第29話「因果の森、再び廻る歯車」
おはようございます!
よろしくお願いします!('◇')ゞ
――大地が震える。
巨獣の足音が、森全体を打ち鳴らす太鼓のように響いていた。
グリスは牙を食いしばり、血走った目で敵を睨む。
「……来やがれッ!」
巨獣の尾が唸りを上げ、地を薙いだ。
その一撃だけで数メートルの木々が薙ぎ倒され、土が弾け飛ぶ。
グリスは紙一重で飛び退き、木陰に滑り込んだ。
「でかすぎだろ……!!」
「ま、まぁまぁグリス! 冷静に! 冷静にって!!」
モッフが後ろで震えながらもツッコむ。
リーアは震える指で杖を握り、詠唱を始めた。
「――聖光の加護よ、仲間を護りたまえ!」
淡い金光がグリスの体を包み、傷口の血が止まる。
呼吸が楽になり、視界が冴える。
「助かった! リーア、下がれ!」
「言われなくても!」
叫びながらも、彼女の視線はフードの人物へと向いていた。
巨獣を操るその姿――まるで“何か”に憑かれたように、虚ろな瞳で笛を吹き続けている。
笛の音は森に溶け、呪いのように響く。
音に合わせて巨獣が唸り、体の表面に黒い文様が浮かび上がった。
「……やべぇ、あれ……完全に術で操られてる……!」
グリスの背筋に冷たい汗が流れる。
「けど、あの文様……どこかで――」
――その瞬間、笛の音が止んだ。
森の奥、霧の向こうに“影”が立っていた。
黒い外套をまとい、金の仮面をかぶった長身の男。
月光を受けて仮面が鈍く光る。
「……あの姿……!」
リーアの声が震えた。
グリスの心臓がドクンと跳ねる。
記憶の奥、曖昧な闇の中に、確かに同じ気配を感じたことがある。
――忘れたくても、消されたはずの過去の記憶の底で。
男は静かに歩み寄ると、笛を吹いていた人物の肩に手を置いた。
「もうよい」
その声は老練でありながら、どこか底冷えするような響きを持っていた。
フードの人物が震え、笛を落とす。
そして、その場に崩れ落ちると同時に、巨獣の動きがぴたりと止まった。
沈黙。
森が息を呑む。
「……誰だ、テメェ……!」
グリスが叫ぶ。
男は金の仮面を指で軽くなぞり、ゆっくりと微笑した。
「フム……どうやら運命とは因果なもののようだ。リスタートさせても、またこうして巡り合うことになろうとは。」
その言葉に、グリスの心臓が締め付けられるように痛んだ。
――リスタート。
まるで“すべてを知っている”かのような口ぶり。
「……お前、何を知ってる……!」
「さあ、今はまだ語る時ではない。ただ――」
男の視線が、リーアへと向かう。
その眼差しは、冷たくも慈しみのようなものが混じっていた。
「女神の血は、再び流れ始めた。次に会う時は、“彼女”を選ぶ時だ」
「待てっ!!」
グリスが剣を構えた瞬間、男の姿はふっと霧のように消えた。
残されたのは、仮面の破片だけ。
手に取ると、そこには――帝国の紋章。
翼を広げた双頭の鷲。
元老院の印だった。
「……帝国……元老院……?」
リーアの顔が蒼白になる。
「まさか、あの人が……!」
「やっぱり、“奴ら”が裏で動いてやがるのか……」
グリスは仮面の破片を握り潰した。
金属が軋む音とともに、怒りが滲む。
森を渡る風が冷たく吹き抜けた。
夜の闇が深まる。
そして、遠くでかすかに笛の余韻が、まだ鳴り続けていた。
――その旋律は、再び巡る運命の予兆だった。
第30話「夜明けの残響 ― 目覚める記憶と誓い ―」へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




