第51話◆「森の牙、迫る影」◆
おはようございます!
今日もよろしくお願いします!('◇')ゞ
夜の森を、冷たい霧が覆っていた。
木々はざわめき、獣たちの気配すら潜んでいる。
仲間たちが踏み入れたのは、かつて「魔樹の森」と呼ばれ、数多の冒険者が命を落とした場所だった。
「……嫌な空気だな」
ライナーが剣の柄に手をかけ、低く呟く。
背後でセフィーナが聖印を握りしめ、声を震わせる。
「ただの瘴気じゃありません。……人為的なものです」
その瞬間、森全体に響いた。
「フフフ……ようやく来たか。我が可愛い“駒”たちよ」
闇を裂いて現れたのは、黒衣の魔導師――レオニス。
その瞳は月光に濡れ、底知れぬ冷たさを宿していた。
「レオニス!」
リーアが剣を抜き放ち、前へ出る。
「貴方の狙いは何! ただ世界を乱すためか!」
「乱す? 違うな。私は……秩序を作る。強き者だけが生き、弱き者は従う。それが自然の理。……そして、この森は実験場だ」
レオニスが杖を掲げた。
その瞬間、森全体が唸り声を上げる。
地面が裂け、木々がうねり、影の獣が次々と形を取った。
ペンが走る
「くっ……!」
グリスは腰の革袋から黒革の魔導書を引き抜く。
右手に握ったペンが淡く輝き、空中の頁へ物語を刻むように走り出す。
――《頁に記せ、森を裂く閃光》
文字が光となって浮かび上がり、瞬時に雷撃が編まれた。
書き終えた瞬間、空から閃光が落ち、前方の魔獣を一掃する。
「……ッはぁ……!」
だが魔導書に走る亀裂は深い。
書きすぎれば、自身の精神も魔力も削られる。
「やっぱり無茶すんなよ、先輩!」
ライナーが背を守りながら叫ぶ。
******
その時、仲間を庇った拍子に、グリスの体から無意識の光があふれた。
ふわりと広がる温かな波動。
魔獣のいくつかが怯み、牙を退ける。
「これが……モフ度の本質……?」
リーアが驚愕の声を漏らす。
だが、グリス自身は苦悶の表情を浮かべていた。
「……違う、制御できねぇ! 勝手に……ページが書き換わっていく……!」
魔導書の頁に、彼の意思とは無関係に「守護の物語」が自動で刻まれていく。
それは味方を癒やすと同時に、グリスの精神を激しく蝕んでいた。
その中で、セフィーナの瞳が蒼白に染まる。
聖女に与えられた“未来視”。
彼女は震える声で告げた。
「……見える。この森は……このままでは“焼き尽くされる”。
誰かが……ここで倒れなければ、未来は……!」
「なっ……!」
リーアが目を見開き、グリスが歯を食いしばる。
未来視は絶対ではない。
だが彼女が口にする“滅びの影”は、何度も現実となってきた。
「諦めるのか?」
ライナーが剣を振り払い、グリスの背後に並ぶ。
「未来がどうあろうと……俺たちは進むしかない。背を預け合って生き延びる。それが仲間ってもんだろ!」
「……ライナー」
リーアも剣を掲げる。
「そうよ。私たちは一人じゃない。誰かを犠牲にする未来なんて、絶対に変えてみせる!」
セフィーナも涙を拭い、頷いた。
「……ええ。運命に抗うために、神は私に視力を与えたはずです」
その言葉に、グリスも息を整える。
「……なら、俺は書く。
未来を塗りつぶす“物語”を――!」
ペン先が再び閃き、頁に光が走る。
そこにはまだ見ぬ“希望の一行”が刻まれていった。
そんな決意を、レオニスは嘲笑で迎える。
「美しい絆だな。だが、それは脆い。……試してみよう。
この森の牙が、貴様らをどう裂き刻むかをな!」
杖を振り下ろすと同時に、森全体が爆ぜた。
影の魔獣が咆哮し、夜空を覆い尽くす。
戦場は、森そのものだった。
第52話「森よ、牙を剥け」へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
また、次話でなんと!!
100話達成します!!!!
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
次話から少々特別なエピソードを投稿予定です!!
お楽しみに♪('ω')ノ
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




