第52話◆「森よ、牙を剥け」◆
おはようございます!
今日もよろしくお願いします!('◇')ゞ
地面が揺れ、木々が軋む。
森全体が意思を持つかのように蠢いていた。
大樹の根がうねり、仲間たちを絡め取ろうと迫る。
影からは狼のような魔獣が次々と生まれ、牙を剥く。
「くっ……これじゃ、進むどころか立ってるのもやっとだ!」
ストラウスが大剣を振り抜き、絡みつく根を斬り裂く。
「本当に森そのものが敵になってるってわけか……!」
セリカが舌打ちしながらもレイピアを振るう。
その混乱のただ中で、黒衣の男――レオニスが高笑いを響かせた。
「ようこそ、“実験場”へ! この森こそ、貴様らの墓場だ!」
******
グリスは額に汗を浮かべながら、必死に魔導書へペンを走らせる。
――《雷槍は森を裂け》
光の槍がいくつも降り注ぎ、魔獣を貫く。
しかし次の瞬間には、新たな影が生まれる。
「キリがねぇ……!」
ライナーが剣を振り回し、肩で息をする。
「先輩、こんなの相手にしたら体が持ちませんって!」
グリスは唇を噛む。
「わかってる……でも、書くしかないんだ……!」
彼の魔導書は既に幾重もの光に覆われ、震えていた。
書きすぎれば、モフ度が進行する。
それでも仲間を守るため、ペンを止めることはできなかった。
セフィーナが短く息を呑んだ。
視界に広がった未来――そこには、血に染まる森の光景。
仲間たちが一人、また一人と倒れていく。
「……嫌……! こんなの、絶対に……!」
彼女は強く祈りの言葉を唱え、仲間たちに癒しの光を振り撒いた。
リーアがその隣で剣を構える。
「セフィーナ、大丈夫。あなたの未来視がすべてじゃない。……私たちで変えるのよ」
「リーアさん……」
彼女の言葉が、震える聖女の心を支えていた。
「見てみろ。いくら抵抗しようと、未来は収束する!」
レオニスの瞳が紅く光る。
「クロニクルベアラーよ……その力は世界を変える鍵。だが同時に、未来を塗り替えるには“代償”が要る!」
彼は掌を掲げ、呪文を紡ぐ。
「我が鎖に縛られよ、《供犠剣の枷》!」
黒き鎖が森を這い、グリスへと伸びる。
「っ……!」
瞬間、魔導書の頁が勝手に開かれ、文字が溢れ出す。
グリスの体を眩い光が包み、ぬいぐるみの姿が浮かび上がりかける。
「ダメだ! モフ度が……!」
シロモフが叫ぶ。
「このままじゃ完全に“縫われた存在”になるモフ!」
******
その時、ライナーが飛び込んだ。
「先輩の背中は、俺が守る!」
鎖を剣で受け止め、必死に押し返す。
「無茶するな!」
グリスが叫ぶが、ライナーは笑った。
「無茶なのはいつものことっすよ! 先輩の物語、俺たちで支えますから!」
その横でリーアが銀閃を走らせ、鎖を断ち切る。
「一人じゃないって言ったでしょ! グリス、あなたは物語を綴りなさい。私たちは、それを現実にする剣になる!」
「……リーア……」
セフィーナもトンファーを構え、頬を赤らめながら叫んだ。
「……む、むっつり聖女じゃないですけど! 私だって支えますから!」
その声に、思わずグリスは笑みを浮かべる。
「……わかった。みんな……頼む!」
グリスは震える手で、新たな頁を開いた。
深く息を吸い、ただ一行を強く刻む。
――《未来を紡ぐ絆は、闇を裂く》
その瞬間、仲間たちの武器が淡く光り出す。
雷を帯びた剣、炎を纏うトンファー、輝きを宿す矢。
「なっ……!?」
レオニスが目を見開いた。
「仲間の力を……物語で束ねた、だと……!?」
リーアが叫ぶ。
「今よ、みんな!」
仲間たちが一斉に飛び込み、森を覆う闇を切り裂いた。
だが、レオニスは笑みを失わなかった。
「……やはり、価値がある。クロニクルベアラー。
次は必ず……その力ごと、我が主に捧げてやる」
黒い霧に溶け、彼は姿を消す。
残された仲間たちは勝利の息を吐きつつも、誰もが感じていた。
――これは、序章にすぎない。
グリスは震える手で魔導書を閉じ、心に誓う。
「……必ず守る。この物語を、俺たちの未来を」
森を抜けた空には、曇天が広がり始めていた。
第53話「戦闘の余韻、揺らぐ心」へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
また、次話でなんと!!
100話達成します!!!!
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
次話から少々特別なエピソードを投稿予定です!!
お楽しみに♪('ω')ノ
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




