして再び黒へと沈む。
「お前も……俺を縛る鎖のひとつ、なのか……」
地面が揺れ、雷鳴が走った。
彼の背後に現れた黒翼の幻影――それは、帝国が恐れた禁忌の力、“ユズリハ・コード”だった。
遠く離れた帝都・黒曜の宮殿。
元老院の奥、円卓の中心で、仮面の男が跪いていた。
「――報告いたします。被験体《G-07》、覚醒しました。制御は……失敗。
ですが、感情誘導の結果としては成功です。」
仮面の奥でくぐもった声が続く。
「“氷刃”ことリーア・ヴァレンスタンとの交錯によって、過去因子が再活性化。予定より早いが……“リスタート計画”の第一段階としては十分だ。」
老元老・ヴァルツェル卿が静かに杯を持ち上げた。
瞳には、狂気と歓喜が入り混じった光。
「フム、どうやら運命とは因果なもののようだ。
リスタートさせても、またこうして巡り合うことになろうとは。」
その言葉が室内に重く落ちた瞬間、壁一面の魔導通信陣が淡く光り、別の影が現れた。
白衣を羽織ったマッドサイエンティスト、ドク・リッケル。
「はぁ~いヴァルツェル様ぁ! “感情因子”のデータ、バッチリ取れましたよぉ!ただし~、あの子……完全に壊れる一歩手前です。人間やめちゃうかもねぇ?」
「それでいい。壊れてなお立ち上がる、それこそ“ユズリハ”だ。」
老貴族は杯を傾け、血のように赤い酒を口に含んだ。
再び戦場――。
リーアは、焦げた地に膝をつきながら、目の前のグリスに叫ぶ。
「お願い、戻ってきて! あの日、私にくれた“誓い”を、忘れたのっ!?」
「誓い……?」
彼の瞳に、一瞬だけ青い光が差す。
燃え残る森の中、記憶の断片が流れ込んでくる。
――笑い声。
――剣を交わす音。
――幼いリーアの声、「ねぇ、グリス。将来、私を守ってね?」
その瞬間、雷光が弾けた。
黒きオーラの中に、蒼白の刃が走る。
「……俺は……俺だ。
奪われたものは……取り返す。」
グリスの叫びと共に、周囲の闇が霧散する。
ヴァルツェルの幻影が、嘲るように薄れ消えた。
「それでいい……そうやって抗え。
お前の絶望が、我らの礎となる。」
風が止み、世界が静止したような一瞬――
リーアの頬を涙が伝う。
「おかえりなさい、グリス……」
しかし、彼の返事はなかった。
彼の身体は蒼い光を放ちながら、ゆっくりと崩れ落ちていった。
第二幕:完
◆ ◆ ◆
【次回予告】
――帝国の計画はすでに次段階へ。
グリスの“消失”の裏で、再びあの笛の音が鳴り響く――。
第三幕:第1話「追憶の灰と、運命の鎖― Re:Start ―」へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




