第7話「パンと取り調べと国家機密(かもしれない)」
おはようございます!
七日前からから第二幕の投稿始まりました!
よろしくお願いします!('◇')ゞ
――牢屋。
石造りの冷たい部屋、ギィ……と重苦しい音を立てて椅子に座らされたのはグリスと、相棒シロ=モッフ。
正面の机にどっかり座り、腕を組んでいるのは城の取り調べ官である。
ランプの光に照らされて、彼の顔が怪しく浮かぶ。
「さて……貴様らの正体を、洗いざらい吐いてもらおうか」
グリスは即座に反論した。
「だから! 俺たちは怪しくなんかないってば!」
「フン。怪しくない者ほど“怪しくない”と言うものだ」
バンッ! 机を叩く音が牢屋に響き渡る。
その衝撃でシロ=モッフがビヨンッと飛び跳ねた。
「質問一! なぜ空から落ちてきた?」
「そ、それは……その……運命の気まぐれ?」
「ロマンチックな答えなどいらん!」
「じゃあ……物理法則?」
「余計に怪しいわ!」
シロ=モッフがすかさず合いの手を入れる。
「実際、怪しいんだよなぁお前」
「お前まで敵に回るな! 相棒だろ!?」
取り調べ官は、さらに書類を机に叩きつけた。
「証拠はある! ほら、これだ!」
そこに置かれたのは――焦げたパンのかけら。
「……それ、ただの食べ残しだろ!!」
「黙れ! これは“禁断のパン暗号”の一部かもしれん!」
「聞いたことねぇよそんなもの!!」
――その瞬間。
ガラリッ!
牢屋の扉が勢いよく開き、陽気な声が響いた。
「おぉおぉ! グリ坊じゃないかぁぁぁ!!!」
「えぇぇぇ!? あなたはあの時のパン屋のおばば!?!?」
※第一幕 第5話 「◆パン屋の婆ちゃんが焼く“硬すぎるパン”と涙のはなし」に登場している人物である。詳しくは上記エピソードをご参照ください('◇')ゞ
◆ ◆ ◆
現れたのは、【ベーカリーたんぽぽ】の店主にして、腰の曲がったおばば。
両腕いっぱいに山盛りのパンを抱えている。
「ちょっと差し入れに来たんじゃよ!」
ドサァッ! と机いっぱいに並べられるパン。
取り調べ官が振り返る。
「おばば殿、これは取り調べ中だぞ」
「だからじゃ! 腹が減っては取り調べもできんだろ!」
「いやいやいや! 今完全に取り調べぶち壊したよね!?」
グリスが全力で突っ込む。
しかし、シロ=モッフがパンをつつきながら眉をひそめた。
「グリス……これ、ただのパンじゃないモフ!」
「はぁ!? お前まで何言ってんだよ!」
見れば、パンの焦げ目に奇妙な模様が浮かんでいた。
いや、模様ではなく――文字だ。
『選ばれし継承者よ――』
空気が一変した。
取り調べ官の瞳が鋭く光り、おばばの顔から笑みが消える。
「……やはり、そういうことか」
「グリ坊、とうとう来たか。腹ぁ括れよ?」
グリスは両手を振り回しながら絶叫する。
「いやいやいや! ちょっと待て待て待て! なんで急にシリアス展開!? さっきまでパン暗号とか言って爆笑してたじゃん!」
「爆笑じゃない。ワシら、本気じゃ」
取り調べ官が声を低める。
「これ以上は、この国の根幹に関わる……」
シロ=モッフが横からポツリ。
「国家機密」
「だから“かもしれない”で片付けるなぁぁぁぁ!!!」
――牢屋は、笑いと謎に包まれたまま。
グリスのカオスな再スタートは、さらにとんでもない方向へ進み始めていた。
第8話「パンは語る、しかし腹も鳴る」へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




