表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

第2話③:「“言葉のチカラ”とか言うけど……え、これマジで世界変えるやつ!?」

今日もよろしくお願いします!


ストーリーに、どれだけ脂が乗っているか…


ぜひ読んで確かめてください(*'ω'*)!


――地獄のブートキャンプ初日が終了した夜の、団欒だんらんタイムのことだった。

暗く、静かな森の奥。

小鳥の鳴き声も、風の音も聞こえない。

ただ、張り詰めた空気と、自分の呼吸音だけが耳に残っていた。



グリスは、言葉を失って立ち尽くしていた。

目の前の光景に、何が起きたのか、理解が追いつかない。


「これって……ボクの……言葉?」


ページに書かれた、ほんの数行の言葉。

《はじめて、温かいごはんを食べた。》《ぼくは、うれしい。》

それだけのはずだった。

でも、その文字が浮かび上がった瞬間。

空気が変わり、風が生まれ、ページの上に虹のような光が広がった。


ツカサとレンジ、神様兄弟が、それをじっと見つめている。


「……やっぱりな」

ツカサがぽつりと呟いた。

「グリス、お前の“言葉”は、ただの記録じゃない。力を持ってる」


「チカラ……って、なにそれ。よくあるアニメ展開……?」

思わずグリスはそうボヤくけれど、指先はまだ、かすかに震えていた。


これは、冗談じゃない。何かが、本当に動き出している。


レンジが、ゆっくりと歩み寄る。


「この森はね、『記録者』が生まれると反応する。

 いま、お前が本に書いた言葉……それは、過去を浄化した」


「過去? 浄化?」


「お前が“あのとき感じた想い”をちゃんと認めて、言葉にした。

 それが、この世界の“闇”に対する光になるんだ」


意味はわからない。でも、胸の奥がズキリと痛んだ。


(ボクが……ボクの気持ちが……そんな、大事なことなの?)


自分の感情なんて、ちっぽけなもんだと思ってた。

寂しかった記憶も、誰にも言えなかった言葉も、

全部、ただの“忘れたい過去”だと思ってたのに。


「……じゃあ、ボクが、これからもっと書いていったら……?」


レンジは頷いた。


「この世界の“歪み”が少しずつ正されていく。

 お前の中の“記憶”が、他の誰かをも救うんだ」


「そんなの……プレッシャーで死にそうなんだけど」


笑うつもりで言ったのに、声が少し震えてしまった。


ツカサが、ぽん、と肩を叩いてきた。


「まあ、急がなくていいさ。

 書きたい時に、書きたいことを書けばいい。

 でもな、忘れるなよ。

 お前が“感じたこと”は、お前にしか書けない。

 そして、それが誰かの人生を変えるかもしれない。

 それって、ちょっとだけ、スゲェことじゃね?」


グリスは、うつむきながら頷いた。

胸に抱えた本が、ほのかにあたたかい。


――その夜。


焚き火のそばで、ひとりページをめくっていた。


小さな火花がぱちぱちと弾ける音。

あたたかな湯気の立つスープの匂い。

そして、自分の書いた言葉たちが、白いページに浮かんでいた。


《ひとりで泣いてたとき、誰かが背中をさすってくれた夢を見た》

《起きたら、布団の中がすごくあたたかくて、泣いた》


ただの夢の話。

でも、そのとき感じたあの感覚は、確かに自分だけのものだった。


「……こんなこと、誰が読んでもつまんないって思うよな」


そうボヤいたけど、ページはまるで、それを否定するように、

やさしく光っていた。


(……いいんだ。

 これは、ボクが“自分のために書いた”言葉だから)


ナレーション:

世界はまだ静かに眠っている。

でも、ひとつの言葉が灯るたび、

その眠りの中に微かなぬくもりが差していく。


かつて忘れられた記憶が、言葉になる。

それは誰かにとっての“救い”になる。


少年の物語は、始まったばかり。

けれどその胸には、

たしかにひとつ、“自分の言葉”が刻まれていた。



「……“記録者(メモリアント)”とか、“運命を変える言葉(ルクスワード)”とか……

 そんな大層なこと、正直まだよくわかんないけど。


 でも、書いてよかったって、今は……ちょっとだけ、思えるかな」




第2話④「“記録者”って言われても…ボク、まだ日記1日坊主なんだけど!?」

(つづく)

どうも、おこんばんはでございます!


焼豚の神でございます。


今回も読了しに来てくださった皆様ありがとうございます('◇')ゞ!


感想・ブクマ・お気に入り、おかわり自由でお待ちしてます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ