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第62話 [ティーフシー]と[インゼリン]

 「……ああ、分かった。トスコリカ軍をそちらに向かわせよう。リベルの戦力が集中している地点へもトスコリカ軍が案内しよう。そこからはお互い柔軟に対応してくれ」

 トスコリカ城にてオリーはローナからの通信を聞き、すぐに指示を出した。


 「それと、二部隊を都市の民間人の避難に回すと言っていたな。そっちは大丈夫なのか?」


 「はい、ストラシアが所有する輸送機があるので、それで向かいますわ。執行者は同行しませんが、避難誘導なら大丈夫でしょうし」

 ローナはアリスから聞いた計画の一部をオリーに伝えると、

 「分かった。避難誘導を行う都市、[ブトール]は戦場からそう遠くない。何かあればすぐ向かえるだろう。

 トスコリカ軍の合流は一時間半後だ。準備ができているのなら、少し休んでいると良い」


 「感謝しますわ。それでは」


 通信が終わると、アリスが操縦指令室に入ってきた。

 「オリーさんとの連絡は終わった?」

 「はい。一時間半後に合流し、その後は状況を見て行動するとの事でしたわ。

 避難誘導を行う第四、第五部隊はもう出発しても大丈夫かと」


 それを聞いたアリスは、第四部隊と第五部隊に出発の連絡を入れた。すると、五分もしないうちに輸送機の音が聞こえ、戦艦から飛び立った。


 その後、各々はリラックスした時間を過ごした。

 ちょうど一時間半が経とうとした時、多くの戦闘機と軍艦、そしてヘリがストラシアに向かってきた。


 「来たね」

 するとヘリと一部の戦闘機がストラシアに停まり、見覚えのある男が降りてきた。

 「こんにちは、ブリヌダースさん」

 アリスは丁寧にブリヌダースを迎えると、すぐに会議室に案内した。

 「丁寧にありがとうございます。休憩は、必要ありません。始められるのならすぐに始めましょう」


 そう言って、トスコリカ、ストラシア連合軍の軍議が始まった。

 「まずはお互いの戦力を再確認しましょうか。こちらは軍艦が15隻、戦闘機が80機、ヘリは仮拠点用として1機となっています。人員は軍艦に400名ずつ、戦闘機は2人で1機です」

 ブリヌダースは慣れた様子で再確認を始めた。アリスもそれに合わせ、ストラシアの戦力を共有した。


 「こちらは、使用可能な魔力対応型の戦闘機が50機、そしてガトリング砲を2門、追尾型ミサイル砲が4門を搭載した戦艦ストラシア、その他伝説級以上のスキルを持つストラシアメンバー100名以上です」


 それを聞いたブリヌダースは、アリスの隣のローナに話しかけた。

 「戦艦ストラシアの武装設備の指令はあなたが?」

 ローナは舐められたと思ったのか、ブリヌダースを睨みながら頷いた。するとブリヌダースは笑顔で片手を差し出した。

 「申し訳ありません。誤解をさせてしまったようですね。この戦争ではあなたが重要な役割を担うとの事ですので、挨拶をと思いまして……」


 「ふん……ならいいのですけど」

 ローナはあまり心を開かずに返した。またブリヌダースが周囲を見渡すと、今度はアリスに尋ねた。

 「アリス様がストラシアの重役を任されている事は存じ上げておりますが……

 リーダーのセイ様はどこに? トスコリカにてご同行していなかったのは何か事情があると考えていたのですが……ここにもいらっしゃらないのですか?」


 アリスは失望されないよう、セイも参戦する事を強調して答えた。

 「セイ様は現在、神聖次元にて神話会会議に出席しております。先程連絡した時は、既に終盤と仰っていたので、間もなく到着され、参戦してくださります。

 ですが……」

 アリスは笑顔を見せた。

 「セイ様からは、敵を全滅させてはいけない。とは言われておりません。我々だけでも十分対処可能な敵だと認識していますので、ご心配なく」


 「……そうですか。分かりました。問題ないのであれば我々の作戦案の説明を始めますね。

 まず、トスコリカ軍の調査で判明した事を共有をした上で我々の作戦に同意して下さればと思います」

 するとブリヌダースはタブレットをアリス達に見せた。

 「これは?」


 「海洋次元には、我々海底の民[ティーフシー]と、小さな島々の民[インゼリン]の二つの種族が対立しながら暮らしていることはご存じでしょうか?」


 ミカは手を顎に当て、少し考えた後、

 「海洋次元では二つの種族が対立している事は聞いていましたが、具体的な事は知りませんね……トスコリカに入った時は全くその事を聞かなかったので。

 もしよろしければ詳しく伺っても?」


 ブリヌダースは頷くと、丁寧に説明を始めた。

 「古代より、元々海洋次元には、海に住む事を志す者、陸上で安定した暮らしを求める者の二つの勢力に分かれていました。これが、それぞれの祖先となるわけです。


 その内、海に住む事を志す者達の中の1人がある発明をしたのです。それが、海底ドーム。トスコリカなどの海底都市を覆うドームです。それを機に、海に住む事を志す者[ティーフシー]は科学力を向上させたのです。

 もちろん、海洋次元が主要次元として認められた時は、科学と魔力の調和を研究したり、ベルクリア研究所と共同で研究することもありました。

 一方、具体的な事はトスコリカも把握していませんが、陸上での安定した生活を求める者[インゼリン]は、おそらく未だに原始的な生活を進めています」


 「という事は、海洋次元の実質的な主導者は[ティーフシー]となると……」

 アリスは海洋次元の歴史を聞いたうえで、ある考えが浮かんだ。

 「もし[インゼリン]がこの事を知っていたら、[ティーフシー]を恨むはずでは? 今まで何か動きはなかったのですか?」


 ブリヌダースは、一気により一層真剣な表情になった。

 「それが、あったのです。先ほど

 捕虜のリベルがほぼ全て吐きました。

 「リベルの目的はトスコリカ研究開発所のデータチップ。船などは放棄されたトスコリカ軍基地から盗んだものがほとんどで、既に異名持ち数名の参戦が決まっている。

 またリベルは現地種族[インゼリン]と手を組み、リベルからは技術を、[インゼリン]からは人員を提供しリベルに協力している」と」


 ミカは、確認するようにブリヌダースに尋ねた。

 「では、[インゼリン]も敵と見なし、攻撃対象となるという事ですか?」


 「はい。難しいですか?」


 ストラシア側は自信を無くすことはなかった。

 「いいえ。余裕です!」

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