第57話◆「森の牙、動き出す刻」◆
おはようございます!
今日もよろしくお願いします!('◇')ゞ
夜明け前の森は、奇妙な静けさに包まれていた。
鳥の声も虫の音も消え、ただ冷たい風だけが梢を揺らす。
グリスは焚き火の灰を見つめていた。
仲間たちは眠っている。だが、どうしても眠気は訪れなかった。
胸の奥に渦巻くのは――不穏なざわめき。
(……嫌な気配がする。これは、未来視の残滓か、それとも……)
その時。
――ミシッ。
枝が折れる音。
グリスは即座に魔導書を開き、赤きペンを走らせた。
「《文字よ、告げろ》」
ページに綴られた言葉が淡い光となり、周囲を探知する。
すると、闇の奥から無数の光が浮かび上がった。赤い、獣のような瞳。
「……来たか」
グリスが立ち上がった瞬間、森そのものが呻いた。
地面を割って蔦がせり出し、木々が呻き声を上げるかのように軋む。
仲間たちも飛び起き、慌てて武器を手に取った。
「な、なんだこれ!?」ライナーが叫ぶ。
「森が……牙を剥いている……」リーアが低く呟く。
セフィーナの瞳が光り、未来視を発動させる。
だが――。
「……見えない!?」
彼女は両手を握りしめ、震えた。
「道筋が……また霧に包まれて……!」
未来が読めない。聖女としての指針が揺らいでいる。
その隙を縫うように、蔦が一斉に襲いかかってきた。
まるで生き物のように牙を持ち、鋭く尖って。
「くっ!」
グリスはペンを走らせる。
――【鋼鉄の壁】。
瞬時に編まれた文字が光を帯び、仲間たちの前に障壁を築いた。
蔦がぶつかり、鋭い衝撃音を立てる。
「全員、下がって!」
グリスの声に、仲間たちは一斉に動いた。
リーアが剣を振り抜き、ライナーが斬撃を重ね、セフィーナが祈りを紡ぐ。
だが――攻撃しても、切り払っても、森の牙は次々と再生し、襲いかかってくる。
「きりがない……!」セフィーナの声が震える。
「これ……普通の魔獣じゃない。森そのものが……敵に……!」
その時。
低く響く声が森の奥から響いた。
「――目覚めよ、贄たちよ。宴の刻だ」
その声に応じるように、森全体が赤く脈動する。
木々が歪み、地面が裂け、血のような光が迸った。
現れたのは、漆黒のローブをまとった影――レオニス。
その手には黒い書簡。封蝋の紋章が不気味に光っていた。
「やはり来たか、《物語を綴る者》。
お前の力……未来を描くその手を、ヴァルツェル様の贄とするためにな」
グリスの喉がひりついた。
モフ度を制御できるか分からない。
だが、退けば仲間が呑まれる。
「……上等だ。俺の物語は……仲間と共にある!」
ペンが閃き、魔導書の頁が風にめくられる。
そこに綴られる新たな文字が、光となって夜明け前の森を照らした。
――試練は、まだ始まったばかりだった。
第58話「牙を結ぶ戦場 ― レオニス戦・第一幕」へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
また、次話でなんと!!
100話達成します!!!!
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
次話から少々特別なエピソードを投稿予定です!!
お楽しみに♪('ω')ノ
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




