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第88話 集結

 数日後、戦艦ストラシアは魔法次元に飛び立った。レイを含めた異端審問官(インクイジター)も乗せて。

 『次元間渡航を開始します』

 『行先、第5、魔法次元』


 ストラシアが光に包まれ、それが止むと、周囲には草原が広がっていた。少し遠くにはヂーナミア城が見える。船がヂーナミアの上空に到着すると、それを見上げていた男がいた。

 「来たか。セイ」

 黄金の鎧をまとい、金と紫の剣を左右に携えている男、テヌドットだった。



 これにより、神話会、異端審問官(インクイジター)、ヂーナミア軍、第13次勇者パーティ、ストラシアが、ヂーナミア城前の広場に集結した。

 船を降りたセイに真っ先に手を振ったのは、上裸のマッチョの男ドウガルーノだった。

 「久しぶりだな! 元気だったか?!」

 セイはその元気さに若干引きながらも答える。

 「あ、ああ……」

 (あれが元気といえるのかは知らないけど……)


 すると、またも見覚えのある男が檀上に上がった。

 「招集に応じていただき、まずはここにいらっしゃる皆さまに感謝を。私はヂーナミア軍軍師、コーナスです!」

 その後もコーナスは形式的な挨拶を済ませると、次に檀上に上がったのは、ヂーナミア国王、ベルノーシャだった。

 「皆の者、よく我らの招集に応じてくれた!

 これより我々は、邪悪なる魔王と決着をつける!

 600年以上変わらなかった状況を、我々で変え、激変の時代を作り上げようぞ!!

 別次元から来た皆が、現状を打破してくれる事を祈っている」


 セイは一瞬睨まれた気がしたが、気にしないことにした。その後、セイ、テヌドット、レイ、シアン、コーナス、カイルなど組織等の長が集い、作戦の詳細を話し合うことになった。

 そして6人が集まり移動しようとしたその時、ノルーセが慌てて走ってきた。

 「たった今魔族が軍を形成して攻めてきました! 次元の境界があるフェミア山脈を突破しました!」

 一同は驚き、すぐに対抗策を練ることにした。

 「なぜそんな事が分かるかは今はどうでもいい! すぐに行動を起こさねば!

 神話会から木田、レヌベータ、ヲウルトを向かわせよう! どれだけの大軍でも時間稼ぎはできるはずだ」

 テヌドットは、神話会の一部の戦力を先に送る事をすぐに決断した。それにはセイも感心し、支援することにした。

 「なら俺らの船を使え。執行者代理のローナに操縦を任せればいい」

 「……感謝する!」

 テヌドットはすぐにこの事を三人に伝え、いち早くフェミア山脈の方角に向かわせた。


 6人が会議室に入ると、コーナスはすぐに話を始めた。

 「想定よりも状況は切羽詰まっているようです。少し押して、作戦の説明を……」

 その時、テヌドットが手を挙げた。

 「少しいいか?」

 「? 手短になら、どうぞ」

 するとテヌドットは、レヌベータの魔王次元調査の結果を皆に共有した。

 「最初に、【獄炎の支配者(フレア・ドミネーター)】レヌベータの調査により判明した情報だ。信ぴょう性は高い。

 魔王の目的が判明した」


 コーナスはそこまで大きい情報ではないと思った。

 「魔王の目的……? それはヂーナミアへの侵攻と支配では?」

 テヌドットは首を横に振った。

 「いや、どうやらヂーナミア侵攻はあくまで、本当の目的を達成するための準備に過ぎなかったんだ。魔王の本当の目的は、【邪神】アムノアの降臨だ」


 「アムノア!?」

 カイルは日常的に書物を読むので、アムノアについてよく知っていた。テヌドットは感心する。

 「流石、勇者殿はアムノアについて分かっているようだ。

 【邪神】アムノアは、()()()()()()()()()()()。勇者スキルを創った【正義の神】アレスと激しい敵対関係にある神だな」


 セイは、神はまだしもテヌドットの言った「降臨」が何か分からなかった。

 『降臨は、普段神域に存在する神を、大量の魔力を用いて次元内に呼び出す行為のことです。本来スキルは、神の権能の一部と繋がるもののため、それを応用した上で、膨大な量の魔力を使用する事で、神本体を次元内に呼び出すことができるのです』

 (だとしたら……もし魔王の企みが実現したら、神を相手するわけだし、こちらに勝ち目は……)


 テヌドットは続ける。

 「魔王は、自身の大量の魔力と、ヂーナミアの人々を殺して得る魔力を用いて、降臨を実現しようとしている。もしそれが成功してしまえば、こちらに勝ち目はなくなってしまうだろう。


 だがもしこちらに希望があるとするならば、こちらには、【正義の神】アレスを降臨させるという手がある事だな」

 ほとんど準備をせずに神を降臨させる。そんな非現実的な事、できるわけないと皆が暗くなった時、シアンが名乗り出た。

 「その神様の降臨、私に任せるといいでしょう。もし【邪神】の降臨が行われるなら、こちらも行えば良いだけです」

 コーナスは不安な声でシアンに尋ねる。

 「可能……なんですか?」

 するとシアンは、自信ありげに答えた。

 「ええ。一柱の降臨なら私の魔力でどうにかなるでしょう」


 コーナスは話を戻した。

 「テヌドット様、貴重な情報、ありがとうございます。シアン様もご協力、ありがとうございます。

 では、降臨までの話に戻しましょう。

 まずこのヂーナミアは、フェミア山脈の洞窟を境に魔界、皆様のおっしゃる「魔王次元」と繋がっています。その洞窟の数は100を超えます。ですが一つ一つは大きいとはいえなので、一気に戦力を送る事は難しいはずです。しかしそれはこちらも同じこと。

 なので、全体に作戦が伝達次第、神話級以上、もしくは強力な戦力の方々が殲滅しながら突撃し、魔界側に簡易拠点を築きます」

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