第45話◆「迫る牙、仕組まれた夜」◆
おはようございます!
今日もよろしくお願いします!('◇')ゞ
辺境の森を抜けた街道沿いに、小さな宿場町があった。
昼間のドタバタ騒動を終えたグリスたちは、そこで久々にまともな宿に泊まれることになった。
「やっとベッドだぁぁぁ……」
マリィがベッドに飛び込むと、軋む音が部屋に響く。
「おい、壊すなよ!宿代はこっち持ちなんだからな!」
ストラウスが額を押さえつつも笑い、セリカが「常識的に考えて壊すのは論外でしょう」と呆れる。
ゴルドはすでに食堂で肉を頬張り、シロモフは窓辺でふわふわと漂っていた。
「平和だモフ……こういうときこそ、嵐の前の静けさモフ……」
誰もがその警告を冗談だと思って聞き流してしまった。
*******
グリスは部屋の片隅で、魔術書を開いていた。
ペン先からにじみ出る言葉は、いつものように力を宿していく……はずだった。
――だが。
(……視界がまた、霞んでる)
未来の断片が勝手に流れ込む。
血に濡れた街道。
仲間の悲鳴。
「ライナー」と叫ぶ自分の声。
そこで像は途切れた。
「……なんだよ、これ」
グリスは息を整えようと額に手を当てる。
その様子をリーアが見咎めた。
「また……未来を見たのね?」
「……ああ。でも、今回はひどい。ぼやけてて……誰かが――」
言いかけて、グリスは口をつぐんだ。
もし仲間の誰かが犠牲になる未来なら、今言えば不安を煽るだけだ。
リーアは目を細め、そっとグリスの肩に手を置く。
「……無理はしないで。貴方の未来は、貴方ひとりで背負うものじゃないわ」
その声に救われる一方で、胸の奥の不安は消えなかった。
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その頃、食堂。
ライナーはパンをかじりながら、どこか上の空だった。
「……先輩にパシられる……ああ、幸せだ……」
と、いつもの調子で呟いてはいる。
だが、セリカが隣でじっと彼を見つめた。
「ねえライナー。今日、何だかぼーっとしてない?」
「え?そ、そうっすか?ぼーっとしてるのはいつものことですけど!」
「いや、それは自覚あるのね……」
軽口でごまかしているように見えたが、セリカはふと違和感を覚えた。
彼の瞳が、一瞬だけ黒く濁ったように見えたのだ。
(気のせい……?でも……)
その夜。
王都の片隅、古びた教会跡。
レオニスは祭壇に跪き、黒き祈祷を捧げていた。
彼の前には、薄い糸のような魔力がいくつも張り巡らされている。
「……見えるか、未来を綴る者よ」
彼は呟く。
糸の先には――ライナーの影が映し出されていた。
まるで操り人形のように、夢の中の彼はうわごとのように呟いている。
『……先輩……俺は……俺は……』
「ふふ……若い心ほど、囁きに侵されやすい。
お前を通して、“物語を綴る者”に牙を立てよう」
レオニスの口元に笑みが広がる。
******
宿の廊下。
セフィーナは水を汲みに出て、ふと月明かりに照らされるライナーの姿を見つけた。
彼は窓辺に立ち、月を見上げながらぶつぶつと呟いている。
「……先輩……守らなきゃ……でも……壊さなきゃ……」
「……ライナー?」
声をかけた瞬間、ライナーの身体がびくりと震えた。
ゆっくりと振り返る瞳には、一瞬――黒い靄が浮かんでいた。
「……あ……セフィーナ様?なんすか?」
笑顔を作っているが、不自然に引きつっている。
セフィーナは眉をひそめた。
(……これは、ただ事じゃありませんね)
だが今問い詰めれば、彼を追い詰めることになる。
彼女はあえて柔らかな笑みを浮かべた。
「……眠れないのですか?明日は早いですよ」
「は、はいっ!すぐ寝ます!」
彼は駆け足で自室へと戻っていった。
セフィーナはしばしその背中を見つめ――そしてぽつりと呟く。
「……黒い靄……あれは、まさか……」
その夜、グリスは再び悪夢にうなされていた。
「ライナー!やめろ!!」
悲鳴とともに、未来の断片が脳裏を焼く。
――血塗れの仲間。
――刃を振り下ろすライナーの影。
グリスは汗だくで飛び起きる。
「……っ!」
シロモフが心配そうに浮かんでいた。
「グリス、モフ度よりも顔色の方がヤバいモフ」
グリスは震える声で呟いた。
「……誰かが、もう、牙を剥こうとしてる……」
窓の外で、風がざわりと木々を揺らす。
夜の闇は、確実に彼らを取り囲もうとしていた。
第46話「操られし影、友の刃」へつづく!
どうも、お世話様でございます!
焼豚の神でございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。('◇')ゞ
物語が現在、狡猾と狡猾が交差しています!
今後も加速度的に物語が進行していきます!
それでは、引き続き物語をお楽しみください!('ω')ノ
また、次話でなんと!!
100話達成します!!!!
これもひとえに読者の皆様のおかげです!
次話から少々特別なエピソードを投稿予定です!!
お楽しみに♪('ω')ノ
◆グリスの「モフ度」と能力関連設定◆
グリスの能力:「クロニクルベアラー(物語を綴る者)」
→ 他者の記憶・感情・空間の“物語構造”を感知し、世界を“読み解く”力。
→ 使えば使うほど“内側の温度(感情)”が昂ぶり、モフ度が上昇する。
モフ度
- 0~19%:平常
- 20~29%:末端ふわ化
- 30~49%:耳/尻尾ふわ化
- 50%以上:ぬいぐるみ化進行、人格への影響(語尾に“ぷぅ”など)
- 75%以上:上半身下半身がぬいぐるみ化急行、人格への影響(発声が可愛くなるなど)
- 100%:完全ぬいぐるみ化(意識あり)=“魂を綴る最後の綴り”
良ければ、感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!
また、良かったら筆者に別作品である『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』通称:【ナナクラ】も是非、この機会に知って頂けますと幸いです!
それでは、また次話でお会いしましょう~~~(^^♪




