第11話 「市場での聞き込みコント――証言はパンの耳にあり」
おはようございます!
よろしくお願いします!('◇')ゞ
グリスたちは町に戻り、朝から賑わう市場へ足を踏み入れた。
色とりどりの野菜、肉、干物、そして――もちろんパンの屋台が軒を連ね、香ばしい匂いが立ち込めている。
ガレオンは相変わらず威圧的な表情で先頭に立つが、片手にはパン袋をしっかり抱えている。モッフはその袋を横目でじっと見て、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「……なぁ、あれ聞き込み調査だよな? なんでパンばっか抱えてんだ?」
「パンが情報を呼ぶのだ」
「そんな理屈あるか!」
グリスが思わず突っ込むと、門番の一人まで吹き出す。
すでに市場の人々からは「またパンを持った偉い人が来た」という噂が広まり始めていた。
聞き込みその①:魚屋のおじさん
「嬢ちゃんらしき子か? あぁ見たぞ見たぞ! ほら、昨日の夕方だ。魚を買ってった」
魚屋のおじさんは自信満々に言った。
「どんな子でした?」
グリスが期待を込めて問うと――
「……髪が緑色で、背中に羽が生えててな。『アタシ、森の妖精さ!』って言いながらカツオを三匹ぶら下げて帰ったんだ」
「それ絶対違うやつだろ!!!」
「いやいや、ワシの目はごまかせん!」
「ごまかされとるわァ!」
市場中に響き渡るツッコミ。シロ=モッフはお腹を抱えてゴロゴロ転がり、門番は真面目な顔で「羽のある人間……怪しいな」とメモを取ろうとする。
「やめろ! 信じるな! 今のはただの魚好きの妖精だ!」
聞き込みその②:八百屋のおばちゃん
「リーアちゃん? あぁ、来た来た! 美人さんだったわよ~」
八百屋のおばちゃんはニコニコ顔で語り始める。
「やっぱり!」とグリスが食いついた、その瞬間――
「でもねぇ、うちのナスを見た途端、『ナスは悪魔の眷属!』って叫んで、
バリバリかじって逃げてったのよ!」
「いや怖っ!?絶対リーア様じゃないだろソイツ!!!」
「お嬢様じゃなくて破壊神じゃねぇか!!!」
「ナスに八つ当たりしてどうすんだよ!」
グリスとモッフのツッコミがシンクロする。おばちゃんは「いやでもほんとにいたんだから」と両手を腰に当て、全く悪びれない。
ガレオンは腕を組んで真剣に頷く。
「……ナスに拒絶反応。なるほど、リーア家の古い伝承に“ナス嫌い”が……」
「そんな伝承あるかぁぁぁぁ!」
聞き込みその③:パン屋の少年
「お、おれ見ました! リボンつけた女の子! パンを買ってったんです!」
パン屋の少年の証言に、全員が一斉に振り向く。
「やっとマトモな情報が! で、その子はどこへ?」
グリスが身を乗り出すと――
「パンを買った後、こう言ってました。
『あぁ、やっとパンに巡り合えた……! これで世界を救える……!』って!」
「中二病かぁぁぁぁぁぁぁ!」
「パンで世界救うなよ!!」
「いや、待て。パンは世界を救う……」
「ガレオンまで乗っかるな!!!」
市場の客たちはもう完全に観客になり、笑いをこらえるどころか拍手までし始める。まるで旅芸人一座の即興芝居だ。
◆ ◆ ◆
笑いに包まれる中、パン屋の少年はふと真顔になった。
「……でも、その子、パンを抱えて森のほうに走って行きました。すごく急いでて、泣いてるみたいに見えました」
場の空気が一瞬で変わる。
グリスはリボンを思い出し、胸を締め付けられる感覚を覚えた。モッフは真剣に尻尾を立てる。
「――やっぱり、森だな……。」
グリスの言葉に、ガレオンも静かに頷いた。
こうして市場での「大爆笑聞き込みコント」を終えた一行は、リーアが森へ向かったらしいという有力な情報を手にした。
しかし、森には何者かの影がうごめくという噂もある。パン屋のおばばが持たせてくれた暗号パンが、そこで真価を発揮するかもしれない――。
第12話 「森ルート突入!ナゾの足跡と爆笑トラップ祭り」へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪